最悪のコラボ配信
過剰期に入ったダンジョンのモンスターは攻撃性が増している。
更には、強さも一・二ランク上の個体が発生したりもして気が抜けない。
なので、今回はお遊び一切無しの本気のダンジョン探索のはずなのだ――!!
なのだが。
配信者の
結局俺も、豊徳院とのコラボ配信の様子を自分のライブチャンネルで配信していた。
と言うか、素材集め用のリアカーを引いている時点で稼ぐ気も満々なのだ。
すたみな次郎『お!始まった』
みぎよりレッドロード『ヲイ!どうなってんだタツミ!コラボ配信って相手は豊徳院じゃねぇか!美少女を出せ!美少女を!!』
駄菓子二等兵『いつから、ライブライバー社に尻尾を振るようになっちまったんだ!?俺悲しいよ……』
「俺だって仕方なくだったんだよ……」
あの時、緋音さんの話を聞いて、じゃぁ俺と春沢だけで問題解決――!とは行かないのだ。
豊徳院が居た時点で、奴も協力すると言い出すのは当然の流れだった。
しかし、まさか燕子花会長達まで付いてくるとは――。
お陰で、モルガリアとの関係を探る絶好の機会が訪れた訳だが。
最速の牛歩『いや、待て……。なんかさっきから誰かチラチラとカメラに写ってないか?』
PARIPI『うぇーいw』
たぬきつねそば『あれは……、“
「え……、何それ……?」
鶏でも食べる獣『知らんのかタツミ。豊徳院の配信に時々登場してて結構話題になってるんだぞ』
マジか……。
と言うか、本当にこの人たちは豊徳院とどういった関係なのだろう?
聖騎士なのか?それとも――。
アイロン男『なー。豊徳院の女性ファンとか発狂して、炎上とかもしていたよなー』
オシャレ侍『そこにアンチも入り混じって凄かったんだぜw』
「へ、へー……」
最近、色々と忙しくて豊徳院のチャンネルは見ていなかったので知らなかったが。
豊徳院周りは、有名配信者ならさもありなんといった感じの様だ。
「ん?こっちでも配信をしているのか??」
燕子花会長が俺の方の配信に気付いた。
「へ!?え……、はい、まぁ……Ⅾライバーなので……」
「ほう。まぁ程々にしておけよ。私も過剰期のダンジョンは初めてだが、中々に危険であると聞いている」
「は、はぁ……」
生徒会長の前だと自然とペコペコしてしまう。
あまり、たつらー達には見られたくない。
あああ『なんだータツミぃ?相手が美人だからってペコペコしやがって』
真っ暗れーん『陰キャかよw陰キャだったわ……』
よぎぼぅ『ペコペコするなら頭じゃなくて、腰だよなぁ!?』
xcyuddfd『ちょ、ド直球www』
空中ブランコ『気が強そうで好みのタイプだぁ……、後、※※※弱そうw』
「コラ!お前らー」
たつらーは、TPOという言葉を知らないのだ。
これも、教育を怠った俺の責任である。
「……?なんだ??」
「へぁ!?な、何でもないです……」
こんな、低俗なコメント欄を見られたら何を言われるか分からん。
注意を引かなくては。
「――しかし、見直したぞ鱶野君」
「へ?」
「失礼だが、君の様なのはこういった活動にあまり参加しないと思っていたからな。自ら進んで地域活動に参加とは感心!」
燕子花会長は甲冑姿の俺の背中をバシっと叩いた。
「あ……、ありがとうございます……」
「――それで、これが異世界の魔王の力を継承した姿という訳か……?」
「え?あ、そうですけど……。燕子花会長はこういう話、抵抗が無いんですか?」
継承者の情報は、都市伝説レベルでしか世間に流れていないのだ。
真面目そうな燕子花会長が興味あるとは思えなかった。
「ん?なぜそうなる??目の前にこうして存在しているではないか。――それに、前世の記憶もあると聞く。私も人の上に立って先導していく身。700年もの間魔王として国を納めた経験、是非ご教授いただいものだ」
う、なんかスッゴイ俺について詳しいんですケド……。
やはり、燕子花会長達はモルガリアの仲間なのか――?
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