甘き窓

帝菜

甘き窓

死ねとリプされて数へる冬の星


冴る夜や遺書に滲みぬ赦と言ふ字


母からのはてな数多の年賀状


ブロッコリ落つハムスタの夜食分


捨てられぬ毛布じいちゃん笑ふ夢


花冷の居間よ無視するアレクサよ


春雷や言つた言わぬの何回目


春愁ふ絞殺されしぬいぐるみ


蝶々や子宮へ急ぐロキソニン


梅雨晴間やけど注意の文字霞む


みづといふたましひのあじおおにしび


猫のゲロ踏んだついでに洗ふ髪


好きな子を助く妄想青嵐


鬱病の脳の隙間に満つゼリー


ゆふやけや百年すれば我は居ぬ


澄む秋の蜜湧くやうに甘き窓


読みかけの自己啓発書地虫鳴く


風呂入る気力ゼロパー月を浴ぶ


イヤホンの見つかる九月の枕下


夢窓忌や我を養ふ肩を揉む

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甘き窓 帝菜 @mikadonana

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