第4話 「ノランよ、貴様の様な」

 「ハズレ能力が我が家から出るとは許されない……死をもって償え……」


 ……はいはい、追放追放……って、えええええ????? それだけでまがりなりとも15年間も育てた我が子を殺すのかよ……。

 まぁそもそも普段から能力能力うざかったしな。農民から能力で成り上がった騎士の家だけあってうるさいのは判るがまさか死ねとは……。

 ってそこまであのうさん臭い教会の下した能力判定を何故盲目的に信じるのかね? 俺はすぐ無敵な能力だと気が付いたし、俺の様な前世の知識がなくても少なくとも能力の検証に数年は費やすべきだろ……判定が出てすぐ追放だとか(俺は死ね、だが)検証放棄してませんかね?


 そもそもそこまで能力が大事かよ。手は抜いていたが剣の腕も魔法の腕も平均以上に調整してたんだぞ? 俺程度の実力でいちいち殺してたらほとんどが無能力な我が領の一般兵なんかどうなる?

 そもそも一応はお前の血が流れてるんだしどこぞの貴族にでも婿養子に行かせてその子供に期待する方が適切だろ。


 前世でよく見てた追放もの全部に言えるけど、親の諦めの早さやハズレ能力時の手の平返しが酷過ぎるわ。まぁ話の都合上そういうのから見返すのがざまぁ系の醍醐味かもしれんが、何をどうやったらここまで実の息子に対して非情になれるのかね?

 その世界全部がそういう能力主義の場合もあるが、本当追放する側の心理が判らんわ……乳酸菌とってるぅ?


 ……ま、その自慢の能力主義の家系も今終わったし、もう乳酸菌もとれないがな。


 血だまりの中で一瞬で三枚におろされた父親だったものの頭部を見下し、無謀にも襲い掛かってきた兄弟だったもののまき散らされた腸と糞尿の匂いに嫌悪の表情を浮かべつつ、好みのメイドを数人引き連れて俺は自宅だった元・侯爵邸を後にした。

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