統合兵法
本田忠勝と立花宗茂との間で繰り広げられた激戦の結果、前線は再び硬直した状況となりました。数的優位を持つ織田軍には、膠着状態の中でも僅かながら有利性が見受けられました。そしてその後、徳川家康を首領とする軍団が舞台に現れました。
家康は慎重に行動し、北条氏との関係性を考慮しながら対峙しました。実際の戦闘は回避され、家康は自軍の行動を指示する前に、現場の状況を冷静に確認しました。
信長は家康に声をかけます。「家康、お前は遅すぎる」
家康は謝罪の言葉を返します。「失礼いたしました」
信長は家康を慰めます。「しかし、本多忠勝の奮闘は立派だった。そして、今、我々の兵力はさらに強大になった」
信長は家康を自身の忠実な家臣のように扱い、家康も気を使いながら従順な態度を保ちました。
信長は家康にさらに言葉を投げかけます。「立花道雪の用兵法は興味深かったが、一度目の手筋は二度と通用しないだろう」
家康の軍勢の加勢により、織田・徳川連合は九州連合に圧力を強めました。立花道雪が名将であったとしても、この戦力差を覆すことは至難の技でした。そして、九州連合の最前線は崩れ始めました。
信長は指示を出します。「これぞ我が軍の勝ちだ。崩れた敵陣に兵力を集中せよ!」
信長はこの崩れ掛けた部分に兵力を集中させ、自身もその攻撃に参加しました。九州連合は集中攻撃に耐え切れず、道雪は軍を後方に撤退させる他ありませんでした。勝利の瞬間を見つけた信長は、追撃を緩めることはありませんでした。
それは突如として起きた出来事でした。後方から鉄砲の音が轟き、それが信長の陣営に向かって飛んで来たのです。
信長は声をあげます。「何だ?裏切りか?それとも敵が後方に回り込んでいたのか?」
信長はすばやく追撃を中断し、軍を旋回させて退避させました。
この状況を早くから察知していた武将が二人いました。一人は黒田官兵衛でした。
官兵衛が言います。「これは私たちを引きずり込もうとする策略ですな」
秀吉が驚きます。「なんだと?ならば、御屋形様に知らせねばならぬ」
官兵衛は止めます。「お待ちなされ。猟犬は獲物がいなくなると、役目がなくなる、というものです」
秀吉が問います。「官兵衛、お前、何を言っているのか?」
官兵衛が語ります。「そして、今、知らせても既に時遅しです」
秀吉が驚愕します。「なんだと?」
その後、銃声が信長の陣営に鳴り響きました。
官兵衛は独り言をつぶやきます。「なるほど、私以外にも見抜けた者がいたのか」
立花道雪は指揮席から軍扇を掲げます。
立花道雪(大将)が言います。「時が来たようだ」
鍋島直茂(副将)が答えます。「まさに機を見るに敏!」
信長が退避すると、両側から島津義弘と島津家久の軍勢が信長軍の先頭に突撃しました。これが島津流の釣り野伏せ戦法です。道雪は自身の正奇の兵法と島津の釣り野伏せを巧妙に組み合わせ、伸びきった織田軍の前線に甚大な犠牲を強いました。
立花道雪:「これぞ双竜の兵法なり。これにて我が兵法、極まれり」
鍋島直茂:「お見事・・・!!」
信長に対する銃砲の轟音は、織田軍の森蘭丸から発せられたものでした。蘭丸は風の便りに島津の奇妙な戦術の噂を耳にし、それを予測しました。だが、警告の伝令を送るほどの余裕は彼には与えられず、友軍に傷を負わせぬよう慎重に指向した銃砲から、信長軍へと危急の警鐘を鳴らすこととなったのです。
仮想世界X・パラレルワールドの森蘭丸は、信長の深遠なる教えから幾許かを学び、優れた武将、それに参謀としての資質を開花させるかもしれません。しかしながら、どの道を辿るのか、その未来はこの時点ではまだ霧に包まれていました。
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