第8話 早い再会 その2
“吸精”についてライジン曰く、どこかしら身体に触れているだけでも“吸精”はイケるらしい。
素肌同士の触れ合いや、キスに寄る唾液の交換、セックスでの生殖的体液交換だと、“吸精”効率が非常に良いだけの話しだが、何故かこちらが無駄に有名になり過ぎたらしい……。
実際は極端な話し且つ、更に簡単な方法で言えば、衣服の上からでも触れていれば可能らしい。
なので、ライジンは英治朗と出会ったに日、さりげなく触ったり、抱き付いた等のスキンシップで、実はコッソリ“吸精”していた。
ちなみに、“吸精”相手は別に男女関係無く、日常生活せあれば、基本的にさり気ないスキンシップや少し触れ合うだけで十分、“吸精”して生きていけるのと、毎日それが必要と言う訳でなない。
基本的に魔力で補う事が出来るので……。
それでもサキュバスと言う種族は体質的には“吸精”した方がエネルギー効率が良い。
なので、そうしたパートナーや下僕、時には主人にを見付けて、“吸精”するのが一般的な生き方らしい。
ここまで説明した所で、英治朗との関係性について、不思議な現象が起きたと言うライジン---。
「ホント、失礼な話しなんだけど……。---ボクの想い人の筈……、だったケージじゃなくて、妥協で双子の弟の君のね?『精気』をそうして吸った訳なんだけど……。思いの他にその……、相性が良くて……」
上目遣いで恥ずかしそうに言うライジン。
「---ちょっと、もう君じゃないと“吸精”は満足しないかもしれない」
今回、ライジンがこうして、英治朗に対して発情紛いな事になってしまったのは、コレが原因だと、ライジン自身で分析している。
それに、亡き慶次郎の事を思えば、いつまでも執着する訳にもいかず……。
ライジン自身も迷いはあると言う。
一通り、話しを聞いた英治朗。
「うん、やっぱり兄貴の影がチラホラしてたか」
英治朗は小さく呟いた。
「うう……。それは……、---嫉妬かい?」
ライジンは恐る恐る訊く。
「そりゃあな?人の股間でそんな寛がれて、兄貴の名前言ってたらそう思いうぜ?」
英治朗は少し呆れながら言う。
ライジンは誤魔化そうとする。
「いやー、何だか、懐かしい匂いがしてね〜」
ニコっと笑うライジン。
英治朗は改めて言う。
「だから、そう言う事だ。お前は俺を見ていない」
「む、むう……。それを言われたら耳が痛い……」
英治朗はその姿を見ながら、また小さく呟く。
「ウブな反応はしつつ、やっぱり兄貴と貫通済みか?」
「か、貫通⁉︎」
顔を真っ赤にするライジン。
「ああ。---ヤった事あんだろ?セックス」
「なななな⁉︎また平気でそんな事を……!」
「やっぱり面白い反応をするな〜?」
「ボクは面白くない!」
「ま、じゃないとあんな場所で懐かしいとかなぁ〜?」
ニヤニヤしながら言う英治朗。
「むぅー」
しかし、頬を膨らませ、不服そうに抗議するライジン。
「……スマンスマン。お痛が過ぎた」
「……てないし」
蚊の鳴くような声で言うライジン。
「ん?」
聞き返す英治朗。
「シてない!---ケージとそんな事、シてない!」
叫ぶライジン。
「わ、判った判った。---悪かったって」
焦る英治朗。
「むぅ〜!---もう良い!怒った!今からシて!」
ライジンはグイって英治朗に近付いて言う。
「スマンスマン。あとで埋め合わせするから」
謝る英治朗はせめてもの態度だと思い、ライジンの目を見る。
しかし、それがいけなかった。
「あ、やべ」
ライジンの術中にハマったのである。
身体が上手く動かない英治朗は、
「ハメた訳……でも無さそうだな?」
「大丈夫、これからハメてあげるから」
「あらそう?俺、貞操のピンチ」
そう軽口を叩くが、英治朗はライジンに手を引かれ、ベッドに押し倒される。
「初めてだから、優しくしてね?」
「いや、お前から跨っていう台詞か?」
「煩い。黙れ」
ライジンはサキュバスと言うより、魔王その者であった。
手早く英治朗の寝巻きを脱がせ、自身も着ている服を脱ぎ、全身が顕になる。
しかも、力を解放しているのか、身体付きが少し大人びた。
オーラが今までと違う。
それに加えて忍者のスキル、幻術解除能力持つ英治朗だが、流石の魔王相手だと全く持って抵抗が出来ない。
「無駄だよ」
声も威圧感のある、少しくぐもった声で、普段のボーイッシュな感じではない。
「だからお前が追っているのは兄貴だ」
「おや?未だ自我があるのか。流石だねー?」
「この程度で意識を飛ばす様じゃ、忍者失格だったからな?」
英治朗は少しニヤっと笑う。
ライジンは溜め息を吐く。
「はあ……どうやったら信じてくれる?」
そう言いながら、英治朗の股間を手で刺激する。
英治朗は刺激に抵抗出来ずに勃起するが、聞き返す。
「何を、だ?」
「ケージの事はもう何も思ってないのを?」
英治朗は鼻で「ふん」と笑う。
「---薄情な奴だな?」
「あ、もうどうでも良いや」
ライジンは少し残念そうにするが、英治朗への刺激は辞めない。
「何だ失望したか?」
英治朗は更に煽った。
「ううん。君の気持ち。---折角の性欲解消なのに、何でそんなに嫌がるのかが判らなくてね」
「……」
「人のおっぱい揉んでおきながら」
「アレは少しイタズラしただけだ」
「ふーん……。じゃあ何?自分に言い訳して……」
ここでライジンは何かに気付く。
「---あ、判った。好きな人がいるんでしょ?」
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