第9話吉田の想い

バスの中で、神宮寺は爆睡している。頭は、吉田の肩に乗っかってる。

吉田はドキドキしながら、目的のバス停で降りようと神宮寺を起こした。

神宮寺は、いっけね。と言って立ち上がり2人はバスを降りた。

「神宮寺さん、かわいいね」

「何が?」

「ずっと寝てましたよ。わたしの肩にもたれて」

「吉田、家に来ないか?」

吉田は歓喜して、

「是非、是非」

2人は神宮寺のマンションに向かい歩き出した。

吉田は、初めて男性の部屋に入った。吉田の部屋とは違い、ゴミ1つ落ちていない、きれいな部屋だった。

神宮寺はシャワーを浴びに行った。その間、彼が渡した缶ビールを飲んでいた。

神宮寺が部屋着で、髪の毛をゴシゴシしながら、出てきた。

「お前も、シャワー浴びるか?」

「わたし、着替えがないですから」

「次は、下着と寝巻きを持ってこい。また、飲む機会があるだろうから」 

俄かに、吉田は神宮寺の彼女になった雰囲気がする。

神宮寺は吉田に近付き、

「吉田、立て!」

吉田は意味も分からず立った。

そして、神宮寺は吉田の顔に唇を近付けた。

吉田はちょっと、背伸びをして2人はキスをした。

キスが終わると、神宮寺は冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注ぎ喉を鳴らして飲んだ。

「あ、あの、神宮寺さん。さっきのキスの意味は?」

「あ、分らないの?オレは吉田の彼氏になったんだ」

「神宮寺さん、まだ、酔っ払っているんじゃ……」

「酔ってないよ」

吉田はニコリと笑顔になった。

2人は3年後、結婚するのだが、それは未来の話し。

このカップルは、その幸せな結末をまだ知らない。

ここらで、終わりにしよう。


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明日、あの子は背伸びする 羽弦トリス @September-0919

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