第2話
「ここがロベルト学園……」
ロベルト学園に到着した私は呆然と片手に学園のマップを持ちながら言う。
「ひっろすぎぃ……」
私、シーナだって一応貴族の娘だ。それなりの領土は持っている。なのにこの広さとマップの文字は正直頭が狂っているだろう。
(広さは一国の半分だけですがようこそ!!)
「いや広すぎ。いくらなんでも広いから、私広いって何回言った?!」
こんなことしてて入試に間に合うのかって思っている人もいるでしょう。でも私は魔法に関しては「神童」なので入試は全部飛ばしたから他の人より遅れてもいいんですよねぇ。だから観光(?)を含めて学園をのんびりしてるのにただ広いってだけでこんな困るとは思いもしなかったよ。
「そういえば他の人の実力見とこうかな?どうせ暇だし、道迷いそうだし、学園で入試やってるところしか知らないし」
私はふとそう思った。そしてすぐ行動に移した。それなりの時間がかかって私は入試の場所についた。
「ほんとに…とおい…」
息を荒くしながらやっと着いたのだ。歩いて疲れた思う?いや違う。色んな魔法を使いつつ急いで来たから疲れたのだ。広いって…。私は息を荒げながら試験生が集まっている方に顔だけを向ける。入試の方法は簡単でそれなりの距離から的に1番火力の出る魔法を打つだけ。的に魔法を当てると光り、その色が濃ければ濃いほど威力の高いものとなる。だから高い火力を出せれば合格する可能性が高いのだ。私がやったら学園の歴代で一番濃い、黒に近い灰色だったけど。
「みんなの色結構薄いな」
私より強いとかそういう人を期待していたのだがいないようだ。(神童より強い人がいるのか?)
「それなー。あんまり強い人いないよな」
急に私は後ろから話しかけられてびっくりした。ゆっくり振り返ると、大きくはないが筋肉がついてるように見える背高の男子が立っていた。私が咄嗟に出た言葉は、
「…誰?」
そうすると彼は
「どもどもはじめましてー、我は主席に次ぐ者その名はエンブロック!!」
「なんか…色々独…特」
「冗談だって。普通はこんな感じじゃないから」
彼は笑いながらそう言う。
「その名前も冗談?」
「いや、名前は本当」
彼の言葉にちょっとびっくりする。名前がエンブロックか…。絶妙な立ち位置にいるその名前はネーミングセンスがな…いや個性溢れる名前だ。
「これからもよろしく。主席シーナさん」
そう言って彼は手を私の前に出す。
私名前言ったっけ?と思いつつも
「よろしく」
と私は言った。私たちがそんな談笑をしていると、
「ドガーン!!」
「なっ、なによ!!」
試験場の方から爆発音のような音が聞こえすぐ振り返る。彼女が唖然としたのはすぐのことだ。なぜなら……
「的が……壊れた?」
「へ?」
エンブロックも変な声を出す。的って剣とかの物理でしか壊せないんじゃないの?大魔法士の最大火力でも壊れなかったって聞いたんだけど?
すぐさま試験場にいる人たちの目が魔法を打った人に向けられる。そこに居たのは質素な格好をした1人の少年だった。
「手加減したはず……なのに……」
少年は顔が青くなりながらそんなことを言った。
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