第8話

  優が母に頼み、二人を助けるように説得した後(4話)



春視点

  

 私は、本当に助けられた。私が命を奪おうとしたのに、心と環境まで助けて貰えるとは思わなかった。


 

 しかも相手は私よりも5歳くらい離れてる小学生の子どもだったから尚更ビックリした。


 そして、心配されてた時のことを思い出す。






優くんが、優くんのお母さんに頼み、そして私の両親に話をしてくれた。お陰で今日は暴力を振られることも無く、久しぶりにちゃんとしたご飯を食べられた。


 ここ最近はずっと、地獄のような生活なのに、優くんのお陰で少しずつ前の生活を取り戻せた。


 


 そして、優くんのお母さんに許可をもらい、何度も診察に行って良いと言われて、毎日顔を出した。


 「あっ、春お姉ちゃん」


本当は恨んで良い相手なのに、笑顔でしかもお姉ちゃんと呼んでくれる。


 男の人にお姉ちゃんなんて呼ばれたことなかったから、新鮮でドキドキする。


 「春お姉ちゃん、まだ叩かれたところ痛い?大丈夫?」


さらに、自分の方が痛い筈だし、その怪我を負わせたのに、私の心配をしてくれる。


 

 そもそも怪我なんてもう学校の人も心配してくれないし、してくれるのは妹くらいなのに、しかも小学生男の子にされるなんて


 「大丈夫だよ。もう痛く無い


「良かった!」


嘘偽りの無い笑顔、


 この顔を見て、私はこの子を轢いてしまったことに罪悪感と同時にその笑顔に惚れていた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る