第41話 「私の恋人 SIDE白石」
SIDE 白石先生
「ねぇ莉緒~?」
「なにー?」
部屋でゆっくりと読書をする彼女。
私の恋人、でもあり最近はハーレム法で許嫁もいるという状態。
不義理だとは思わない、彼女の事情は知っているしそれに私にもおこぼれが来るかもしれないし。
というかそうなったら御の字というものだから。
…………だからうまくやってほしいんだけどねぇ。
その辺進捗はどうなのかしら。
「そういえば今日恭弥君が保健室に来たわよ~」
「えっ?!」
ぎょっとした顔で、本を置き莉緒がこっちに慌てて駆け寄ってくる。
「大丈夫?!変なことされなかった?おっぱい触られたり、エロい目で見られたり、太もも触られたりしなかった?!」
私の体を心配そうにまさぐっている。
いやもちろん心配の気持ちもあるんだろうけどね?
でもさぁだからって私のおっぱいさわさわしなくてもよくないかしら?
「…………はぁはぁなんか変な匂いがする気がするんだけど、これは男と一緒にいたからね…………あ、一応聞いておくけど二人きりじゃないわよね?」
「え、もちろん二人よ?」
「は、はいぃぃ?!」
反応がいちいち大げさじゃない?
「え、密室?!密室なの?!大丈夫怪しいこととかされなかった、ねぇ?本当に男なんて碌な奴がいないんだから」
「ちょ頭を揺らさない~ぇえぇえぇ」
がっくがっくして体が揺れるぅぅぅ。
「大丈夫なの?大丈夫なのね?」
「ちょ、落ち着きなさい大丈夫だったから、何にもありませんでしたー!」
「ちょっなんでそこで少し不貞腐れ気味になるの!」
「いーえ、べつに?」
莉緒には、心の底からはわからないでしょうねぇ。
頭ではたとえわかっていたとしても。
自分がすごく幸せな立ち位置にいるっていうのが。
まぁ私はそういう役割でもあるからいいのだけど…………。
とりあえずは安心させないとねー。
一通り何もなかったことを説明したら、ようやく少しは落ち着いたのだけど。
「…………それであいつはどんな話をあんたにしてきたのー?」
「…………えーひみつー」
「なっ?!」
なんで?!と見捨てられたような子犬の目をする莉緒。
普段の学校とか、それこそ恭弥君の前とかでは澄ました顔してるのにねぇ。
男嫌いなのはほんとうのことなんだけど…………。
「いやなんで、って言われてもそれはそうでしょ~。同僚でたとえ恋人だとしても、生徒が相談してきてくれたことは教えられないわよ~」
まぁ大した内容ではないのだけど。
「うぅん、まぁそうなんだけどぉ。でも恋人としては聞きたくなっちゃうっていうか?」
「だめよー」
「まぁそよねー」
さすがに仕事場といわれれば莉緒も何とも言えないようですぐに諦めた。
「あ、そういえば今度莉緒デートするんでしょー?恭弥君と」
「…………ッ、余計なことをしてくれて本当に。何とか中止できないかしら」
あら?思ったより反応がいやそうじゃない。
それこそ最初のお見合いに行くときなんてめっちゃ駄々こねていたのに。
気持ちいやそうにする莉緒だけど、でも絶対いやって感じもなさそう。
「とか言って意外と楽しみにしていたりして?」
「そんなわけないでしょ!冗談じゃないわ!」
頭から角でも生えるかってぐらいお怒りになる。
まぁそれはそうよね。簡単には認められないし、認めたくもないわよね。
でもいい傾向かなぁ。
「ごめんごめん冗談冗談」
「もう冗談でも言わないで!」
ぷりぷりしてる、ほんとかわいいわね。
「…………でも実際どうなの?恭弥君ーー」
「ーーさっきから聞いてるけど、武田君ね? 下の名前で呼ばないよ?」
目が怖いって。
可愛い嫉妬だけど、これもきっと本当は……。
……はぁ早く恭弥君が攻略してくれないかしら?
