第4話
暫く隊列で走っていたが直線道路に差し掛かったところで1台のハーレーがサイドカーに並んだ。ハーレーのライダーが岩本に目合図を送るとと岩本は親指を立てて返した。10分くらいその体制で走ると別のハーレーと入れ替わった。彼らは走りと排気音を楽しんでいるようだった。
旧道は案の定通行量も少なくてとても走りやすくライダーに気持ちの良いツーリングを提供してくれた。サイドカーの優子はイアホンを付けてお気に入りいりのおんがくを聴いていた。岩本は時折優子の方を眺めながら自分の娘だったらこんな風なのかなと思いながらも2人のむすこのことを思った。
小山市の旧日光街道を走り抜けると岩本は鹿沼方面に向かった。鹿沼からは杉並木と日光に続く旧例幣使街道である。この街道は群馬からつながっており中山道、京都に続く歴史的街道である。
広い田園地帯で極端に交通量も少ない道を一気に走った一行は疲れも見せず杉並木に入った。両端が杉並木なので少しうす暗さと道路幅の狭さも感じるがさすがにギネスに登録されただけあって壮大さと歴史の迫力を感じさせた。
やがて杉並木が少し途切れた左側に広い駐車場が広がった。古民家風の堂々とした建物が現れ杉並木という蕎麦屋の看板が目に飛び込んできた。サイドカーの彼女がいきなり指をさした。岩本はすかさずブレーキを踏みハンドルを左に切った。ハーレー達もあわててついてきた。少し乱暴な駐車だったがハーレー達もスムーズについてきた。
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