最悪のコラボ配信4
もう少しだけなら力を開放しても大丈夫か――?
と言うのも。
継承者はダンジョンで戦闘経験を積むたびに保有魔力量が挙がって、前世のベストコンディションに近づいていくからだ。
環さん曰く。
この世界の人間の身体の構造では、アリスヘイムの人間の持つ魔力量に耐える事が出来ないらしい。
継承状態になる事でその問題は半分くらいは解決されるのだが、それも全てでは無いのだ。
なので戦闘経験を積み、身体を最適化させていくプロセスが必要となってくる。
そして、その段階によって力を徐々に開放していけるのだ。
ゲームでレベルアップして、スキルやステータスがアンロックされるようなものだ。
まぁ、ゲームみたいに経験値が数値で可視化されたりするわけでは無いが――。
あくまで感覚の話である。
只、俺の場合はその扱いがかなり難しい。
あまり力を開放しすぎると完全に魔王として覚醒してしまうからだ。
それは、帝さん達に停められているというのもあるが、もう一つ。
俺個人としても、それは止めておきたい理由があるのだが……。
ともかく、俺の力は諸刃の剣なのだ――。
「ちょおおい!なんかパーティ・リザード以外のモンスターまで混じってんですけどーーーー!!!」
いつの間にか、ローパーやスライム、ワイバーンまで寄ってきている。
俺達が倒したパーティ・リザードの死体を漁りに来たのだ。
「くぅ……、これは中々骨が折れるな……!――コイツでどうだ!ラディアント・ランス!!!」
「キシャアアアアアアッ!?」
「ヒャアアアアア!!!」
燕子花会長の放つ、光の槍が襲い来るモンスター達を串刺しにしていく。
「ボルテック・ボルト!――どうなってやがる!?くそが!減るどころか増えてるじゃねぇか!!」
「アクシオン・ランス!――ちょっと、この数は無理かもー!」
「泣き言言うんじゃねー!気合いだ、気合い!!」
「こっちゃんだって言ってたよー!?」
竹内副会長の雷系魔術と園美原書記の水系魔術。
二人の魔術練度も相当高そうだ。
だが、この数の前では流石に厳しいか――。
唐揚げさん『なんか数ヤバくね?』
ステップ大鳳『大丈夫かよー、リューイチwww』
OKOGE『モンスターで地面が見えないんですが……』
ぺんぎん『リューイチくん、頑張って!』
なまやさい『トライ・ルミナスも頑張れーーー!』
上ゲ専『ほんとはそんな強く無いんでしょ?苦戦するフリ良いからちゃっちゃと倒せしw』
マジ落ちくん『え、これガチなん……?』
「く、これじゃあ。鱶野達とも合流出来ない……!」
いつもは涼しい顔をしている豊徳院にも、焦りの表情が伺える。
分断作戦が上手くいかなかった場合は、一旦合流して体勢を立て直す手はずだったが、この状態ではそれも不可能だ。
完全に戦況を見誤っていた……。
すたみな次郎『完全に囲まれてる!?』
刃獅子『引くに引けないだろコレ……』
最速の牛歩『どうすんだ!?タツミ!!?』
やるしかない――。
俺は
ここは、東洋医学では気を煉る部位とされている。
「はあああ!」
「鱶野……?」
「なんだ!?鱶野君の魔力量が上がっている……?」
Dギアで周囲に探索者が居ないか確認する。
巻き込まない為だ。
「
先程の物よりも格段に性能が上がった拡散型魔力荷電粒子砲だ。
一つの指から10発ずつ、計100発の魔弾がモンスター達を殲滅していく。
一体撃ち抜くだけではその威力は減衰せず、何十体も撃ち貫いた。
おのぎり『えええええええ!?』
若輩者『うっそだろお!?』
Dリーグボール7号『うわあああああ』
チョコレートマニア『魔王、すっご……』
俺の親父の息子の話『これもう、ハリウッド映画だろ……』
ゴシップバット『マジか!!?』
唐揚げさん『ちょwww』
スティックのり3号『ええ……』
一面がモンスターの死体だらけとなっている。
ちょっとグロい……。
流石に豊徳院の視聴者もビビり散らかしていた。
取り敢えず、カメラドローンの方にドヤ顔をしておく。
甲冑姿だから分からないけど。
みぎよりレッドロード『流石だぜ!タツミ!!』
痛風のタツナー『おおおおお!』
感嘆すけぼぅ『ないすー!』
鵜鶴nデス『しゃぁっ!』
孔掘る加藤『鎧袖一触やんけ……』
「くぅ!?はあ……、はあ……」
「ちょっと!?大丈夫!!?」
遅れて反動が来て立ち眩みがした。
春沢が俺の身体を支えてくれる。
「少しやり過ぎた、だけだ……。問題ない……」
「大丈夫じゃないじゃんそれ!」
ちょっと本気を出しただけでコレである。
完全に魔王として覚醒してしまえば、俺はどうなってしまうのだろうか――?
