知らずに超高難易度ダンジョンに潜っていたソロ専の俺、うっかり美少女ダンジョン配信者を助けてしまい師匠と呼ばれ大バズり。そして何故か俺まで配信者になってしまった~薩摩ラビットはもう逃げない〜
第20話 ラブコメじゃないよ師弟だよ多分おそらく
第20話 ラブコメじゃないよ師弟だよ多分おそらく
【コメント欄】
>何言ってんだこのライオンはwww
>まさか※※を!?
>検閲かかるような発言控えてくれチャンネルがBAN対象になる
>初めてって……
>ゴクリ
>師匠がどうかしたのか
>師匠が性的に襲われたのか!?
>逆NTR?
>ある意味正解
>ついさっき陽蜂レモンと戦ってたぞ師匠
>ひえっ
>ひええ
>襲われたんか師匠www
>手をつけんの早すぎだろあのバーサーカーw
>レモンちゃんにやられたのか
>滅多刺しやろなぁ
>いやドロー
>ファッ!?
>嘘だろ
>いやいやいやいや
>チャンピオンにドロー!?
>あの殺人蜂にドローとか
>シシマロでも負け越してんのに!?
>ほんとだ記事になってるwwwww
>自爆でドローとかえげつなさすぎ
>流石師匠汚ねえwww
「あーあーそうだよねーレモンちゃんは手を出すよねーそりゃそーだよ師匠強いし。私が戦いたかったけどさー取られるのは知ってたけどさーふーんだ」
>すねてるw
>すねまくってるな
>黒うさめえええええええ
>黒うさしねし
>師匠アンチさん元気ですねw
>あれは事故だ
>アレは交通事故だマジで
>箱の統制どうなってんだ責任問題だろ
>お前『ダンジョンフレンズ』は初めてか力抜けよ
>高校生組でもあの秩序の無さだぞ大人組なんかもう無法地帯だw
>むしろ師匠が最後の良心
>わかる
>それ
>それな
……ええ、本当に俺のせいですねてんの?
コメントにもあるように交通事故みたいなもんなんだけどな、アレは。
これ俺が行っても逆効果のような気がするんだけど……どうだろうか。
ええい、迷っていても仕方がないか。
シシマロのいる場所はそんなに遠く離れていなかった。配信を見ている限りはここから止まったエスカレーターを下ってすぐのホームにいる。
「うわ、ほんとに寝てる」
いじけて寝てる推しってのもどうなんだろうか。朽ちたベンチに横たわっているのは紛れもなく獅子崎マロンだった。
「おーい。シシマロ〜!」
声をかけてみる。
するとピクリと反応したシシマロがシュタッと跳ね起きて、こちらに走ってきた。
身構えたその時、腹に衝撃。
シシマロはスーパーな頭突きよろしく途中からダッと踏み切り地面と平行に飛んで、そのまま俺の腹に頭から突っ込んできた。
「師匠!」
「グエエ!」
変な声が出た。別にダンジョン内でフレンドリーファイアがあるわけではないのだけれども、どつかれたらそれなりの衝撃はある。今回の場合は体重を乗っけての頭突きだったので、スッテーンと転んでしまった。
「な、何すんだよ……ってあら?」
起き上がって見てみると、獅子崎マロンはそのまま地面に伏せていた。手足をピーンと伸ばしている。何やってんだこの子は。
【コメント欄】
>師匠が来たw
>師匠お疲れ様です
>黒うさぁああクソがああああ
>いやここは喜んでやれや
>最後の良心だぞ
>師匠優しいなさっきまで戦ってたのに
>放送事故直前に師匠が助けにくるとか流石はシシマロ
>毎回毎回伝説を作ってくれるから飽きないなw
>みんな突っ込まないけどあれスーパー頭t
>やめろ莫迦
>怒られるだろ書くな
>エドモンド某とかコメントするなよ絶対だぞ
>何かのスキルかと思ったw
>俺もw
「シシマロ?」
「……取られた」
「何が」
「師匠の初めて」
「その言い方誤解を招くからやめよ?」
「私が一番最初にPVPやるつもりだったのにぃ」
「ねえ皆して何で俺の首を狙ってるの? 戦国時代なの? 首よこせお化けなの?」
「レモンちゃんの方がいいもんね?」
「ええ?」
「レモンちゃんの方がPVP強いし」
「いや事故だよ。喧嘩ふっかけられたんだって」
「……」
「ホントだって」
「…………」
「それにレモンさんとはドローだったし」
「……………………」
「シシマロのいう初めてっていうなら、まだ誰にも負けてないよ。勝ててもないけど」
そういうと、ムスッとした顔で起き上がるシシマロ。
後ろの方でゴブリン達が「もういい?」みたいな顔をしているけれど、伝わるかどうかわからないが首を振っておいた。すると驚くことに肩を落として去っていく。何だこのゲームリアルすぎるだろ。
「それに初めてっていうならシシマロに全部取られてるし」
「?」
「君みたいになりたいなーってここのヘルモードに意地になって潜ってたし。君に拾われて配信者になったようなものだし」
「迷惑かけた」
「それについてはそう思うけど、感謝の方が大きいから。ね、機嫌直してって」
「うー」
「君の横にいるのを恥ずかしくないように頑張ってるだけ」
「うー!!」
>何だこのラブコメ
>リア充爆発しろ
>リア「獣」爆発しろ
>爆発しろ
>爆発しろ
>爆 発 し ろ
>師匠紳士だなw
>ラブコメというかほとんど保護者だけどなこれ
>ラブコメなのかこれはwww??
