第11話 因縁の対決

「そうじゃない・・・!


スクアーロは悪くない・・・。


俺は、たくさんの理不尽にあってきた。


だから、カンツウォーネのこと忘れるようにしてはずなのに、何度もフラシュバックして・・・。


それに、父さんのこともだ。


俺は、過去にずっと縛られてきた。


いつだって、今でもそうだ・・・!」


 俺は、泣きながら一生懸命に話す。


「そうか・・・・。


おいらは、貴様のことを探していた。


探していても、アーネストの居場所がわからなかった。


日本にいるのか、

それとも、どこかの島国なのか、

もしかしたら、大陸で生活しているのか。


ごめんな、今まで見つけられなくて。


もっと早く発見できていれば、そんな辛いことを経験することなんてなかっただろうに・・・・」


 ここで、大きな物音がした。

 と思ったら、ベランダが壊れた。


 落ちる・・・・!


「おいらにつかまるんだ!」


 俺は、あわててスクアーロをつかんで、学校から離れた場所に着地した。


「アーネスト、大丈夫か?」


 俺を心配して、声をかけてくれたのはカーロアミーゴだった。


「俺は大丈夫だけど、カーロアミーゴは?」


「俺も避難できたから大丈夫だけど、何人かが下敷きになっていて、今は救急車やいろんな人が来るのを待っているところだ。


って、鮫のぬいぐるみがいる!」


 カーロアミーゴは、浮いているスクアーロを見て、驚いていた。


「あら、井藤真はここにいるって思ったけれど、誤って殺しちゃったかしら?」


 声がした方を見ると、モデルのように細い体型の美人な少女は、カンツウォーネだ。


 俺が、井藤真だということに気づかなきゃいいんだが。


「この男子校に、こんな美人な女の子なんていたっけ?」


 カーロアミーゴは不思議そうな表情をしていた。


 俺は、カンツウォーネに質問を投げかけた。


「学校が破壊されたんだが、もしかして君が犯人だったりするの?」


「根拠もなく、人を疑うの?


もしかしたら、劣化によって崩れたのかもしれないわよ?」


「どんなに劣化していたとしても、学園が何もないところで、崩れるなんてことはない。


誰かが何かしない限りはね。


それに、君はこの学校の生徒や先生でもないんだろう?


なら、最初に怪しむのは君の方だ」


「すごい推理力だわね。


正解よ。


証拠がない中、よく真実にたどり着けたわね。


学校を破壊したのは、紛れもなくあたしよ」


「どうやって?」


「蹴りの一撃でよ。


あたしは、井藤真を苦しめるために、3年間も修行して、一撃で建物を破壊できるほどになれたの」


 修行しただけで、学校を一撃で破壊できるなるか?

 明らかに無理がある。

 学校は雨にも風にも負けないくらいに丈夫に作られていて、ちょっとのそっとじゃ壊れない。


 カンツウォーネが人間離れした怪力を持つのか、

 あるいは、嘘をついているのか。


「あーら、スクアーロじゃないの?


久しぶりねえ」


「カンツウォーネ、まさか、一撃で建物を破壊できるほどの力をつけるとは」


「ええ。


だって、あたしは殺人鬼の娘ですから」


 カーロアミーゴは、剣を構え、震える手でカンツウォーネに立ち向かい、カンツウォーネは蹴りだけで剣を折った。


「俺の剣が・・・・」


 カーロアミーゴは青ざめていた。


「あたしに歯向かうとか、命がほしくないのかしら?」


「犯人がわかったなら、友達と大好きな先生の仇をとるだけだ!」


「カーロアミーゴ、彼女には勝てない!」


 俺は、叫んでカーロアミーゴを止めようとした。


「井藤真が何だが知らないけど、この学園の友達は俺のかけがえのない家族であり、親友だ!」


「家族・・・・?


親友・・・・?」


 カンツウォーネが不思議そうな表情をしていた。

 何か、考えているようだった。


「そうだ。


だから、許さない!


覚悟!」


 カンツウォーネはスバヤイ動きでカーロアミーゴを殴り、蹴り続け、カーロアミーゴは倒れた。

 顔から大量の血が出ていた上に、カンツウォーネに顔を踏み潰されてから動かなくなった。


 俺は、こわくなって動けなくなった。


「嘘だ・・・・・・。


嘘だよ・・・・・。


こんなの現実なわけない・・・・」


 そして、カンツウォーネはカーロアミーゴの上半身を蹴りで潰し、下半身を潰し、その次は足までも潰してしまった。


「あ・・・・。


あ・・・・・」


 俺は、言葉すらもでなくなっていた。


「いやだ・・・・・。


こんなの・・・・・」


 怯える俺に、なぜかカンツウォーネが微笑んでいた。


「これで、死体処理しなくていいわね。


たしか、最後は死体を燃やすっていう面倒なことをするのよね?


あたしが責任を持って、最後まで処理しておいたわよ」


 狂ってる。

 こんな人が俺の幼馴染み?

 こんな奴は、救いようがない。


 俺は、こいつが早く警察に捕まって、死刑になるところを想像してしまうくらいに、怒りと恐怖を覚えた。


「カンツォーネ、これ以上の一般市民を犠牲にした狼藉を重ねるな!」


 スクアーロは叫んだ。


「あーら?


見てるだけで、何もできないじゃない?


それなのに、こんなでかい口が叩けるわね。


親の顔が見てみたいわ」


 スクアーロは、悔しそうに歯ぎしりしていた。


「復讐のために、手段を選ばれない貴様は、殺人鬼以上だ!


関係のない人ばかりじゃないか!


おいらは、貴様が理解できん!」

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