第23話 An Angel

貴方の魂は神により選ばれました……さあ、わたくしと共に天国へ行きましょう……


「え? やだ」


信じたくないのは判りますが、貴方は確かに死にました、死を受け入れなさい……


「いや死んだのは判るけど、天国とかちょっとねー」


何故ですか? 天国は素晴らしい所ですよ?


「いやまず天国って、地面が雲なんでしょ? 下がドライアイスの様に見えない所とか立ってるだけでも不安だし、犬の糞でも踏んじゃったらどうすんの? お金が落ちてても拾えないじゃん」


天国には犬もいなけりゃお金も必要ありませんが……


「そもそもあんた、羽生えてるし天使だろ? ちょっとそれも怪しくてなー」


……一応聞きましょう


「まずそもそも人間に羽が生えてても飛べないじゃん? 昔学研の図鑑か何かで見たけど鳥が飛べるのはまず骨がすっかすかで軽く、更にそれを動かす筋量が多いから飛べるとか見たぞ。アンタとか見てもどう見てもスラっとしてて飛べそうにないのに浮かんでるじゃん。骨粗鬆症気味で筋肉達磨とか勘弁じゃん」


飛行は神に与えられた権能の一つで……


「後頭に乗ってる輪もアレじゃん? どうやって浮いてるのかも謎だし、頭の上に常時そんな眩しい光源浮いてたら夜とか寝れねえじゃん。かくれんぼとかしててもすぐばれちゃうじゃん。帽子とか被れねえじゃん」


天使は寝ませんし、かくれんぼもしないし、帽子も被


「そいえば天使の武器って弓じゃん? 相手悪魔じゃん? あっちも飛ぶじゃん? お互い飛んでるのに何で単発の、一点しか狙えない武器なんか持ってるん? クレー射撃じゃん。効率悪いじゃん? ショットガンみたいな「面」で狙える武器や、スライサー・ブーメランみたいな範囲攻撃出来る武器じゃないと駄目じゃん?」


……


「って天使って人を導く立場なのに何で数千年前のギリシャ神話みたいな格好してるん? そもそも空飛ぶのにそんなひらひらしたワンピースみたいな布だけで、下から覗かれ放題じゃん? もしかしてそういう性癖なん? まーそもそも天使って性別無いとかいうから覗けても嬉しくな」


……


神よ、わたくしはまだまだ未熟な様です……今回の件についての罰はいかようにでも……え、お許しになる? というかアレが天国なのは完全にミスだった? そうですよねー

わたくしはハリセンボンの様に弓矢を撃ち込まれ天使の怒りの雷で黒焦げにされ、エンジェルニュークリアーミサイルで完膚なきまでに千切れ飛んだ、先程まで戯言をほざいていたアラフィフデブ親父の死骸を地獄直行のダストシュートに投げ捨てた


……後わたくしは紛れもなく女性ですから!

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