祝!登録者達成300万人配信!!!
立川第七ダンジョン、ランクはB。
第一階層。
俺達は採用試験が終わったその足で、久しぶりの配信をする為に斑鳩さんの車でこの立川第七ダンジョンにやって来ていた。
自粛明けのリハビリ配信。
登録者300万人を突破して一発目のダンジョン探索配信となる。
なので、配信タイトルにも“祝!登録者300万人達成!!”と入れてみた。
まぁ、100万人も200万人も一瞬ですっ飛ばしてしまったが……。
やはり、他の配信者も似たように自粛していたからだろうか。
平日にもかかわらず、配信目的のⅮライバーらしき探索者達がちらほらとダンジョン内には散見された。
「あれ?オイ見て見ろよ!あいつニュースに映っていた奴じゃないか!?」
「マジかよ!?最近ランキングにも載ってきたタツミって奴じゃんか!」
「まじ!本物か!?声かけて見ようかな……」
などと、行き交う探索者達が口にするのが聞こえてきて、思わず胸が反り返ってしまう。
なんなんだ?この気持ちは――??
俺の秘められていた承認欲求がビンビンに刺激されてしまう。
有名になるという事はこういう事なのか。
皆、俺の行動一つ一つに注目をしているのだ。
これが、気持ち良くないと言えば噓になる。
「くくく、皆俺の事が気になって仕方がないようだな……」
「ちょっとぉ、調子乗ってる人がいるんですけどー?」
「辰海がテングにナッテマース」
春沢達がそれを見て弄ってくる。
ちなみに今日の春沢はスパイ風のピンクのエナメル製ぴっちりスーツだ。
胸元が大胆に空いている。
久しぶりだからってサービスし過ぎでは――!?
そして、何故かビクトリカさんも色違いのスーツでお揃いである。
「な!ちょ、調子になんて全然乗っていないぞ!?!?」
「もー、久しぶりの配信なんだからしっかりしてよねー」
「む、当たり前だ。俺は硬派だからな!」
春沢の胸元をチラ見して言う。
「はいはい、硬派ね」
「……」
いかん、いかん――。
今まで自分とは縁の無い状況で少し浮かれてしまっていた。
今日は大事な復帰戦なのだ、春沢の言うようにしっかりしないと。
「準備はもう出来てるから、いつでも行けるよ!」
「あ、ありがとうございます!」
俺が春沢達とじゃれ合っている間に、斑鳩さんがドローンカメラの設定を済ませていてくれた。
「よし!じゃあ始めるぞ!!」
「りょ!」
「OKデース!」
「了解!」
少し緊張して配信開始のボタンを押す。
文化祭とスタンピードの自粛で一週間ちょい休んでいただけなのに、数十年ぶりに配信をする感覚になる。
「皆今日もお疲れ様!いつも見てくれてありがとうな!!最近ちょっと休ませて貰ったけど魔王タツミ完全復活だぜ!!!お!新しくチャンネルに来てくれたたつらーも居るみたいだな!マジ感謝だぜwww!!!それじゃぁ“魔王タツミの真ダンジョン無双録。”開始してくぜぃ!!!!!」
新たな登録者もいるので、見栄を張ってちょっといつもより多めに喋って陽キャ感も出してみた。
まぁ、直ぐに陰キャだってバレるだろうけれど……。
すたみな次郎『“¥3000”タツミいいいいいい!ひっさしぶりじゃねぇかwww!!』
最速の牛歩『“¥1000”待ってたぞぉ!!!タツミぃ!!!』
RB箱推し『“¥2000”出たなw有名人www』
29290213『うーわぁwホントにニュースん時と同じ格好だwwwマジで継承者ってやつなん?』
朝院『期待』
PARIPI『うぇーいwww』
三人目の僕『“¥500”おかえり!』
FullHouse『hello Tatsumi!!』
ソロの紅茶『うわ、同時視聴者数15万てw平日なのにwww』
みぎよりレッドロード『“¥10000”ニュース観たぜタツミ!流石俺達が育てただけあるな!!!』
DO霊9『すっげえコメントの数w』
ンデハイマ四世『さて、本物なのかな』
皇帝のあとりえ『こんたつー』
痛風のタツナー『こんたつー』
りりか@ちょいぽちゃ『“¥5000”あら、タツミちゃん🖤待ってたわぁ🖤🖤🖤』
無限の聖槍ロジャー『タツミもここまで来たか……』
お天気おじさん『ニュースから来ました』
れりっく☆『ほう、大盛況ではないか』
体育の翔さん『こんたつー!』
ひめひめひめなー『平日なのに凄い観てる!』
伝説の釣り人『かぁ~、Ⅾライバーってこんなに人気になるもんなのか』
閃光の射手ブラッド『超有名人だなタツミ!』
今まで俺の配信ではあり得ない程のコメント数。
しかも、開始して五分と経っていない。
これで今日から俺も超有名Ⅾライバー……、では無いのだ――!
ここからが本番である。
今この配信を見ている15万人の内の大多数は、報道を見て俺に興味を持っただけなのだ。
つまり、彼らは真の意味での“たつらー”では無い。
これから先。
俺の配信がつまらないと思われれば、300万人いる登録者だって、すぐに登録解除で消えて無くなるなんて事も有り得る。
ここは、何としてでも、彼らをこのチャンネルに定着させなければならないのだ――!!
俺の新たな挑戦が今始まろうとしていた。
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