カルピス

 オフクロといえば、逆に私が寝込んでしまってから、自分は少し気分が良くなったせいか『おねーちゃん(母は私の事をそう呼ぶ)どうだい。なにか飲むかい』と聞いてきてくれたので…


『じゃあ、(ちょうど原液を買ったばかりの)カルピス飲みたい』


 と私が答えるや、母は返答と共に、一旦この私の部屋から去っていった。


 ところが数分後…はい、できたよ。と、その母がカルピス作って持ってきてくれたまではよかったが、


 ガガーリーンッ地球は青かった…! 


 なぜかどうしてか、母が自分で使ってる陶製の大きなカップにぃいい〜ッ。多分、私はコロナじゃないから、あなたのが感染るかも知れんでしょーにぃいい〜ッ。


 という訳で、仕切り直し。


 なら、この器に氷入りでお願い。と、今度は私から渡したのは、コンビニで氷を入れて売ってる、あのカップ状の透明プラ製である。


 空のまま数時間、ここ自室に置きっ放しだったものだ。


 さて、今度は氷入りのカルピスが、その器入りでもってやってくる…と思ったら大間違いッ。


 はいよ…と、まもなく母が持ってきたのは、ワンランクサイズダウンの、やはり母自身がいつも使っている、これまた陶製のカップじゃありませんかッ。テレシコワ〜ッ私はカモメ…!


 母さん…先程お渡ししたはずの、僕のあの帽子…じゃなくって、あの透明プラ製はどうしたでしょーね…

 

 いやま、年齢が年齢だけに母は、もうだいぶ認知力が落ちてるからなー。


 でも、良いもんですな。やはり幾つになっても母親に心配されるというのは。


 ふと子供の頃を思い出しちゃったなー。うんうん。


 で、カルピスは結局、自分で起きて作って飲んだという…w


 ちなみに、例のカップは空のまま、なぜか冷蔵庫にしまってあった。

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