「鱶野……、お前……?」
「今って、鱶野君が全部やったの!?」
「おー!鱶野やるじゃねーか!!魔王ってのは口だけじゃなかったんだな!!」
「これが、鱶野君の実力という訳か……?」
「ああ、いや、まぁその……」
燕子花会長と豊徳院達が駆け寄ってくる。
すると。
「騎兵隊参上ーーーーーー!!!!!」
「え!?」
何処かで聞いたことがある女性の声と共に、赤い車体のNinja1000(大型二輪)が現れた。
俺達の前で停車すると、ライダースーツに身を包んだ女性が降りてくる。
後ろには、見覚えのある小柄な女性……。
「ふうー。緋音ちゃん飛ばし過ぎだよー」
環さん――!?
しかも、緋音さんと一緒に。
どういうことだ……?
「悪かったな。というかアンタ馴れ馴れしいな!?さっき会ったばかりだぞ!?」
「えへへへへー」
「たまちゃんと緋音ちゃん!?なんでここに居んの!!?」
春沢も驚いている。
「うお!?姫様、また凄い恰好を……」
環さんのほうに燕子花会長が近づいていく。
「鞍馬先生ではありませんか?先生も探索者だったのですか!?」
「そだよー。結構強いんだから!」
「なんだアンタ、センコーなのかよ!?小学生かと思ってた……」
「もー!子供はダンジョン入れないしーー!」
環さんはぴょんぴょん跳ねて抗議する。
「あははは……。この方は?」
「あ、クラスの出し物のに協力してくれる八王子商店街の人です」
「おう。焚きつけといて自分がいかないわけにもいかないしな!それに、商店街連合の一員だしよー!!――まぁ、吉乃のじーさんは腰痛で、先輩は家事都合だが……」
「じゃぁ、環さんとは?」
「――私達とは、入り口で偶然会ったのだ」
「帝さんも来てたのか!?」
「ああ、暇だったからな」
遅れて。
帝さんも現れた。
「このオッサン何処かで……?」
「よく理事長室に出入りしてる、借金取りさんだよ!」
「誰が借金取りか!人を人相で判断するのは良くないぞ。――大体、金を借りているのは私の方d……」
「え”……?」
「んん!いや、何でもない」
因みに帝さんの存在は、令和版八王子高校の七不思議の一つになっていた。
しかし、なんか凄い大所帯になってしまった。
「うわぁ、なんだよこのモンスターの死体の数は!?鱶野ー、てめぇだなー??」
「いや……、それはその……」
帝さんの無言の圧が凄い――。
魔剣は使ってないから!魔剣は使ってないから!
「――これだけやれば、過剰期も納まったんじゃねぇか?」
と。
「うわああああああ!?」
悲鳴!?
近くにいる探索者の方からだ。
何か凄い魔力の反応がする。
「うう……、なんか寒気がしたんですけど……」
「む?大丈夫か??」
「うんん……!問題ないし!!それよりいくよ!」
「ああ!」
嫌な予感がするが、取り敢えず確かめねば……。
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