第7話 007 第一話06

 さて。

 劉備 玄徳が関羽と張飛を連れ潁川えいせんに来ると、突然戦いの怒号が聞こえた。

 見ると、火が天に昇っていたため軍を率いて急ぎ駆けつけると、既に賊軍は敗走していた。


 玄徳は皇甫嵩こうほすう朱儁しゅしゅんらに会見し、盧植の意を伝えると


張梁ちょうりょうと張宝はもうダメね、広宗こうそうに逃げ落ちて張角と合流するに違いない。玄徳はそこでまた盧植ろしょくを助けてあげて?」


 玄徳は言われた通り軍を率い再び広宗を目指す。

 半分程の道のりを進んだ所で車を囲む軍馬が見える。


 その檻車の中の囚人…すなわち盧植その人であった!


 玄徳超びっくり慌てて馬を降り、盧植に事の次第を尋ねれば


「張角を包囲していたが奴の妖術に手間取っていた。すると朝廷が軍監として黄門こうもん左豊さほうを遣わしたのだが、あのクソったれは賄賂を要求してな。私はこう答えたんだ。『アホか。てか糧食足りんっつうの。んな余裕ねえから。タヒね、百回タヒね。』と。したらあのクソは逆恨みして私がサボタージュしてると告げ口しやがったのだ。そんなわけで軍は中郎將の董卓が引き継いで、私は洛陽に送られてるのだ。マジファ〇ク。」


 張飛はそれを聞くと超ブチ切れた。

 檻車の軍人ブチ殺そうとしたので玄徳は慌てて止める。


「ちょ、まてよ。御上おかみのお沙汰だが?勝手なこと出来んが??」


 そうして檻車は盧植を連れ去っていく。


「盧植殿は既に逮捕され、別の者が軍を率いてる。行く所が無いので涿たく郡に帰りましょう」


 関羽の意見で玄徳らは郷里に帰る事となった。


 二日進んだ所で突然地を揺るがす喊聲かんせいが聞こえた。玄徳が関羽・張飛を連れ丘に登り見れば、地を埋め尽くす黄巾軍に官軍が追い詰められていた。黄巾の旗には『天公将軍』の文字。


「ちょ…これ張角なのだが!?!??」


 玄徳らは急ぎ軍馬を走らせ出でる。

 まさに張角が董卓軍を殲滅させる所であったが、玄徳らの急襲に張角軍は大混乱に陥った。

 張角は大敗し、なんと五十里あまり後退した。


 董卓を救った玄徳らが会見すると、董卓は三人の身分を聞いてきた。


「無職。」


 玄徳がそう答えるや、董卓はこれを軽んじ、大変に失礼な態度で馬鹿にした。



「は~いもう無理!無理だから!こいつぜってーブチ殺す!なぜなら俺は絶対ブチ殺すマシーンですので!」


 案の定張飛がブチ切れ刀を手に董卓をブチ殺そうとする。



 畢竟、董卓の運命や如何に。


 且聽下文分解。



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用語解説


※劉備 玄徳(りゅうび げんとく)

 三国志演義の主人公的存在。二人の猛者、関羽、張飛を率いる。


※張宝(ちょうほう)

 漢王朝に反乱を起こした黄巾賊の頭目。ゲームで言えば最初のボス。


※黄門(こうもん)

 黄門侍郎。中国の官職名の一つ。元は勅命(皇帝の命)を伝達する役職。

 日本の中納言の唐名であり水戸黄門の由来。


※涿郡

 劉備らの故郷。現在の河北省保定市涿州市。


※白身(はくしん)

 無位無官のこと。決して"しろみ"とは読まない。

 今回は無職と訳した。私は決して間違っていない。


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 (や~っと百二十話中の一話が終わったよ…もうちょっと更新頑張りますので宜しくお願いします。)

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