第3話 「ま、待てっ」
目の前を這いずり回る蛆虫……いや確か勇者だったか? この俺を魔王城で置き去りにして逃げやがった蛆虫は。
無論俺が生きているという事は、これを見ている者なら判るだろう。今蛆虫を触れもせず瀕死に追い込んだ圧倒的な力に目覚めたとでも、俺の横にいる女魔王に気に入られたとでも、好きなように想像してくれ。
「お、俺は勇者だっ! 俺を殺すと魔王を倒す事が出来ないぞ! それでもいいのかっ!」
何か雑音が聞こえるが、もう俺のものになった女魔王を倒す事はしないし、そもそも蛆虫が勝利したとして人類にとっても明るい未来など待っていないだろう。
……そもそもこの蛆虫は、女魔王に勝てるのか? 彼女が例え無防備に寝ている所を襲っても毛ほどの傷も付かないと思うのだが?
女神に聞いてみる。
「お答えします。今から150年後、女魔王が少しだけ油断した時に持っていたティーカップを落として足の指先に傷が付きます。もしそこに近付けて、蛆虫ゲフン、勇者だけが扱える毒を流し込む事が出来れば、そのスリップダメージで850年後に彼女は弱ります。そこで彼女の足元で蹲ればもしかすると引っ掛かって転んで頭を打ち、倒す事が出来るでしょう」
「……詳しく聞いてなかった俺も悪いが、まずこの蛆虫は150年生きるのか? 子孫とかじゃなく? ふむふむ、人類最高齢が130歳くらいだし頑張れば生きるでしょう? その後の850年も? まあいい、そもそも150年後じゃまだまだ女魔王も全盛時だろうが、そのティータイムか? に何故近付けるのだ? え? 四天王始め魔王軍の配下3万人が全員里帰り等して魔王の半径10kmにいないという奇跡が起きれば出来る? どんな過疎地帯だよ。そして女魔王の目の前で蹲ってるのにそれに引っ掛かるとかどんだけレアケーs(ry 」
「あ、もう終わったのか? 話が長くなりそうだから先に蛆虫を殺しといたぞ?」
女魔王は俺に向かってにっこりとほほ笑んだ。まあいいか、これからご褒美セックスだ。後心配性の女神よ、お前もお仕置きセックスな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます