第27話
勇気を出して、一歩ボス部屋の中に足を踏み入れる。やっぱり俺の匂いは間違っていなかったようで、しっかりとボスが佇んでいた。
あー良かった。これでやっと潰せるな。
………あれ?
『おい』
『ちょっとまて』
『逃げろ』
『逃げてくれ』
あは?嘘だよな?おいおいありえねぇだろ!こんなの!!
ボスが6体全員ここに集まってるなんて!!
「はっはっ。よく来たな、人間共。また我らの食物が増えるだけだがな。」
俺も、他の人達も、この状況に絶句し、固まっているところに、この部屋の中でもっとも強そうなモンスターが、俺たちに向かって話した。
なんか、特徴的な声だな?人間界でいうところのだみ声って言えばいいか、そんな感じの声だ。
「……おい。なんでここに6体いるの!?」
みんなが思っているであろう疑問を政村さんがぶつけるも、モンスターは大笑いして、
「そんなもん、全員を今この場で処理するためだろうが!SSSランク探索者さえ倒してしまえば!外に出たとしても我らは舞える!!」
……っち!処理するためなのかよ!うぜぇ!けどこっちも6人、向こうも6体。
十分戦えるだろ?俺、強いし。こういうときのために魔法の実いっぱい食べたんだからな!
「……そうかそうか、けど、6対6!十分戦えるだろ?人間を舐められたら困るんだぞ?」
「ハッハッハッハッ!!おい、『アキ』よ。よくバレずにここまでこれたなぁ!」
………『アキ』?誰それ。それが今なんの関係があるんだ…?
「あぁ。ちゃんと連れてきただろ?約束は果たしたぞ?」
……と言ったのは協会長。
!!!
『協会長』
『は?』
『おいおい』
『なにやってるんだ?』
『どういうこと?』
『なんで協会長がモンスターと仲良さそうに話してるの?』
音声をオンにしてるわけではないのだが、流れている異様な雰囲気を感じ取ったのか、チャット欄も荒れている。
ただ、起こっていることを視聴者の人たちに今伝えるわけには行かないので、一旦は放置だ。
今はとりあえず協会長の裏切りを止めないと…!
「そうだな!ちゃんと連れてきたのう。では、あのアイテムは持ってきたな?」
「もちろんだ。今すぐにでも、合体しよう!」
……合体?なんだよそれ。そんな事があって良いのか?いや、ダメだろ。許されるべきことじゃない。
けど、そんな事を思っているだけじゃ協会長たちが止まってくれるわけなくて。
協会長とボスモンスター6体は近づいていき…
「あ、そうだ。探索者たち。今まで私の手駒として働いてきてくれてありがとう。合体アイテムも、君たちから回収したものをありがたーく使わせてもらうよ。ま、あとはせいぜい頑張るんだな。」
協会長がアイテムを使い、モンスター6体と協会長は合体して、一体の人型モンスターへと生まれ変わった。
『おい』
『やばい』
『ニュース速報で出てる』
『同接多っ!』
『そんなことより!星斗たちが…!』
……あー。まじで?ほんとに合体するとは思わねぇじゃん。奇襲してくれるのかなっ?とかココロの中で思ってたけど…。
そういうわけじゃなかったんだな。
けどこうなった以上は倒すしかないよな。
「皆さん、協会長が合体したからといって、特にやることは変わらないんじゃないですか?俺達がやるべきことはモンスターを倒すことだけですよね?」
「……おう!」
「そうだね!頑張らないと!」
先程まではみんな生気を失った目で呆然と合体していくざまを見ていたけど、俺の鼓舞が効いたのか、みんなやる気が戻ってきたようだ。
「じゃあ行きますよ!ほむっ……」
「撃たせねぇよ。
相手が詠唱した魔法は、俺の魔法よりも早くに発動され、俺の魔法は結局発動できることなく、ボスフロア一帯を巻き込んだ。
……はぁ。はぁ。俺はなんとか大丈夫だった。声が聞こえてとっさに受け身を取ったからなんとかなったけど…。
他の人達は……
_______
もうすぐ完結しそうですね!
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