第4話 山下さんの意外な正体?
「うーん、山下さんかぁ」
お昼が終わり午後が始まる頃、俺は自分の席に戻りさて仕事と思いパソコンを開いたが、お昼に聞いた宮下の話が頭から離れず仕事が始められずにいた。
「なんだなんだ、山下さんって」
「あ、田中」
「よぉ今戻ったわー」
そんなことを考えていると田中が戻って来た。
丁度いいこいつに山下さんのことどう思ってるか聞いてみよう。
「なぁ田中、山下さんってどう思う?」
「どう思うってお前、随分唐突だな」
田中はそう言って驚いたような顔をした。
まーそうなるよな、とりあえず簡単に答えてくれればいいから宮下の事とかは伝えずに押し切ってみよう。
「まぁ流れで、ノリで答えてくれればいいから」
「ノリってお前、まぁいいか、うーんちょい地味めだけどいい人って感じかな?」
「だよなぁ」
田中の答えはまぁ予想通りだった。
俺の中の山下さんのイメージもそんな感じだし、やっぱりモテる宮下が狙う相手にしてはなんでって感じなんだよなあ。
ま、だからこそ気になるんだけどね。
「ちょっとそこ!無駄話はそこら辺にして今日中に頼んでいたもの準備しといてね」
「了解です、佐藤さん!」
「へーい」
「寺島!返事はしっかりね」
そんなことをしていたらハルさんに怒られてしまった。
しかしハルさんは午後も可愛いな。
よしとりあえず定時までがんばろ!
「うーい蓮、まだ終わってないのかよ」
定時になり、まだ仕事が終わらないでいると帰り支度を済ませた田中が絡んできた。
「あと少しなんだが、終わらなくてな」
「そうか大変そうだな」
「ああすまん、悪いな待たせて」
「いや別にいつも待っててもらってるし、でもまぁ、今日は俺帰るわ!ごめんな」
そう言って田中は一瞬で帰って行った。
くっそ田中の野郎、次に俺の方が早く終わったら、同じことをしてやろう。
「あ、寺島、まだ終わってないの?」
田中に早く帰られて、なんとも言えない悔しさが込み上げて来た時、丁度いいタイミングでハルさんに話しかけられた。
「ちょっとまだ終わってなくて……」
「そうなんだ、ちなみにあとどれくらいで終わるの?」
「30分くらいあればいけると思うんですけど」
「それなら待ってるから、その一緒にご飯でも行かない?」
「え?それってもしかして2人きり……」
いやいやハルさん!?
ここ職場ですよ、そんな今ここには俺とハルさんの2人しかいないからってそんな話してたら危ないですよ?
「ごめんなさい私も付き添いでいます」
「あ、山下さん」
俺がそんなことを思っているとハルさんの後ろから山下さんがひっそりと出て来た。
「そうそう山下もいるから、3人でご飯だからね」
「なるほど了解です」
やっべぇ、全然存在に気がつかなかった。
つか山下さんごめんなさいとかやめて。
なんやかんやで仕事が片付き、ハルさんと山下さんと共にご飯に行くことになった。
「ふぅ、やっと片付いたよ」
「お疲れ、今日も頑張って偉いね」
仕事が終わり、営業所から出るとハルさんが1人で待ってくれていた。
「いやいや偉いとかやめてよ、仕事しただけなんだし」
「そうね、なんか蓮相手だとつい褒めちゃうだよね、直さないと」
そう言ってハルさんは軽く頭を抱えた。
いやそんな無理して直そうとしなくていいんだけどね。
「それはそうと山下さんは?」
「あー、あの子は準備あるから」
「準備?」
「うん、あ、もう来るって」
どうやらハルさんの持つスマホに山下さんから連絡が来たらしい。
しかし準備ってなんだ?
「すいませーん、遅れましたぁ」
「え?」
「うん行こっか、ほら寺島も早くおいで」
山下さんは、黒髪ロングで眼鏡をしてて、いつも静かにしてる地味目の子である。
しかし営業所から遅れて出て来た子は、大きな瞳にふわっとした髪をした可愛い子だった。
「え、山下さん!?」
「はいはーい、山下ですよ」
そう言って山下さんは手を挙げてめっちゃ笑いながら駆け寄って来た。
いやいや変わり過ぎでしょ、つか性格もこんなだったか?
もはや誰だよこの人。
「あ、言い忘れてたけどこの子、普段仕事中は大人しいけど本当はこんなんだからよろしくね」
「え、なんですかその言い方、ハル先輩ちょっと酷いですよ」
そう言って山下さんはハルさんを追っかけていった。
いやよろしくねってハルさん、全然ついてけないんだけど。
てか宮下のやつ、山下さんがこういう子なの知ってて好きって言ったのか。
もし知っていたのだとしたら、あのモテる宮下が狙うのもよくわかる。
明るく接しやすい性格にスタイルだって、程よい身長に細身でめっちゃいいし、何より顔が凄い可愛い。
これはハルさんがいなかったら俺もうっかり惚れてしまうレベル。
良かったぁ、ハルさんと付き合ってて。
そうして俺たちは、ご飯を食べに駅へと向かった。
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