第14話 【インビジブルF】陰キャが初めてシティに来た【黒羽ハルト/ダンジョンフレンズ】

「あ、はいそうです。黒羽ハルトです!」


「え、チャンネル登録してくれたんですか!? ありがとうございます!」


「頑張るから応援してくださいね。お姉さん」


「……あああ恥ずかしい。知らない女性にお姉さんって言った事ないよ」


「あ、そうですよ。黒羽ハルトです。こんにちは!」


「パーティーはちょっとごめんなさい。でも、視聴者のためになる冒険するから見ててください!」


「……うおお俺の顔がフルオートで営業スマイルになる。訓練怖いよぉ」


「いや別に騙してるわけじゃないんだけど。本音だし。正直嬉しい。こんなにみんな慕ってくれるなんて」


「うう、でも、俺なんか変わっちゃった……仕事って大変……」


「あ、はいそうですよお兄さん。俺が黒羽ハルトです!」


「これも脱陰キャのため……シシマロの横に立っても恥ずかしく無いように……グスッ」



【チャット欄】

>師匠すげえなさっきから全部対応してるじゃん

>この落差がまた笑えるwww

>泣くなよwwwwwww

>クッソ可愛いしんどい

>配信には赤裸々に見せてくれるのがまたw

>一旦対応が終わると俺らになるんだよなw

>これが金を稼ぐということッッッ

>相当訓練したんだろうなぁ

>仕事に真摯なのは伝わってくる

>シシマロファンのためにもやってんだなw

>まあシシマロに拾われたようなもんだし

>師匠なのに義理堅いw

>配信業ってか芸能ってこええな

>ダンジョンフレンズも酷なことすんなw

>そうかいワイはええと思うで

>裏表あるっちゃあるけど無いっちゃないから新鮮だw

>可愛いのはいいが師匠が延々と無双するのも見たい

>わかる

>ただ師匠は強すぎて参考にならないからなw

>それな

>真似して【ラビット】使ってみたけど苦行すぎワロタ

>あれは師匠のためにあるような才能タレントだからな

>自衛官の友達は結構使えてるみたいだけど

>よくよく考えればガチ兵士の戦い方だもんな

>え、師匠軍人?

>んなわけあるか未成年だぞw

>これ以上属性を盛られたら頭が破裂する

>師匠wwwwww

>師匠ほんとに頑張ってんなw

>なんかアイドルの成長をイチから見てる気分だ



「おっハルトじゃないか」

「おーやってんねぇ黒ウサくん」



馬庭まにわアケビと陽蜂ひばちレモン!?

>何でこんなとこにいるんだよw

>コラボ?

>いやなんか偶発的っぽいなこれ

>まにわんもジャージ勢だけどこれはこれで可愛い

>マジでこの人スキンに金かけないよな、まにわん

>RTA系が凄いからいいんだよその分

>色んな意味でウマ娘だよな

>レモンちゃんは相変わらずロリィタなのな

>逆に金かけまくってるからなレモン

>真反対の二人が仲良いのは結構可愛い



「あ、お二人とも。こんにちは!」

「ぐぅ」

「?」

「可愛いな。なんだその服は」

「いやこれ社長が……って何すかアケビさん目が怖い」

「失礼。悪気はない」

「悪寒は走りましたけど」

「許してやって。こう見えてアケビは可愛いもの好きなんだ」

「可愛いって……そんなんでもないですよ。お二人に比べれば」

「可愛いだろ! 怒るぞ!」

「なんで怒られるんだ俺」

「てかよー普段は黒ジャージなのに何だこのめんこいのは」

「や、やめてレモンさん引っ張らないで!」

「ははは何だこの反応。今度リアルでもやったろ」



>事務所の先輩達がいびってる

>ダンジョンフレンズの洗礼w

>まにわんが震えてるんだが

>レモンちゃんが師匠のジャケット引っ張ってる!

>何だこの可愛い光景

>馬庭アケビはクールウマ娘に見えて可愛いもの好きだからな

>まーたこの二人でルームに飾るぬいぐるみ漁りに来てたな?

>てか今「普段は」って言ってた?

>そりゃ事務所同じだから顔合わせるくらいするだろ

>普段も黒ジャージなのか師匠wwww

>そこはブレないんだな



「そいやマロンはどしたの?」

「社長命令で今日は離れ離れですよ。多分時間ズラしてヘルモード潜るんじゃないですかね?」

「はぁ〜ご苦労なこった。じゃ、黒ウサくんちょっとシティ一緒に回ろうぜえ」

「いいですけど……あ」

「どした?」

「社長が一緒に行けって言ってますね」

「さすが我らが社長」

「……アケビさんなんで震えてるんです?」

「気にするな武者震いだ」

「???」

「黒ウサくん触れてやるな。まにわんコレでも喜んでるんだよ」

「はぁ」



>アケビバイブwwww

>尋常じゃないくらい震えてるぞ

>おい大丈夫か

>割と心配になるレベル

>嬉しくて嬉しくて震える

>震えるぞハート!