「はいはいじゃあ武田君とはどうなの? 学校を案内した時と今日会って話した感じだけど、全然莉緒の嫌いな男性らしくなかったわよ?」
莉緒は男性が嫌いだ。
それこそ傲慢な男とかは特に。そういう昔の男性が嫌い。
「えーそんな話したくなーい」
「駄々っ子みたいなこといわないのー。単純にあなたのことが心配だから言ってるのよ~」
まぁそれと彼のことを知っておきたいってこともあるけどね。
「…………うーんそういわれると答えるしかないか~」
どうやら答えてくれるらしい。
ただその顔とは別にすこし頭をかき、
「でも特に何も話すことはないのよねー」
「まぁその中でも、よ?」
話してないのはまぁ想定内ね。
そもそも男性のことが嫌いだし。
「嫌、本当にないのよね、ほとんど話してないし」
この子は本当にもう。
「でも男性らしくないっていうのはちょっと思うかも」
「……って言うと?」
「この間あいつが瑞麗の浴場に突撃したんだけどさぁーー」
「ーーちょっと待って?」
もう初っ端から、意味わからない。
何しているの彼、本当に。
というかふつう逆じゃない?
なんで男の彼が覗きにいってるのよ、覗きされるならまだしも。
という瑞麗ちゃんってあの件があるし。
「まぁなぜか瑞麗が悲鳴上げて、みんな集まってきたんだけどその時ずっと謝ってたりしたのよね。普通なら裸見られてうれしいだろとか汚いものを見せるなくらい言いそうなものなのに」
なぜか、か。
まぁ私は意味も分かるけどそれにしても彼は平謝りしたのか。やっぱり彼は普通の男性とは違うのね。
「…………あとは宝生ちゃんとのデートもおおむねよかったみたいね、話をよく聞いてくれたって言ってたし、男なのに美術館とかでも楽しんでたらしい。なんかちょっと過去にまつわるトラブルがあったらしいけどそれもつつがなく何とかなったらしい」
「…………彼本当に男の子なのかしら?」
ちょっと疑問に思えてきた。
「ほんとうにね、まぁだいぶ田舎で育ったらしいから変な影響を受けなかったのかも」
そうらしいわね。
でもそれだけで本当にこうなるかしら…………まだなにかありそうなんだけどなぁ・
というよりも。
「で、あなたはなにしたの?」
「へ?」
きょとんとした目で、私を見つめる莉緒。
「今のところほかの人のことばっかであなたの話何にもなかったんだけど?」
「…………だだってあまり男好きじゃなかったし?関わりたくなかったし?」
まぁ莉緒の気落ちもわかるけど、でもこのままじゃ
「でもそんなんじゃ報告もできないでしょー?」
うっ、と言葉に詰まらせる莉緒。
「今更どうこう言う気はないけど~、でも動くにはまだ早いんだからとりあえずっはちゃんとデートこなしてきなさい?でもそこで無理しなくていいからね、いやなものは嫌でいいし、楽しかったらそれはそれでいいし、だからいってきー」
「…………わかったー」
「よしよし…………じゃあベッド、いこっか?」
こくりと無言でうなずく莉緒。
…………ここはちゃんとケアしないとだな。
でも本当に頼むわよ?恭弥君。
ちゃんとおぜん立てはしといたんだから。
ま、それはそれとして楽しみましょうか。
今日は恭弥君のせいで、むらむらしたし、ね?
ベッドの上で、莉緒が身じろぎする。
「ね、彩香?」
「んー?」
「お願いしたいことがるんだけど…………あのさ」
そんな彼女のお願い。
普段なら拒まずにすぐうなずくのだけど、だけど。
「え?」
あまりに予想外すぎて私は固まった。
…………恭弥君、橘さんとのデートが終わってもまだまだ大変そう。
「ハーレムって大変ね~」
私だったら胃もたれしそう。
今ごろ精一杯デートプランを練っているであろう彼に同情しながら、私は瞼を閉じた。
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三連休!!
お読みいただきありがとうございます!もし良ければ、下の☆ボタンで評価していただけたら幸いです。
忘れちゃってる方もいるかもしれないので一応。
あと沢山のフォローと応援ありがとうございます。
新連載もやってます!お時間ある時に是非!
下にURLとあらすじ貼っときますね〜!最新話も8時にでてます!
「気づいたら大学のマドンナを染めた男になっていた件」
https://kakuyomu.jp/works/16817330663207506037
「ねぇ、私の偽彼氏になってよ」
そんなことをお隣のギャルに言われた、知らないベッドの上で。なんかしかもシーツで顔を隠してるし、
え、ちゃんと責任取らなきゃ……
……ん?よく見たらこの人大学のマドンナじゃない?
……あれ?俺に偽彼女ができたのを知った幼馴染の様子が?
……別れたはずの元カノが大学に編入してきた?
いつの間にか大学内で、マドンナを彼女にして、幼馴染を浮気相手に、元カノをセフレ、と大学中のヘイトを集めてるんですけど?
俺の平穏な大学生活はいったいどこへ?
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