第8話 センセ、ズルいの?優しいの?

「……ポ○キー…食べ終わっちゃったね……一緒に…いる理由…もう…無いね…」


(ゴツン…)


(車のハンドルに先生が頭を軽くぶつける)


「? センセ? どうしたの?」


「やっぱり…あたしの…胸…とか…太ももとか…実は…見たいし……」


(ぎゅっ)


(またハンドルを強く握る)


「…触れ…たいんでしょ?」


(キュッ)


(先生がくちびるを噛む)


「……堪えてるんだ…センセ…。まぁ…センセと生徒…だからね…」


「こんな風に…二人っきりで、車に乗ってたなんて…もしも…学校の誰かに見られたりしたら…やっぱり…やばい?」


「……何にも言わないんだね……。でも…それって…すんごい我慢してるって事…でしょ?」


「だって…センセ……汗…」


(サワッ)


(ハンカチで先生の首筋の汗を拭く)


「やだ…そんなに反応しないでよ……。ちょっと…触っただけじゃん……」


「拭いて…あげただけじゃん?」


「…え?あたしの顔も赤い?……そんなの…当たり前に決まってるじゃん…!」


「あたし……センセのこと…好き…なんだからさ……」


「好きな人の傍にいられるって……好きな人を…独り占めできるなんて…こんなに…嬉しいモノなんだね…」


「あ! 待って! エンジン…かけないで! …ごめん。変な事…言って…」


「え? そうじゃない?」


「あ……風邪ひくといけないから…暖房…少し…入れてくれるんだ…」


「なんか…ごめんね…」


「え? あたしらしくない? 何が? ゴメンって言うから?何よそれ。どういう意味?」


「あたしなら、ありがとうって言いそう?…そっか…こういう時は…ありがとうか…。だね…ありがと、センセ」


「あ―…あったかい…」


「って…わかった! センセ、そんな優しい事言って置きながら、本当の目的は、あたしのシャツ、乾かすつもりなんでしょ!!」


「ズッルーイ! 男って、マジ、ズルい…」


「え? …本当に、風邪ひいたら困るから?」


「本当? だって…そんなの…言い訳にしか……」


「…! 明日…古文の授業があるから? だから、風邪ひくな?」


「……センセ…やっぱり…優しいね」

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