波乱の夏休み2
俺の探索配信動画は、よく作業配信と
特に苦戦もせずに
時折。俺は、雑談を交えながら攻略を進めるのだが、その話の内容も絶望的につまらない。本人は盛り上げているつもりでも、
ただ。それこそが、“タツミの魅力”であるとたつらー達は勘違いしてしまったのだ――。
しかし、今日からは違う。
たつらー達は、大物配信者の階段を駆け上がっていくであろう、俺のカリスマ性の片鱗を目の当たりにするのだ。
「フハハハハハ!まるでごみの様だ!この魔王に挑むなど、700年早いわ~!!」
カリスマポイントその1。無双する。
探索配信を見る視聴者層の中でも人気になりやすい配信内容の一つが、無双や俺THUEEE系である。元より当チャンネルも無双系であるのだが、俺の企画能力の無さが足を引っ張ってしまい、視聴者の求める爽快感が皆無だったのだ。
なのでこれからは、雑魚
俺は、迫りくる赤青黄色と彩り豊かなドリアードの群れを魔力弾で「ダダダダダダッ」と薙ぎ払っていく。
流石、Bランク
oni瓦『ん~53点w』
みぎよりレッドロード『なんかこう、タツミだと、おお!って感じになんねぇだよな』
小田亮『そうそう、そのなに?暗黒騎士モード?とか言うのも、最初はSUGEEEEEEってなったけど、もう、見飽きてきたっつうか』
あれ草『ワンパターン過ぎて、リプレイかと思ったわw』
ひめひめひめなー『パンチが効いてないんよ、ただ、「魔王ってこんな感じです。」みたいな。型にハマリ杉じゃね??』
魔王が魔王の型にハマっていて何が悪いのか――!?
「貴様ら、もっと配信者に優しいコメントは出来んのか?見た目は魔王でも心は、豆腐で出来ているのだぞ?」
空中ブランコ『魔王の癖に甘えるな!』
すたみな次郎『やっぱり、ざこニキは、どこまで行ってもざこニキなんやなって』
最速の牛歩『なんか泣き言言い出して草』
バルクほるん『www』
たつらーの愛のある愛の無いダメ出しがコメント欄を埋め尽くす。新規登録者達も調教されていき、間違った配信の楽しみ方を覚えてしまったようだ。
「おっと、ドリアードの死体から素材を回収していかないとな」
俺は、ドリアードの頭に付いている草っぽい部位と、体内から飛び出た種的な物を手早く拾い集め、持ってきたビニール袋に放り込んだ。
よぎぼぅ『おい待てw』
痛風のタツナー『絵面がwひwどwいw』
ひめひめひめなー『ダッサwww』
あああ『魔王なんだから、そんなセコいことスンナw』
「ええ……。だって勿体ないじゃん……」
言われてみれば確かに、この姿で素材をせっせと集める様子はシュールで滅茶苦茶ダサい。しかし、仕方ないじゃないか――。
中身は、小遣いのやり繰りに頭を悩ませる、いたいけな学生なのだ。素材を売って得られるお金も馬鹿にならない、貴重な収入源だ。
「ちょっ!?何このスライムでっか!!?……あ、どこ巻き付いてんの!はー!?ふざけんなしっ」
少し離れたところで何やら声がするが、気にしないでおこう。
不明な点はお問い合わせました『ん?なんか声すんぞ』
小田亮『女?』
三人目の僕『襲われてね?』
伝説の釣り人『タツミー、見に行ってみてよ』
「あ。良いの良いの。大丈夫」
「……、うぅ、っはぁん!このっ何入って!?ちょっ、そこの魔王見てないで助けろし!!」
声はかけてくるなって言っておいただろ――。
xcyuddfd『おい、呼ばれてんぞ』
すたみな次郎『タツミ……、お前まさか……、女の子連れて来てん???』
「いや、全然他人だし。そろそろ進もっか」
「はぁー!!?おい、無視すんな!……。もうウチ怒ったし――」
「……。さーて、そろそろ第八階層に繋がる
「聖剣抜刀!!!!」
「ビチャアッ」と、勢いよく弾け飛んだジャイアントスライムの身体が、盛大に自慢のボディにへばり付いた。
「春沢ァ!!!!!!」
ドローンカメラが、聖剣エルザ・ディヴァインを見事な一閃で振り抜いた姫騎士風ギャルを激写する。
あああ『ギャル沢!?』
真っ暗れーん『!?』
PARIPI『うぇーい』
よぎぼぅ『なんでギャル沢がいんの!!??』
小田亮『えっっ!』
伝説の釣り人『ギャル沢オッスオッス』
三人目の僕『何故!?』
xcyuddfd『お!匂わせかぁ?』
暗黒☩騎士ざまぁん『は?』
みぎよりレッドロード『ギャル沢やんけ!』
すたみな次郎『ええええええええ!?』
最速の牛歩『えっろ』
バルクほるん『???』
29290213『ギャル沢……、だと……!?』
不明な点はお問い合わせました『!?!?!?!?』
孔掘る加藤『ギャル沢ァ!』
カリスマポイントその2。出来れば隠しておきたかった新要素、助手の追加。
春沢真瑠璃。登場である。
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