第16話

 ……さぁ、次だ。次のダンジョンも都内らしく、前のダンジョンからでもすぐに行くことができた。


 ここのダンジョンは…?来たことないな?けど、Bランクダンジョンだろ?まー勝てるだろ。イレギュラーが起こっているとはいえ、SSSランクだし。


 なんて楽観視しながら、イレギュラーを治めるために中に入る。


 中に入ると…。


 見渡すばかりの、無、無、無。


 え?ここってダンジョンだよね?モンスターの一匹や二匹いないの?


 ………と、驚きながら周囲を探し回るも、いない。敵の姿すら見えない。


 じゃあ、とりあえずボスまで行かないといけないよな?まさか協会の情報が誤報なわけないし。






 _______






 そして、結局一匹もモンスターと出会えないまま、ついにボスの少し前まで来てしまった。


 けど、ものすごい殺気を感じる。今までとは――うん、ゴブリンなんかよりもずっとずっと強い、少し気を抜けばすぐに気圧されてしまいそうな殺気。


 ……はぁ。しゃあねぇ。中に入るか。こんな強そうな敵とあったことないから勝てるか不安なんだけど…?


 と、中に入るなり、


「よく来たなぁ…。冒険者よ。いや、人間社会では探索者、と呼んだほうがいいのか?」


 人型だ。人型のモンスターが、しかも今度は相手の方から話しかけてきた。


 とりあえず答えといたほうが良いのか?今すぐに襲ってくるって感じじゃないしな。


「そうですね。探索者、ではありますが。ここでイレギュラー、起こってるんじゃないんですか?」


 と聞くと。その人型のモンスターは大笑いし始めて。


「おい。なにが面白いんだよ」


「気づかなかったのか?なんでこんなにもモンスターがいないのか。まぁ、わしが全て食ったのだが。そうだな、特別に教えてやろう。。」


 ……なぁ。やばいよな?これ。2対1ってことだろ?いや、流石に俺でもSSSランク相手に2対1は苦戦するぞ…?


「おうおう小童。ビビってるのか?なぁに。すぐに儂らが殺してやるよ。のう、『ギガントナイト』よ。」


 そう人型のモンスターが言うと、奥から、眼の前の敵よりも更に強い気配を漂わせたモンスターが出てきた。


 ―――こいつは危険だ。俺の本能がそう言ってる。すぐにでも攻撃に打ってくる危険がある。


 と。俺が戦闘態勢に入ると、


「お、やるのか小童。一人で大丈夫なのか?」


 はっ。どこまでいっても舐められてるな、俺。それとも、そんなに俺がイケメンなのが悔しいか?


 どっちにしろ、潰してやるよ。


「大丈夫だよ、人型の化け物。そこの『ギガントナイト』だっけ?そいつもまとめて潰してやるよ。」


「せいぜい頑張るんじゃな、小童めが。いいぞ?お前から攻撃してきて。ハンデってやつじゃ。」


 何だよ、ギガントナイト。お前じゃあ俺には勝てねぇんだよ。


「じゃあ、遠慮なく行かせてもらうぞ?『灼熱フレア』。」


 一対二。ということは、さっきの敵に使ったみたいな単体攻撃は使えない。同時に攻撃しながらまとめて倒すってのが理想的なんだ。


 だから、今回は中範囲炎魔法攻撃、『灼熱』だ。


 さぁ、効いたか?


「はっ。お前はせいぜいこんなものか。こんなの、防御に徹しれば屁でもないわ。」


 ―――まじで?全くと言っていいほど効いてない。こんなに防御が硬い敵、初めてなんだが?


 これは、もう舐めてはかかれない。全力で行かないと。任務なんだ。手を抜いて、負けるなんてことは絶対に許されないから。


「―――お前ら、俺に本気を出させたこと、後悔するんじゃないか?」


「「儂らが負けるわけがないだろうが。」」


 そうか。ハハッ。面白くなってきたじゃねぇか。第2ラウンドだ。どっちが強いか、決めようじゃねぇか。





 _______





 儂らっていうと某滅の刃の半天狗さんを思い出す今日このごろ。

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