闘いの始まり
純麗祭二日目。
只今、午後13時半。
ソロモン72の文化祭ライブ開始まで30分前となっている。
快晴の元。
校庭にあるメインステージ前は、ライブ開始待ちの観客たちで埋め尽くされていた。
こんなに校庭に人が集まっているのを見るのは初めてだ。
俺達はステージから結構離れた所に陣取っていた。
本来なら徹夜待機で場所取りも辞さないが。
勿論、禁止をされているし、午前中は実行委員の仕事もあったので、良い場所が取れなかった。
まぁ、タダで最高のライブが見れるのだからこの際文句の方は言いっこなしなのである。
一方。
鳳凰院女学院では既にライブの方が開始されていた。
俺はスマホで敵勢力の様子を確認する。
「ヘーイ♪鳳凰院女学院に集まった皆サン、初メマシテ!歌手のビクトリカ・エスタ・エストリカ、デース!!私日本トテモ好き!今日のライブ楽しみにしてマシタ!!」
あっくす『ビクトリカ!イエーーーい!!!!』
DOG『頑張れー!!』
無名の音楽家『うわあ!現地で見たかった……!!』
エリしゃん『ビクトリカ!やっぱり可愛い!!』
るな『新曲もサイコーだったから、楽しみー!!』
Eれン『うをおおおお!愛してるぞ!ビクトリカああああ!』
あちらのメインステージの上には、ビクトリカが登場して会場は大盛り上がり。
観客の入りはウチと同じぐらいか――。
ビクトリカは頑張って覚えたであろう日本語を駆使して、精一杯MCで盛り上げていた。
ビクトリカは、海外のアーティストにしては小柄な方である。
だが、そのボディから発せられる歌声はパワフルで、そのギャップが彼女の人気の一員でもあった。
ライブ配信の同時視聴者数も10万人を超えていた。
「有栖院CEOの言ってたライバル校の配信だね。歌手のビクトリカかぁ、彼女は僕も認める一流のアーティストだよー。何しろカリスマ性がある!――まぁ、ウチの子達もそこんところは負けてないけどね!!」
「それは勿論です!今日のライブも期待してますよ!!」
「はっはっは!任せてくれたまえ!!」
前世の敵は今日の友。
俺と春沢の横には、ソロモン72総合プロデューサーの秋名さんもいた。
一応、ティアドロップのサングラスを掛けて変装をしているつもりらしいが、真っ赤なスーツのお陰もあって逆に目立ってしまっている。
「そろそろ、こっちも始まるんじゃない?」
「お!待ってました!!」
こちらの会場のBGMが止まる。
観客もそれを感じ取ってか、一気にしんと静まり返った。
少しして。
ステージ上にスモークが焚き出され、バックライトで五人のシルエットが映し出される。
「someday tears will become a blessing〔いずれ涙は、祝福になるだろう〕……」
無音から一転、歌詞が始まり。
追従して、キーボード。
ギター、ベースの音が重なっていき、ドラムが疾走する。
“
ソロモン72の中でも俺が一番信奉しているユニット“
「うおおおおおお!!!」
堰を切ったかのように、一斉に歓声だあふれ出した。
俺も右手を天に突き上げてライブに参加していく。
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