第7話 早い再会 その1

 ---明け方頃。


 英治朗は下半身でモゾモゾ動く謎の感覚を覚えて半覚醒する。


「んお?な、何だ……?」


 布団を剥がすと、添い寝?をするライジンに気付く。



「……ん〜、ケージ」



 英治朗の股関節に挟まって眠る彼女を見る。



(何が気を抜かずだか……)



 思いっ切り抜いていた英治朗。


 普段であれば簡易的な結界を張るが、今日に限っては---。



「コイツ破っているわ……」



 結界を破られていたのである。


(流石、先代魔王と言ったところか……)



 しかも英治朗は朝立ちをしており、ライジンの顔もそこへ間近くにあり。ビジュアルも気分的にも色々ヤバい。



「はぁ〜。……追っているのは兄貴の陰。---俺じゃない」



 英治朗は足を交わして、ベッドに座る体制になる。


 次にライジンのおっぱいを揉む。



「---けども。ま、俺も男ですし、こう言う事されても、文句は言えませんよねぇ〜?」


 と、自分に言い聞かせながら、柔らかな膨らみを堪能する。



「……あんまり調子乗らないでおくか」





「起きてるんだけど?」





「うわ出た⁉︎」



 わざとらしく驚く英治朗。


 ライジンは呆れる。


「……わざとらしい」


「ははは。潜り込むからには相応の覚悟があると見たが……」


 英治朗は立ち上がってライジンへ背中を向ける。



「---お前が追っているのは兄貴だ。俺じゃない」



 そう言った英治朗はそのまま軽く身体を解す。


 ライジンは英治朗の背後で、


「結界、明日から強くする?」


「……当たり前だ。幾ら抜け忍と言えども、寝首を狩られては恥だ」


「……そっか」


 そう呟き、少し残念そうにする。


「それより良いのか?---引き継ぎしなくて?」


 英治朗はチラッと後ろを向くと、ライジンがベッドに腰掛ける感じで座っていた。



 ライジンは頷く。


「うん。少し時間を止めてマニュアル作ったから」


「……しれっとすげぇ事しやがる⁉︎」



 これには流石の英治朗でも驚く。



 ライジンはドヤ顔で言う。


「でも、これも昨日、君から“吸精”したお陰だけどね?


「うげぇ⁉︎---いつの間に……」


「そんな嫌がらないでよー。落ち込むなぁ〜」


 むくれるライジン。


「“吸精”ってセックス以外でのやり方ってあるの?」


「なななな⁉︎」


 急に恥ずかしがるライジン。



 英治朗はこれに少し驚く。


「おい、昨日はまんざらでも無さそうだったクセに……」


「いやぁ、それはその……。直接的表現はな何と言いますか。気分が乗らないと恥ずかしいと言いますか……」


 少し恥ずかしそうにするライジン。


 英治朗は少し面白いのでそこを突く。


「じゃあ、俺と初めて会った時は勢いでセックスしようと迫ってきた?」


「はううぅ……。---はい、そうです。つい、思いが溢れて興奮してしまい……。


 観念したかの様に言うライジン。


「あのまま、俺が逃げなかったらエッチな事してたのかー。惜しい事したなー」


「ひゃうう、エージの意地悪!」


 抗議するライジン。


「スマンスマン。調子に乗った」


 謝る英治朗だが、



「もう!そんなに言うなら襲っちゃうぞ!」



 そう言って背後から何かが飛んで来たので、


「ひょい」


 英治朗はそれを犬猫の要領でキャッチして、クルッと回って、ゆっくりと床へ犬猫の様に降ろす。


 ライジンは一瞬、何が起きたか解らなかった。


「……えっと。……あれ?」


「とりあえず、薄い壁と床だから大人しくしてくれ。---ヤるならラブホだな」


「ラララララブホ⁉︎」


 また恥ずかしがるライジン。


「……お前の恥ずかしがるポイントが判らん……」


 英治朗は呆れながらベッドに座る。


 そこで改めて、“吸精”について尋ねる。

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