第2話 「これでお前との因縁も」

 「終わりだな……王子よ、思えばいつも俺の邪魔をしてくれたな……この王朝の主を殺害し貴様の妹姫を連れ去ろうとした時も、また戦場で対峙した時我が部下を皆殺しにされた時も……」

 「……クッ……」

 「さらばだ……我がライバルにして、憎き宿敵よ……長き年の因縁を断ち切り、これで我が帝国はこの世界の覇者となる……」

 歴戦の覇者、屈強な肉体を持ち数千もの王国兵を血祭りにあげてきた帝国の主である「血塗れ皇帝」である漆黒の鎧の男はそういって、満身創痍の王国の跡継ぎ、白い鎧の男に剣を振り上げ……。


 「はい、プッチン♪」


 そう聞こえたと思ったら、いきなり漆黒の男が消えた……いや正確には、消えた様に上下に「圧縮された」。

 「余計な喋りが無ければ王子のSA★TSU☆GAI☆彡間に合ってたかもねー プギャー! ざまぁ―♪」

 そういうと物陰から出てきたガングロでギャルJC風の改造ブレザーに身を包んだ魔法使い・キリコが、感謝してねって顔で王子と呼ばれた白い男を覗き込む。


 「ついでに帝国の臣下、兵隊、住民も根こそぎプチっといたから―これで戦争も尾張名古屋だね♪ あ、褒章はいいよ、あーしのお好みのおんにゃにょこだけ生かしといて、セフレとしてあーしの家に送っといたから……流石帝国、マジかーいい娘ばっかりで百合妄想捗るわームフフ♪ 今夜は誰からprprしようかなっ♪ あ、ついでに貴方の妹さんも貰っといたから― うふふっ、今日はあの子のヴァージン貰っちゃおっと♪……あーし好みの貧乳プリンセスがティアラとガーダーベルトとストッキングだけの姿で未知の快楽に身体が跳ねるのを想像すると……じゅるりっ♪」


 そうめっちゃ早口でいってニヘラっとだらしなく顔を綻ばせると、キリコは厚さ1センチほどに圧縮された帝国の主だった血だまりと、その返り血を浴び真っ赤に染まった呆然とする王子を尻目に転移魔法で姿を消した。

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