>やってることが小学校の先生
>『ダンジョンフレンズ』では貴重な先生ポジ
>黒ウサアンチ寄りだったけどちょっと見直した
>師匠全部シシマロに報いるためなんだな
>まあ公式にもシシマロ推しって書いてあるしな
>ワザとやってるなら商売うまいな恋愛関係じゃないわけだ
>見守りたくなる関係
>師匠の今日の配信のアーカイブ最初だけ見てみシシマロのためって健気で笑える
>泣きながらアイドル対応しとるww
>アカン師匠が可愛く見えてくる
>百合みてーなもんだと思えば全然アリ
>なるほど
>なるほど
>なるほど
>天啓を得た
>おいおいまた性癖ぶっ壊れてる連中がいるぞ
>師匠ほんとに性癖ブレイカーだなw
>ええいじれってえ俺いやらしい雰囲気にしてきます!
>誰かそいつを止めろw
「……ガッカリした?」
「何が?」
「こうして不貞腐れてるの。自分でも時々こうなってるのわかってるのに……ついやっちゃうの」
「別に」
シシマロの横にヨイショ、と座る。
念の為に【捨てがまり兎】を何匹か展開して背後に座らせておいた。一匹だけ抱えてはい、とシシマロに手渡す。
「何これ! カワイイ! 眉毛ふっとい! もふもふ!」
「よく見たら有名なスナイパーみたいな目つきなんだなこの子達」
レモンさんとの戦いでは精悍な顔としか思っていなかったけど、よくよく見れば
「用件を聞こう………………」
って言ってきそうな顔してる。持ってるボウガンもスナイパーライフルみたいだ。黒塗りなのは寄せ過ぎじゃないかなと思う。
「師匠こんなスキル使えるんだ」
「前の【ラビット】の時の【ラビットデコイ】方がカワイイ感じだったけどね」
「ううんこっちの方がいい。絶対女の子ウケする」
「何言ってんだこの子は」
「多分今社長が公式に電話かけてグッズ作る打ち合わせしてると思うよ」
「商魂たくましすぎでは?」
「それがウチらの社長じゃん。ね、みんな欲しいよね?」
とシシマロがいうと、コメント欄が滝のように
>欲しい
>言い値で買う
>単体と師匠抱きつきとシシマロ抱きつきバージョンお願いします
>ぬいぐるみでくれ
>ねんどろいどで頼む
とドバーッと流れている。流石はシシマロだ。彼女が「欲しい?」と聞けばみんな欲しがるのは当たり前だ。が、天然でやるところがいやらしさが無い。そういうのは全部茜さん達バックヤードが受け持つという棲み分けがしっかりできている。
[ちなみにハルトきゅんのねんどろいどはもう作ってるから。そのゴルゴ兎も今、グッズ班が急ピッチで企画まとめてるわよ]
ゴルゴって言っちゃったよ。てか商売が早い。シシマロの言うとおりだった。
やっぱりこの世界ってスピード感が大事なんだなぁ。すごい世界に来ちゃったなと改めて思っていると、ふと顔を塞ぐ影。シシマロがこちらを覗き込んでいた。
「師匠」
「?」
「ありがと。来てくれて」
「どういたしまして」
「またコラボになっちゃうけどいいかな?」
「別にいいんじゃないかな。どうせヘルモード進むなら、二人でいくしかないしね」
「そうだね……「二人で」行くしかないもんね……ンフフ」
「今度はどしたの」
「いや、別に? ンフフフフ」
何だかよくわからないけれど機嫌が治ってくれてよかったよかった。
コメント欄が何か荒れているような気もしないでもないけど、まあ炎上じゃないから大丈夫だろ。
……お、リア充爆発しろってか。
そんな仲じゃないわい!
「「「ギギィー!!」」」
突然背後のゴルゴ兎たちから声が上がった。
―――――――――兎―――――――――
お読みいただきありがとうございます!
面白かったらコメントや♥
★★★やレビューにて応援して頂けると
今後の執筆の励みになります。
よろしくお願いします!
―――――――――兎―――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます