2007年8月7日 実父生家にて

「仏の道というのは、苦しみのない涅槃と呼ばれる楽園のような世界へと至る為の悟りについて題材にしたものです。我々が日々感じている物質的な世界と精神的な世界、これらは実際には存在しないんだよという、いわゆる"空"、漢字で書くとそらの1文字なのですが、この考えが非常に肝要で御座いまして、それ故に何かに執着したり、欲を出したりしてはいけないよという事になってくるので御座いますが。とはいえ、針が刺されれば痛いですし、火で焼かれれば熱う御座います。連日の暑さで喉が乾けば冷たい物も欲しますし、如何に本当は存在しないと言われても、触れられて、聞こえて、味わえて、目に見えれば、そこにあると考えるのが人間で御座います。そう考えると、悟りの境地というのはまだまだ遠いなあというのが私の率直な感想で御座いまして、日々のお勤めにも一層身が入る思いで御座います。皆様は自分のお身体を火でお焼きになった事は御座いますでしょうか。うぶ毛が焦げて皮膚の色が変わり縮んでヒリヒリとした痛みがやがて鈍痛に変わり表皮を超えて筋肉に火が達するとタンパク質の熱変性によってひきつれ勝手に硬直するので御座います。なんとも言えぬ焦げ臭い匂いが立ち込めて痛みで脂汗が滲み身体がガタガタと震えて参ります。やがて地獄へと通ずる門扉の、重く地面をする音が聞こえてまいります。禍々しく開かれた門の先は腐臭と号哭で黒黒と渦巻いて、まだ焼け残る我ら衆生のなまのにくをむさぼらんとする餓鬼のむれがたかりわれらをおおってするどいはをたててやわらかいにくをかみちぎるおととあかぐろいちのどぼどぼとしたたりおちるおとだけがみみのなかからきこえるだけとなりのどからきいたことのないようなだんまつまのう"あ"ぁああああああ"あああああああああああああああああああああああぁああああああ"あああああぁああああああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」





「救いというのはすぐ側で身を潜めて、じっとその時を待っているので御座います。」

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