>萌えるほどヒートってか

>やっぱりオッサンが混ざってるな

>まにわん真面目なのに卑猥って言われるのが何かわかった気がするw

>レモンがこの見た目でかなり下品だから打ち消しててちょうどいい

>引き算どころか乗算になってんぞ

>師匠逃げてwwww



「黒ウサくんは何か行く当てあるわけ?」

「特には。ノープランでした。降り立ったここもテキトーに選びましたし」

「え、そうなん? てっきりバトル好きだからこの第9区画に来たのかと思ってたけれど」

「???」

「ハルト。このシティの区画にはそれぞれ一つ大きなランドマークがあるんだ。例えば第1区画は公式アナウンスのための空中投影型の巨大モニターとか、色んな手続きのための役所みたいなのがある」

「第3区画はスキンのためのショッピングモールだったり。第6区画は競売所だね。第8区画はフリーマーケット。公園みたいな広いところにバザーが年中開催されてる。黒ウサくんも今度プライベートで行くといいよ」

「へええ。全然知らなかった」

「ハルト、今度一緒にバザーに行こう。君にピッタリなぬいぐるみがある店を知っている」

「あの、特にぬいぐるみは」

「金なら出す」

「アケビさん?」

「金 な ら 出 す ッ」

「ひえー」

「どうどうまにわん。目が完全にヤベエから。黒ウサくんが混乱してる」



>ヤベエよ……ヤベエよ……

>まにわんってこんなにヤバいキャラだったっけ

>真面目一直線に変態さんだな

>発情期じゃんかw

>第9区画っつって聞いたから今来てるけど困った

>何が

>三人とも可愛いくて近寄れない

>証拠スクショはよ

>おらよ

>尊ェ

>尊し

>尊死

>てぇてぇ

>性癖ブレイカー師匠ぐぅ可愛い

>ジャージの時はふーんだったのに何でこんなに衣装着せたら可愛くなるんだよ

>そういうもんだよ女の子は

>待て待て待て待てwwwwww

>正気に戻れ師匠は男だ

>男だよゴリゴリの!

>チェストしてるときは益荒男だろ

>性別すら判別できないのがいるw

>素で間違えてないか?

>俺も震えて声かけれねえwww

>行けよ!

>そこまで行って何で行かねえんだよヘタレ

>ホンマつっかえ

>自分も来てみたけどこりゃ可愛いな



「人が集まってきたな。ハルトの可愛さに惹かれたか」

「うわぁ何かフェスみたいになってきた」

「黒ウサくん。話の腰が折れちゃったんだけどさ。ここの第9区画にPVPのスタジアムあるから行ってみない?」

「ああ、シシマロが時々やってるあそこですか」

「そ。黒ウサくんもサイキョーだからさ、高い所から王者の風格かましてやんなよ」

「ええ。俺そういうのはちょっと」

「いいからいいから。ちょうどアタシも参加するつもりだったから」

「え、レモンさんが!?」

「ハルト。そいつは【人刺し蜂】の異名を持つバトルジャンキーだぞ」

「マジすか」

「おいおい先輩の事くらいちゃんと把握しておけよー」

「すいません……公式の設定はそんなの無かったような」

「ハルト。Vの者やフルダイブゲーム配信者の公式設定はあってないようなものだ。覚えておくといい」

「……勉強不足でした」

「ひひひ。じゃあさ――」





「先輩命令でさぁ……一発ヤらね?」

「はい?」





>あっ

>あっ

>あっっ

>こいつwwwwww

>今のセクハラじゃないの?

>レモンちゃん初心者か?

>レモンの事を知らんのか

>まにわんが言ってただろバトルジャンキーだって

>レモンちゃんもしかしてこれが目的か?

>露骨な後輩つぶしじゃねーか

>いやまぁ初見ではわからんよ彼女は


 

「わかるだろー? 一発るんだよぉ〜」

「あの、もしかして対戦求められてます? PVPの」

「皆まで言わせんなよ恥ずかしい」

「あ、アケビさーん」

「すまんハルト。もうこうなったレモンは止められん」

「えー! ……って! 社長も面白いから良しって言ってる! ナンデ!?」

「へっへっへ……ごめんな。普通はこんな風にお誘いしたくなかったんだけどさぁ」



>ひえっ

>出たwwwwww

>おっかねえ笑顔

>モンスターじゃねえかw

>本当に『ダンジョンフレンズ』って濃いキャラ多いな

>シシマロはガチ攻略者、隈ミカは要救助者、まにわんはボスRTA、レモンはPVPか

>師匠どうすんだwwwwwww

>もちろん受けるんだろ

>仕込み?

>レモンちゃんについてはわからん

>レモンちゃんはゴスロリの皮を被ったバーサーカーだからわからん

>レモンちゃんはガチで戦闘狂だからな

>意思疎通可能、戦闘回避不能。それがレモンちゃん

>やっぱりモンスターじゃないですかやだー!



「なぁ黒ウサくん……濃ゆぅ〜いバトルスケベしようや……」




―――――――――兎―――――――――

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―――――――――兎―――――――――

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