第10話

  優が母に頼み、二人を助けるように説得した後(4話)


 私は、覚悟していた。


 これからどんなことが起きても、例え楽しいことが無くても、お姉ちゃんとあの子達の為に頑張ろうと覚悟していた。


 高校だって諦めようと思っていた。本当はお姉ちゃんと同じ高校行きたかったけど、仕方ない。






 そう、本気で覚悟していた。


 だけど、


 私達は許されてた。


 そして、一変した変わった生活はまた元に戻った。


 

 もう当分来ない、二度と来ないかもって思っていた生活が帰って来た。

 

 私は、救われた。小学生に自分より年下でまだ中学生になってもなってない子どもに



 でも私は流石に都合が良すぎると思った。



ーーーーーー


 お見舞いの時に、お姉ちゃんが居ない時に思わず私は聞いた。


 「どうして、こんな私達に優しくするんですか?」


「???えっ人に優しくするの当然じゃないですか???」


少しひいた顔。さも当然じゃないかと言う、小学生ならでは素直な答え。


 そのことに、正直さっきまで少しでも裏があるかもと少しでも思っていた自分が恥ずかしい。


 そもそも、最初会った時に、私達を見てお姉ちゃんを心配していたあの顔は嘘偽りなかった。








 「優さんって」


「はい?何ですか?」


「妹好きなんですか?」


「??好きですよ。??」


 また、当たり前じゃないですか?と言う顔だった。



 その後部屋を出て私は


 「絶対変な人だと思われたー!!」


思わず恥ずかしくて声に出てしまった。


ーーーーーー


 「その、夏ちゃん」


 「何??田村くん?」


「その、あの日出来なかったからもう一度今度さ」


久しぶりに田村くんと話をした。


 田村くんとは事件が起きてからほぼ話してない。


 最後に言われたのは


 【ごめん、出来れば関わらないで欲しい】


  と言われた。


 田村くんが私を避けるのは当然で、むしろ関わろうとする方が間違っているだろう。


 もしかしたら、私が明るくなるまで時期を待ってくれたのかも知れない。


 けど


 「ごめん、田村くん。私はもう一緒に行かない」


「・・・そっか、わかった」


本当に申し訳ないと思った。



 けど今は一日でも、お姉ちゃんの側にいてあげたいし、


 何より優さんにもっと話したい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る