第40話 「存在がえろい」

 なんか前も思ったけど休み中の学校ってなんだか静かで不気味だよなぁ…………。まだ午後で暗くなる時間でもないのに。

 でも廊下には影とかがあってそういうところは人影もなく…………。


 いや考えるの止めよ、俺今からそんな中の校舎に入っていかなきゃいけないわけだし。

 

 校門の前に着くと、そこには既に白衣姿の白石先生の姿。

 

 「久しぶりね~、武田君」


 手をひらひらと校門の前で振っている。

 俺は慌てて、白石先生の待つ校門へ走る。


 「そんなに急がないでよかったのに……」


 「いえいえすいません、自分からお話ししたいといったのにお出迎えまでいただいて、ありがとうございます!」


 「気にしないでいいわよー。 前も言ったかもしれないけど、私たち教員って学生が長期休暇期間中の間は結構暇なものなのよ~、子供の人口も減っているしね? だからこういう面白そうなこと…………じゃなくて刺激的な…………じゃなくて間違えたわえーっと、そう! 教育指導のためになら全力でサポートしなきゃだし、未来の生徒のためにも、ね?」


 絶対この先生「なんか楽しそう」っていうのが理由の一番にきているよね、絶対。

 案外迎えに来たのも、待ちきれなかったからだったりして。

 

 うふふ、と妖艶に笑う白石先生。


 …………さすがにないか

 大人の女性だしな、うん。

 ないよね??


 「じゃ行きましょ、保健室」


 なんでこの人の話すことはすべて色気ある感じになるのだろうか。

 彼女の後ろ姿を見ながら考える。


 長髪を一方向に流し、ロングスカートの上に羽織った白衣が歩くことによってはためく。

 うん、これ全部が悪い!存在がエロい!!


 白石先生自身の魅力が白衣によって、倍増している気がする。

 これが白衣マジックか…………。



 そんなしょうもないことを考えていれば、目の前には保険室。

 気づいたらついていた。


 「さ、入って入って~」


 保険室独特なにおい。

 でもそれと芳香剤なのかそれとも白石先生のいい匂いが混ざって、すごくいい匂いがした。


 「…………それでー?今日はどんな用件できたのかしら?」


 「実は──」


 「──あ、ちょっと待って私に当てさせてほしいなー」


 なんか白石先生の目がキラキラしているんですけど。

 この人もしかして意外とお茶目なのか?というかやっぱ楽しんでるよね?


 うーんと腕を組んで悩んでいる姿は妖艶なんだけ。


 「あ、わかったわ!私にわざわざ聞いてくるってことはどう考えても、莉緒関係でしょ?そこから推理するに──」


 「あ、すいません。秋月さんは全く関係ないです」


 もうそれは即座に否定。


 「……へ?」


 白石先生の目がきょとんとなった。


 まぁそうだよねぇ、確かに白石先生に相談するとしたらそういうことだよね。

 でも違うんだよ。全く関係ないんです…………申し訳ないけども。


 「え、本当に? 莉緒を誘ってみたけど足蹴にされて、ツンデレだと思うんだけれども、でも無理やり押し込んでもいいものなのか、どうなのかっていうことを聞きに来たんじゃないの? お答えしましょう!…………オッケーです!いっちゃいなさい、私なら行くわね!」


 すごいじゃん、自分の恋人めっちゃ押してくるじゃん。

 もうそれホントどういう気持ちなんだよ。


 「いえ違いますけどね?」


 「えっ、違うの?」


 「というかさっきも違うって言いましたよ?」


 「それは聞いたわよ? でも照れ隠しかなって。それにほらうちの莉緒あんな性格だから、さ。困ってるかなって」


 「…………いやまぁそれは困ってますけど…………あ」


 

 あ、間違えてつい本音を言っちゃった。

 

 

 「ふふ、本音と建前が逆になっちゃったわよ?」


 妖艶な笑みを浮かべる白石先生。

 何ともやりにくいなぁ、気づいたらあっちのペースに乗せられている。

 

 「それじゃ緊張もほぐれてきたことだろうし。…………それで今日の相談事はなぁに?」


 確かに緊張はほぐれたけどさぁ……。

 足を組みなおし、こちらに視線を合わせてくれる。先生の視線の奥は優しく俺を見ている。

 

