第2話 黄金に挑め
レオンは黄金のスーパーロボットに突撃する。
今更だが、冒険者にはスキルと魔法がある。ただ全ての冒険者が使えるわけではない。スキルがない者もいれば、魔法が使えない者もいる。
レオンこと獅子神 信長はスキルと魔法を使える人間である。ただ、使えるスキルや魔法は地味なものばかりである。
スキルは鑑定、モンスターや人物、無機物を鑑定できる。だが、冒険者では攻撃に関係するスキルが優遇されているため地味…というより不遇である。
魔法は強化魔法。身体能力を上げる魔法だが、身体能力を上げすぎると動けなくなってしまう。この欠点が原因で冒険者達からは不遇である。
そして、レオンはそれを最大限使うことを決めた。そうでもしないと、あの黄金のスーパーロボットには勝てないと判断したからである。
レオンはまず、強化魔法を全身に掛けた。聴覚・視覚なども含めて強化すると、鑑定を発動する。
鑑定は攻撃には使えない…だが、レオンは独自の使い方を行った。見るのは黄金のスーパーロボットではなく、ミサイル…の軌道。
それを鑑定したレオンはミサイルの雨をできるだけ回避する。破片や爆風が掠るだけでダメージを負い、体力を削られていく。
「ふざけんなよお前!」
あまりの無茶苦茶っぷりに口が悪くなるレオン、一方配信では
<<いやもう完全にスーパーロボット>>
<<あかん、間違いなくS級や>>
<<というかなんで避けれてるんや…>>>
<<<強化魔法で無理やり回避してるのか?というか、あの目は間違いなく鑑定を使ってるわ>>>
<<<何のために?>>>
<<<…まさか、ミサイルの軌道を鑑定してる…とか?>>>
<<<<<<…は?>>>>>>
3人しか見ていないコメント欄が白熱している中、黄金のスーパーロボットは拳を前に突き出すと、その拳は回転しながらレオンに向かって飛んでいく。
レオンはそれを回避しようとするが、強化魔法で強化された目ですらギリギリ見えるレベルのスピードで接近してくる拳を避けきれず、左腕を掠める。そして、掠めただけで左腕から出てはいけない音が鳴った。
(折れた!?掠めただけでかよ!?)「化け物か!」
<<<どこの黒鉄の城や>>>
<<<というか掠っただけよな?なんか左腕プランプランしてるけど…>>>
<<<あかん、絶対無理なやつや>>>
絶望的な状況だが、それでもレオンは突撃する。それを見た黄金のスーパーロボットは臆することなく、籠手から剣を引き抜くとその剣は巨大な光の剣となる。
「…マジか」
もはや異常の領域を超えているこのロボットはその剣を振り下ろす。
<<<無理や無理!?>>>
<<<あかん大技だ絶対!!?>>>
<<<もうだめだねこのダンジョン>>>
<<<逃げろぉ!!!>>>
コメント欄が騒いでいる中、レオンは高速で振られた光の剣に呑み込まれた。
ー
光の剣によってダンジョンはめちゃくちゃになった地上は焼け爛れ、ダンジョン内の山は消滅していた。そして、ステルスだったドローンも跡形もなく消え去っていた。そんな状況でも一歩も動かない黄金のスーパーロボットはある気配に気づいた。背後から迫る自身を倒そうとする気迫と意志を持ち、鉄の剣を突き刺そうとする存在を。
それに気づきながらも、スーパーロボットは動かず、やがて腹部から剣が生えた。
「どうだ…この…野郎…ッ!」
右目は潰れ、左腕がなくなっていた少年は息も絶え絶えの中、そう言う。
『…いや、見事だ。若人よ』
「…なっ!?」
黄金のスーパーロボットから聞こえてきたその声に、レオンは驚愕した。
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