第二回 張翼德怒鞭督郵 何國舅謀誅宦豎

第8話 008 第二話01



 さて、この董卓とうたく仲穎ちゅうえい隴西臨洮ろうせいりんとうの者である。

 河東太守となりて驕り高ぶっており、玄徳を無視したので張飛は超怒ってしまった。


 絶対ぬっ殺すマシーンとなった張飛を玄徳と関公が慌てて止める。


「朝廷より位を授かったヤツ勝手に殺せないんだが?」


「いーやぬっ殺す、絶対ぬっ殺す。何故ならボクは絶対ぬっ殺すマシーン故に!でなきゃ君達とはお別れだ!」


「我ら三人義兄弟、どうして離れられよう。いっそ皆でここから去る、それだけの話だ」


「うん、わかった」


 そうして三人は張宝と戦う朱儁しゅしゅんの元へと急ぎ行く。

 朱儁は三人をめっちゃ歓迎し、軍を併せ張宝と対峙する。


 その時曹操は皇甫嵩と共に曲陽にて張梁ちょうりょうと戦っており、朱儁も張宝に攻撃を仕掛ける。張宝は八、九万程の盗賊を率いて山に陣取る。

 朱儁が玄徳を先鋒とすると、張宝も副将の高昇を出す。

 玄徳が張飛で迎え撃てば僅か数合で高昇は討ち取られ、玄徳軍はそのまま前進する。

 すると張宝は馬上で髪をひらき剣を掲げ、呪文を唱える。


 忽然風雷鳴り響き、天より黒雲、黒雲より無限の人馬が殺到する!


 玄徳軍は急ぎ返し、大混乱に陥り、大敗北を喫してしまった。

 陣に戻り、朱儁に相談すると、


「あれは妖術なのね。明日、豚や羊、犬の血を絞り取って山に兵を伏せとこう。連中が来たら、血をぶっかけると妖術は解けちゃいます」


 玄徳は指示を聞くと、関羽と張飛にそれぞれ千の兵をもって山に伏せさせた。

 豚、羊の血と、ついでにオシッコも準備した。

 ……は?


 翌日、張宝は旗を振り、太鼓を鳴らし攻めたてる。

 玄徳が応じ、兵が衝突したその時、張宝はまたも妖術を用いる。

 つぶてが飛んで風雷響き、空覆う黒雲より人馬が降り迫る!

 玄徳軍が後退すれば、張宝軍も追い迫る。


 丁度山に差し掛かったその時、伏した関羽と張飛が合図を鳴らし、凄い勢いで血とオシッコをぶっかけた。

 すると人馬は紙きれとなりて粉々と舞い落ち、風雷も止み終わる。

 血とオシッコ。


 術を破られた張宝は急ぎ撤退を始める。

 左右から関羽と張飛が、後ろから劉備と朱儁が一斉に追撃し、張宝軍は散々に打ち破られた。

 玄徳は張宝目指して追い立て、慌てる張宝目掛けて矢を放つと左腕に命中し、そのまま陽城へと逃げ込みて込んだ。


 朱儁は城を包囲する一方、皇甫嵩こうほすうへ使いをやって消息を探った。


 「皇甫嵩様は敗北を重ねる董卓に代わって軍を指揮し、大勝しました。皇甫嵩様が着任した時、張角は既に病に倒れ、代わった張梁に七連勝を重ね、曲陽にてこれを討ち取りました。張角については墓を暴き、死体に鞭打ち首を晒して都へ送りました。これにより賊は皆投降し、皇甫嵩様は車騎將軍を賜り冀州牧きしゅうぼくに任じられました。また、盧植様の冤罪を訴え盧植様も元に複官されました。曹操もまた功績が評価され、済南さいなん相へと任じられ、すぐに着任されました」


 朱儁は戻った使いのめちゃくそ長い報告を聞き終わると、全力で陽城を攻撃させた。

 差し迫った賊将、厳政げんせいは張宝を刺し殺し、その首をもって投降した。

 朱儁はその後数郡を平定し、朝廷にその勝利を報告した。



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用語解説


※この董卓仲穎は隴西臨洮の者である。

 スマートではないですが、この小説の方向性として一般的

 ではない漢字にはなるべくルビを振ります。この小説で覚

 えちゃって下さい。間違ってたらごめん。


※「ボクは絶対ぬっ殺すマシーン」

 兎に角、何かと殺したがる張飛。だいたいずっとこの調子。


※高昇(こうしょう)

 演義のこの場面のみに登場する、つまり演義オリキャラ。

 こういうキャラ、ゲームで能力値設定する時割と大変な

 んじゃないかと思う。


※「血をぶっかけると妖術は解けちゃいます」

 …えっ、なんでお前そんな事知ってんの??こっわ…。


※盛豬羊狗血並穢物準備。

 …は?なんで追加されてんの???こっわ…。


※人馬は紙きれとなりて粉々と舞い落ち

 なんかイイですよね、これ。紙となって舞い落ちる。

 正体は紙。妖術感ポイント高し。


※全力で陽城を攻撃させた。

 皇甫嵩達が成果を上げた以上、手早く収めないと無能の烙

 印を押され追い落とされる。そんな時代。

 いや、今もか。サラリーマンは大変ね。


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