「実は…………今度女子高生とデートをすることになったんですけど」


「女子高生ってことはあれよね?橘さんよね?」


「そうです、許嫁投票の前に全員とデートをすることになったんですけど、どこに連れていったら喜ぶのかなぁって一応考えてあることは考えてあるんですけど……」


「そういえば莉緒がそんなイベントがあるっていってたわね〜。 そっかそっか〜それで女子高生の意見を1番知っていそうな私に聞いてきたってわけね〜、他の人は知らないだろうしまさか本人に聞くのも……無くはないかな?その辺どうなの?」


 あ〜本人に聞くかぁ。確かにそれが一番確かだ。

 でもそれは使えないんだよなぁ、今回の場合。


「実は今回の許嫁投票ってデートプランを本来は女性が決めるってことで始まったんですけどそれを橘さん風に言うと【良さげなとこ連れてって♪】って感じでいわれて」


 あぁなるほどと彼女は乾いた笑みを浮かべる。


「つまり簡単に言うと丸投げされたってわけね?しかもハードル増して……うん彼女ならいいそうだねぇ」


「簡単に言えばそうですね」


「じゃあ確かに使えないか本人に聞くって手は。 それで聞けそうなのが私に、ってことねうん納得したわ~」


 この時期に大変だね恭弥君も、と彼女は朗らかに笑みを浮かべる。

 

「じゃあ恭弥くんのプランを教えてくれない? さっきもちょっと考えてるみたいな話をしてたし、それで合ってるかどうかを聞きたくてきたんでしょ?」


「そうですね」


「じゃ教えて?」


「はい!結構実は自信があるんですけど……」


「わぁ楽しみだわ、教えて教えて」

 

「まずは学校で制服を着て集合します!」


「……うん?」


 一瞬笑顔が固まった気もするけど続ける。


「それで制服を着ながら、話します!」


「……ほほぅ」


「それでオシャレなカフェとかに入ってまぁこれはスタバとこですかね、そこに入っておしゃべりします!」


「……そ、それでそれで?」


 さすがに白石先生もアドバイスすることもないのか、笑顔で頷いている。

 今のと頃完璧だもんな。


 「で、そのあとはお洒落な猫カフェかフクロウカフェ、奇をてらってメイドカフェに行って癒されるっていうのもありかな、と」


 「なーるほどねぇ?面白いねぇ、運本当に」


 もう笑顔が固定されている気がする。


 「それで、最後に!」


 「ま、まだあるのね?」


 「ええ、これじゃあ流石にデートとしてどうなのかって話ですからね?」


 「そ、そうよね?ここから巻き返せる保険はあるわよね?」


 保険?なんの話だ?

 というか巻き返す?


 「最後はディナーを」


 「ま、まぁ定番っちゃ定番だよねぇ、いままでも定番の流れで来てほしかったけど……」


 「夜景の見えるレストランとかに行こうかなって」


 「うんうん……んむむ?!」


 白石先生の顔に?が浮かぶ。


 「……い、いかがでしょうか?」


 「うーんむぅぅぅぅ」


 すっごい悩んだ後に、彼女は一言!


 「控えめに言って闇鍋かなぁ」


 控えめに言って闇鍋ってなにどゆこと?


 「…………つ、つまり?」

 

 「却下!!」


 「…………え?」


 「だから却下!」


 …………どうやら俺の渾身のデートプランは却下されたらしい。

 

 何で!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

正解は白石先生でした笑


というかお待たせしました!

燃え尽きてましたカクヨムコンで!

そろそろぼちぼちいきまっせ!

よろしく!!


 お読みいただきありがとうございます!もし良ければ、下の☆ボタンで評価していただけたら幸いです。

 忘れちゃってる方もいるかもしれないので一応。


 あと沢山のフォローと応援ありがとうございます。



 新連載もやってます!お時間ある時に是非!

 下にURLとあらすじ貼っときますね〜!最新話も8時にでてます!



「気づいたら大学のマドンナを染めた男になっていた件」


 https://kakuyomu.jp/works/16817330663207506037


「ねぇ、私の偽彼氏になってよ」


 そんなことをお隣のギャルに言われた、知らないベッドの上で。なんかしかもシーツで顔を隠してるし、

 え、ちゃんと責任取らなきゃ……

 ……ん?よく見たらこの人大学のマドンナじゃない?

 ……あれ?俺に偽彼女ができたのを知った幼馴染の様子が?

 ……別れたはずの元カノが大学に編入してきた?


 いつの間にか大学内で、マドンナを彼女にして、幼馴染を浮気相手に、元カノをセフレ、と大学中のヘイトを集めてるんですけど?


 俺の平穏な大学生活はいったいどこへ?

 

 



 

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