第13話 やっぱり仲が良い2人。

 英治朗はライジンに尋ねる。


「んで、送り込んだ量産型勇者はどうだ?」



 現在、2人は英治朗の宿屋の部屋に居る。



「3人、3ヶ所共、ボウズ」


「全部ハズレか……」


 少し落胆する英治朗。


「いや、一箇所は場所自体はビンゴ。---でも逃げられた」


「そうか。---惜しいな」


「うん、多分タッチの差」


「成程ね」


「その時の映像がコレ」


 英治朗は映し出された映像を見る。



 銃火器を掻い潜りながら、標的建屋へ侵入。


 魔法で攻撃すると効果的面らしく、次々と警備兵が燃やされる。



 しかし、ライフル銃で足元を狙撃されたのか、痛みに耐える量産型勇者。



 この後、貫通した銃槍なので、治癒魔法を掛けて、再起動。


 魔王が居たと思われる部屋へ一旦入る。



 しかし、映像はここで止まっている。




 英治朗は尋ねる。


「……やられたのか?」


「今も戦っている。---さっきの映像は恐らく、機材不調。手動で送られたんだ」



 英治朗は「ふーん」と言って、興味を失う。





「やれやれ。もし未だ魔王の魔力が健在なら、また魔法力があって、魔法が得意な人物を探さなきゃならないかー」





 英治朗はこれに反応する。


「おい」


「何?」


「そいつ等を使い捨てにしてんのか⁉︎」


「うん」


 ライジンはニコっと笑った。


「……ひでぇ事しやがる。---貴重な人材なのによぉ」


 英治朗はそう言いながらベッドに寝転ぶ。


「おや、君達、人間族が『時代遅れ』と揶揄する『魔法士』だよ?---銃火器重視の試験で芳しくなかったり、勇者になっても銃火器が使えないとハブられたりして、迫害をうけてる人物」


 ライジンも一緒に寝転ぶ。


「けっ。弱みに漬け込んだか。---流石だな」


「それは褒め言葉だね」


「言っとれ。---はぁ〜。……時代遅れなんざ、こっちに来てもう散々思い知った」


「だから、ボクは考えているんだ」


 ライジンは英治朗の方へ向く。



「---英治朗と一緒に魔法で世界を掌握したい」



 これに英治朗は、


「俺は興味無いんだけどなぁ」


「えー、ここまで来て今更?」


「……時々、お前は俺を見ていない」



 そう言いながらも、英治朗はライジンに覆い被さる。



 ライジンはノートパソコンを一旦閉じて、ベッドの端へ置く。



「もしかしてプロポーズかと思った?」



 イタズラっ子の良いな笑みを浮かべる。


 英治朗はそれを見ながら顔を近付ける。



 ライジンは「ひゃう⁉︎」と言って、少し身構える。



 英治朗はライジンの耳元で言う。


「そこまで自惚れていない」


「でも、ボクはもう慶次郎の影は追い掛けていない。---それは判って欲しい」


 ライジンも負けじと英治朗の耳元で言う。





 ---どことなく、やはり兄、慶次郎の影がチラつく英治朗。


 ライジンは英治朗へ『吹っ切れた』旨を言うが……。





 英治朗はまた大きな溜め息を吐く。


「はぁ〜。---なんだ?誘ってるのか?」


「ん?そうだけど?」


 期待の眼差しを向けるライジン。


 英治朗は小さな声で言う。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


「ひゃう⁉︎」



 英治朗は軽くライジンの耳に「ふっ」っと息をかける。



「相変わらず面白いな?」


「うぅ……。意地悪」


 そう言いながら、ライジンは英治朗の耳に噛みつこうとするが、英治朗は起き上がって交わす。



「……残念。---来客だ」


 英治朗はそう言いながら、窓の方を見るのであった……。

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