無敗の雷神

奥羽の独眼龍、伊達政宗の動きが開始された。


佐竹の領地侵攻の結果、佐竹家は連合から身を引き、領地に戻る道を選んだ。だが、九州・奥州・北陸連合は依然として堅固な一体性を保ち、力強い存立を証明していた。特に九州連合は、名将揃いの豪傑たちによって前線の戦局を保持し、山中鹿之介の奮闘や黒田官兵衛の巧みな采配によって、戦線を維持し続けていた。


一方、織田信長自身は、京都や安土が敵の狙いになる可能性を考慮し、まずは上杉家に対して兵力を向けることを決意していた。


その際、織田家に衝撃が走った。大友家の立花道雪が中国地方へ兵を進めるという報せが入ってきたのである。


蘭丸は進言する。「殿、お茶ができました」

信長は断る。「今はそれどころではない」

蘭丸は問いかける。「雷神と恐れられた男を思案しておられるのでしょうか」

信長は否定する。「雷神だと?俺は迷信など信じない」


織田信長が最も恐れたのは武田信玄であった。だが信玄はすでにこの世にはいない。この信玄が面会を所望した人物がいた。それが雷神・立花道雪である。その経緯から、織田信長は立花道雪という男を警戒していた。。信長が自らを「六大天魔王」と名乗ったのは、恐怖の対象である武田信玄という存在を飲み込むためであった。そして今、新たな雷神、仏教では帝釈天と呼ばれる立花道雪との戦いが始まろうとしていた。


九州連合の盟主である島津義久は、立花道雪への敬意を表し、一時的に前線の指揮権を委ねることを決断した。


島津義久は訊ねる。「高橋殿、立花道雪殿の出兵について頼むことがあるのだが、その準備は進んでいるか?」

高橋紹運は応える。「ご心配なく、既に立花殿の出陣の準備は整っております。ただし、道雪殿は病に伏せっており、その健康状態が気になります。」

島津義久は受け入れる。「そうか、道雪殿の体調が思わしくないと聞いている。だが彼は稀有の名将だ。彼の戦術の確固たる力に、九州連合のために尽くしてくれると信じている。」

高橋紹運は応える。「道雪殿の奮闘を信じています。私たちは道雪殿の助力を得ながら、九州連合のために戦いたいと思っています。」

島津義久は認める。「よく言った。我々は九州の平和を求めて戦い続けよう。道雪殿には全力で戦ってもらいたい。」


そして島津義久は道雪に話しかける。「道雪殿、お話がある。私たちは九州連合のためにあなたの出兵を願っている。あなたの体調はいかがか?心配している。」

立花道雪は感謝する。「ご心配いただき、感謝いたします。確かに私の体調は万全ではありませんが、九州のために戦う覚悟はあります。」

島津義久は感謝する。「道雪殿の覚悟に敬意を表します。あなたの力が九州連合の勝利に大いに貢献することを信じています」

立花道雪は誓いを立てる。「私は九州の平和のために戦います。全力を尽くして闘い抜くことを誓います。」

島津義久は感動する。「その決意には心から感動します。私たちもあなたを支え、九州連合の防衛を共に遂行しましょう。道雪殿、頼りにしています!」


道雪は既に老齢の域に達していたが、その戦いぶりはかつての全盛期を色濃く思い起こさせるものであった。


織田軍は黒田官兵衛の優れた指導下で戦闘を行っていたが、用兵の経験における深みにおいては、立花道雪の方が一層深い洞察を示していた。また、山中鹿之介が得意とするゲリラ戦も、道雪によって見事に見抜かれてしまった。それは織田家の前線が初めて崩壊へと向かう序章であった。


この報せを受け取った信長は、北陸に向けて進軍するはずだった本軍を、中国地方へと向ける決断を下す。


織田信忠は問いただす。「九州方面が崩れてしまったと言うのか?」

蒲生氏郷は答える。「雷神と称される立花道雪が動き出したとの情報があります」

織田信忠は声を落とす。「我らも父上と共に九州方面へと出向きたいが...」

蒲生氏郷は情報を補足する。「奥州の伊達政宗により佐竹は帰還しましたが、未だに上杉家を中心とする北陸連合の勢力は強大です」


現在の上杉家は真田家への対策として国境付近に砦を構築しており、そのため真田親子は越後へと攻め入ることができない状況にあった。信忠はジレンマに苛まれていた。そこで細川忠興が口を開く。


細川忠興は提案する。「私の頭には上杉家を無力化する策が浮かんでおります。この策を実行すれば、我々も九州連合を撃退することが可能となるでしょう」

織田信忠は興味津々。「秘策とは、どのようなものだ?」


この細川忠興の持つ秘策、それは一体何なのか?


- 夢想瑞歌 -

道ゆきて ふりさけみれば 春日なる

雪はあらねど いでし雷神

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