夜:知らぬ方が良いモノ(前半:掲示板形式、後半:一人称)

1 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

おねーさま方で、「プラシーボ効果を倍加させるポーション」って知っている方いらっしゃいます?

何か私の世界でバズってるんですが、どこかで聞いたことあるような気がしてて・・・。


2 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>1

アッ


3 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>1

過去ログを漁りなさい。そして、今すぐこのスレを凍結してログから抹消しなさい。

被害者が増える前に。


4 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>3

え、何かヤバいヤツですか?

こっそり流行を止めた方がいい感じでしょうか?


過去ログは探しました、「プラシーボ効果」または「プラセボ効果」って調べたんですが、結果が出るまで1週間以上の予測になったんで諦めました・・・。


5 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>4

あー、検索、ヤバいよね。

色んな世界で生成されるログ見に行っちゃうから、どんなワードでも大体3日とか余裕だし。

せめて期間指定できればなぁ


6 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>5

それは、このスレの時間の所を見ても分かるとおり、SEが完全に根を上げてるよね。

ま、そもそも世界を跨いでるから、各世界の言語が翻訳されていること自体が奇跡のようなもんだけど

どこかに1週間の日数について語ってたスレがあったはず。

>>4

検索ワード

つ「夢魔の囁き 秘薬」


7 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>6

おねーさま、ありがとうございます!

でも検索予測時間、じゅ、15日・・・?


8 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>6

あー、今思い出した。思い出しちゃった。アレか。

>>7

多分、過去ログ漁っても何も出ないぞ。

>>3も言っている通り、ログ抹消されている可能性が高い。

だから説明する。


---

『夢魔の囁き』

>>1に書いているとおり、プラシーボ効果を倍増させる秘薬。

単体で飲んでも何も起きないけど、偽薬と一緒に飲むと効果を発揮する。

例えば、痩せる薬と聞かされて砂糖と一緒に飲むと、本当に痩せる。

けれど、飲んだ物が「砂糖」だって気づいたり、知ったりした時点で効果が消え失せる。


そして、この薬の一番厄介点は、この薬の存在やその効果を知った時点で効き目が無くなる、ということ。

つまり、このスレを覗いた時点で、見てる者達は効かなくなるってわけだ。


ちなみに、夢魔、と名前が付いているが、我々夜の民とは一切関係ない。


9 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>8

補足するなら、発見者が最上のお姉様だって噂くらい?

なんでも聖女の癒やしが魔物にしか効かない世界で、仕方なく医療を発展させてた時に見つけた、とか何とか


10 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>9

その噂、ちょっと怪しいらしいわ?

アレの作り方って確か錬金術よね?


11 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>8

ありがとうございます。

って、あれ、これバズっちゃダメなヤツなんじゃ・・・?

>>9

>>10

そうなんですね。

というか、最上のお姉様、本当に存在したんだ。


12 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>11

ウチの世界じゃ、某ECサイトにデカデカと「これは偽薬です」って書きながら売り出してたのを見たかな。

レビューは☆三つで、人に黙って飲ませたっぽいコメントは評価が高く、自分が飲んだ場合や受け取り時に「偽薬」って言う文字を見てしまった被害者には効果が出なくて評価1とかになって、めっちゃ荒れてた


13 夜の民が語ります WLD::YYYY/MM/DD hh:mm:ss(日時表示とか無理ぽ)

>>12

いいんか、ソレ




――――――――――――――――――――




「申し訳ないが、君には別の部署に移ってもらう」

「・・・はい、分かりました」


 いつか来るだろうと思っていた異動だが、案外早かった。うん、明らかに私が試作したお菓子だけ、皆嫌がってたからな。無理に付き合わせたのが悪かったか。


 私は、とある菓子メーカーの製品開発部で働く一員である、いや、一員でした。

 私が異動となった原因は、味覚障害、が起きたと思われる。あらゆる物の味が薄く感じ、今まで通りの味を再現しようとすると、普段の倍以上の素材を使ってしまう。こうして、私が試作したお菓子は、全て無闇矢鱈に味が濃いものに仕上がる。

 同僚に勧められて医者にも看てもらったが、原因不明。正常です、と言われてしまい、私は困り果てていた。

 その後、しばらくは様子見していたつもりだが、今朝、上司に呼ばれ、冒頭の会話に戻る。異動先の部署は営業部だそうだ。自分で言うのもなんだが、これでも顔は良いからね。そう言えば、営業部には私と同じく人の世界に紛れる同族が居たっけ。まぁ、うちの一族、夢魔だもんなぁ、適材適所ってヤツか。


――


「と言うわけで、急に全ての味が薄く感じるようになったんですよね」

「へえ、おかしなこともあるものね?」


 翌日、営業部に異動した私は、例の同族と話す機会を手に入れた。彼女も上位種なだけあって、会話が弾む。その中で、異動した原因についても話す機会が合ったのだ。


「・・・そう言えば、貴女って例のアプリ使っているの?」

「例の・・・、ああ、あの異世界とか神様とかと交流できるアレですか」

「そうよ」

「使ってますよ。読み専なので、書き込むことはしませんが」

「ふむ、最近、プラシーボ効果が云々の話って読んだかしら?」

「ああ、アレですね、『夢魔の囁き』!

 読みました。変な薬ですよね、アレ」

「ふぅ、やっぱり、ここにも被害者が」

「ん?」

「この世界ではね、昔から代表的な添加物として利用されているの。あとはもう、どういうことか、分かるよね?」

「んん?」


 どうやら私は、知ってはならない世界の闇を、知ってしまったようだ。



 余談。

 同じく添加物として利用されていた別の世界で、人間の研究者が例の添加物の本当の効果を大々的に発表し、世界が大混乱に包まれた、とか。

 その混乱を収めるべく、人知れず対応明け暮れた『夜の民』、巻き込まれた『星の民』により、例のアプリ上でも大事件として知られ、(さらに同族の被害者を増やしつつ)暗黙のタブーとなったらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る