第24話
………近い。
これがSSSランクダンジョンに着いたときの最初の感想だ。
ほんとに近い。目と鼻の先に街の中心部があるくらいには。
安全性は…？とか思っていたのだが、なんと、SSSランクモンスターはダンジョンの外には出てこないらしい。
人を襲うのが趣味じゃないんすか？モンスターさん。
「では中に入るが。みんなで協力して進んでいこうじゃあないか。私達、６人で協力すればきっと大丈夫だ。」
と、協会長からの挨拶、もとい声出しを終えて、皆で中にはいっていく。
あ、そうだ。
「協会長！配信、したらだめですか？」
せっかく中原さんもいるんだし、コラボ会ってことにしてSSSランクダンジョンの中を写してしまえばいいんじゃあないの？
「………いいですよ。ただし、危なくなったらすぐに止めること。そして、私達のことは映さないこと。いいね？」
「はーい、ってことで中原さん、コラボです！」
「………は！？」
あ、先に中原さんに言ったほうが良かった？まあいいや。思いつきだし。仕方ない仕方ない。
「いいですかー？」
「まぁいいけど…。」
了承の返事（いやいや）をもらえたので、配信を始めることにする。
「ちぃーっす。星斗でーす！ゲリラ配信、しかもなんと今日は【ともチャンネル】さんたちと、SSSランクダンジョンに行きまーす！」
「どもー！突然コラボになりました。よろしくー」
『は』
『わっつ?』
『SSSランクダンジョンとは…（思考停止）』
『説明プリーズ』
『説明プリーズ』
『皆SSSランクダンジョンに引っ張られてともチャンネルさんに気づいてない件について』
「えーっとねぇ…、SSSランク探索者が集まって、SSSランクダンジョンを踏破しに行こうぜーってことなんよ。そこでともチャンネルさんとあったからコラボー！イエイっ！！ってこと。」
『やっぱりやばい星斗』
『SSSランクダンジョンを見れるんか…』
『歴史的』
『初めてだよな？』
『死なないでねー！！【中筋クルミ】』
「おう！死なねぇよ！あ、けど。映りたくないっていう人もいるから、ミュートにするけど、把握よろ。終わったら話すから」
『り』
『わかった』
『おけぇ』
で、皆にSSSランクダンジョンの中を写しながら進んでいくのだが…。
『モンスターいない件について』
『モンスターいなくね？』
『いねぇなぁ、』
『なんで？』
『怖い』
『逆に？』
「ねぇ…？いなくない？モンスター」
「それね…？」
後ろを歩いている鈴木さんたちもこの異変に気づいているようで、ヒソヒソと話している。
ヒソヒソじゃなくていいですよ？ミュートにしてあるので。
「協会長、全然モンスターいないですけど。」
……なんかすっごいデジャヴを感じるんだよなぁ…。――最近デジャヴ多くね？
「あぁ。けど進むしかないだろう。警戒は怠らないようにな。」
「わかってますよ！？」
その後も淡々とモンスターがいない異質なSSSランクダンジョンを進んでいくのだが、ほんっとうに不気味だ。
『怖いな』
『不気味がすぎる』
『襲われそー……』
『襲われないでください！！【￥20000】』
こういう時ミュートにしてなかったらすぐにお礼言えるんだけどなぁ…。
後でまとめてお礼言わねぇと。俺の生活が成り立ってるのはダンジョンもそうだけどスパチャも最近は役立ってるから。
『やっぱ暗くなってくるな』
『暗いよぉ〜』
『もうそろボスかな』
『ボスもいるのか』
『ボス、いない説』
……たしかになぁ…。真っ暗なんだよ。ダンジョンの中。
カメラの光とかでどうにか見えるようになってるけど、何もなかったら恐らく何も見えない。
「みんな、ついにボス階層に着いたぞ。今まではモンスターがいなかったが、だからといって気を抜かないように。」
協会長がそう言って、一番乗りに中にはいっていく。……おいおいおい。マージかよ。
＿＿＿＿＿＿＿
お久しぶりです。
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