第7話 突然の別れ
「私は、真君か好き。
恋愛感情として」
真君は、驚いていた。
やっと、言えた。
私は安堵したその瞬間、
「それじゃあ、俺たちは友達でいられないし、俺はもうすでに好きな人いるから」
真君は冷たく答えた。
「ーっ!」
「俺は、華ちゃんのことが好きなの」
「さっき、振られたばかりじゃん?」
「たった今、華ちゃんのことが好きになったの。
君の親友という人」
こうして、真君は去っていった。
嘘、振られた・・・・?
やっとの思いで、告白したのに?
家に帰ってから、華ちゃんから電話がかかってきた。
「赤音に謝らなくちゃいけないことがあって」
「なあに?」
「私ね、井藤君に告白されて、付き合うことになったの。
ごめんね」
こうして、一方的に電話を切られた。
こんなことになるなら、告白しなければよかった。
私は一人で泣いた。
自分の部屋で、誰にも聞こえないように静かに泣いた。
私は小学2年生になり、誠君と違うクラスになり、華ちゃんとも違うクラスだった。
だけど、失恋の傷からは立ち直れていない。
華ちゃんと真君は学校で有名なカップルとなった。
だけど、華ちゃんはしばらくしたら、亡くなっていた。
殺人事件に巻き込まれたらしい。
多分、犯人は決まっていて、カンツォーネさんだと推測ができる。
ここから、私は真君からアプローチをされるようになった。
「赤音、もし俺のことをまだ好きなら、付き合ってくれないか?」
ここで、私は真君が嫌いになる。
「自分から振っておいて、何なの?」
「赤音が必要だって、今になって気づいたんだ。
俺たち、やり直そう」
「華ちゃんのこと、好きなんでしょ?」
「あいつは、故人だから・・・・」
「私と真君が付き合ったら、どうなると思う?」
「それは大切にするし、守るよ」
「有言実行なんて、本当にするの?」
「え?」
私は、腹が立ってくる。
真君が好きなうちはこれも含めて、許せたけれど、恋愛感情がなくなった今は、これが苛立ちしか感じなくなってくる。
「私は、とっくに真君に対する気持ちがないの。
それに、私と真君がカップルになったら、カンツォーネさんに狙われるし、命を落としたくない」
「俺が守るよ」
「守りきれてない」
「俺のこと、好きなんだろう?
だから、告白したんだ。
あれは、罰ゲームだったのかい?」
「罰ゲームでもないけど、あの時は本気で好きだったから、告白した。
だけど、それはその時限定の気持ちなの。
今は、真君に対する気持ちがない」
冷たく言う私に、真君は叫んだ。
「嘘だよ!
赤音は、本気だった!
認めない、認めないよ!」
これは、今となっては鬱陶しい言葉でしかない。
真君は泣いていたけど、同情なんてしない。
今にもストーカーに走りそうな気がして、それが嫌で嫌で仕方なかった。
「虫が良すぎると思わないの?」
「え・・・?」
「告白をして、受け入れなかったのは誰?
他に好きな人がいると、その人と付き合うことを選んだのは、他の誰でもない。
それでいて、どうしようもできなくなったら、私に頼る。
おかしくない?
私は幼馴染であっても、君のお母さんでもないし、先生でもない。
都合よく、何でも手を差し伸べられる存在じゃないの。
それに、小学2年生にもなって、自分のことが自分でできないなんて、そんなことあるの?」
「それは・・・・」
真君は、戸惑っている様子だった。
だけど、私は続けた。
「保育園の頃の腐れ縁だから、いろんなことを我慢してきた。
だけど、私も自分の人生を歩みたいの。
本当は私立の難関小学校に行きたかったけれど、それですらも真君のためだけに我慢してきたけど、私もやっぱりそのことを諦められてないの。
保育園の頃も、辛かった。
紫帆ちゃんが事件に巻にき込まれたせいで、その保育園が事件が起きたとして、有名になったの。
私は、世間から被害者の友達として見られたの。
幼稚園に行けば、そのことから開放されると思っていた。
だけど、波乱万丈な人生はここで終わらせてくれなかった。
青葉ちゃんにも避けられるようになって、緑ちゃんは裏切りの状態で、真君さえ信じれば何でもなると思っていた。
だけど、今ので確信したよ。
真君といる限り、幸せになれないって」
私も、限界だった。
これ以上、誰のことも犠牲になんてしたくない。
「そっか・・・・。
辛かったんだね・・・・。
ごめん、これも俺のせいなのか。
なら、無理強いはしない。
俺たち、友達になれないの?」
真君の目には、涙で溢れていた。
「なれない。
多分、これからもなることはないと思ってる」
真君は何も言わずに、その場を去っていた。
これでいいんだ・・・。
これで・・・・。
次の日からは、朝のホームルームで、担任の先生から驚きの発言を言われた。
「皆さん、聞いてください。
井藤真君は、今日から転校することになりました」
え?
転校するの、早くない?
今日までいたのに、明日から転校なんてことできるの?
「先生からのお知らせは、以上になります。
皆さん、さびしいかもしれませんが、楽しい学校生活を送るようにしましょう」
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