第14話 「ドS女教師の事情と大撃沈」

 時刻は10時。

 案外帰るのが遅くなってしまった。

 

「ちょっと遅くなっちゃったね」


「何他人事みたいに言ってるんですか、キョウ様のせいだと思いますよ? キョウ様のキョウ様が盛り上がるから」


「そりゃ、久々だったから」


「とはいっても出しすぎですよ?知ってます?同年代の男性がどれだけ出せるか、って」


 どれくらいだせるか、かぁ。

 うーん勉強とか実はあんまり覚えてないんだよなぁ。

 正直姉さんのことで頭いっぱいだったし高三までの知識はある程度入ってたってのもあってよくは知らない。


 でもたしか前の記憶を思い出すなら、


「……えーと確か2日に1回ちょっと1ミリくらい出せる、……とかだったかな?」


「うーん、それまだ男性が今よりも多かった時のやつですね。キョウ様が子供の時10年くらい前はそれくらいでしたね。あと微妙に訂正させていただきますけど、それ平均、じゃないですからね?で、ですからね?」


「え?まじ?」


 それほとんどの人はもっと少なかったってことじゃん。


「ええ、今では3日に1回、平均では1週間に1回催すかな、ぐらいになってますよ」


 それはなんて言うか


「思ったより減ったね〜」


「そうですよ?それなのにキョウ様はどうですか?」


 俺?俺ですか?

 えーっとどうだったかな?

 

「に、2回くらい?」


「ええ、2回は絶対ありますね一日2回は必ず、ですしかもちゃんと翌日には回復してますし。初めてですよ?女性がヒィヒィ毎回言わされるの」


「…………そっかァ」


 前世だったら別に変なことでもないんだけどなぁ。

 ちょっとつよいくらいで。


「そうなんですよ」


「じゃあ最近あんま出来てなかったし溜まっちゃうのもしょうがないかな?しかもちゃんと有効活用もしてるし?」


「それは本当に助かってます、実際それによって…………ってあら?」


 ん?前を見てどしたの?

 

「……どしたの?ってあれ?」


 花咲凛さんと全く同じ反応をしてしまう。


「ねぇ、あれ秋月さんじゃない?」


 ちょうど家の少し前で赤い外車が止まってその助手席から秋月さんが出てくる。


「……ですよねぇ、ご友人……ですかね?」


 左側の運転席から一人の女性が降りてくる。

 長い髪をウェーブさせた、大人の色気のある女性。


 そうして、二言三言話すと、自然とふたりの距離は縮まり…………

 

「え?」


「あら?」


 触れるような、しかし情熱的な長いキスをした。


「「わぁお」」


 全く同じ反応をしてしまった。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 

 

 ふぅ。

 人生ままならないものだなぁ。


「…………はぁ」


「ため息が深いですよ、キョウ様」


 もう時刻は深夜とも言う頃。

 俺とかざりさんは、あの後ちょっと遅れて自宅へと戻った。

 その頃にはもうリビングには誰もおらずみな自室へと戻っていた。


 でも良かった。

 もし秋月さんと出会ったらもう普通に気まずい。


「…………そりゃため息も出るでしょ〜」


「まあ気持ちは分かりますけどね?」


 これでも飲んで落ち着いてください、と紅茶を置いてくれるかざりさん。


「確かに女の子の方好きとは言ってたけど……さぁ。でもねぇ本当に恋人……?いるとは思わないわけじやん?」


「いえ、恋人かどうかはまだ分からないじゃないですか。ただキスをしてただけですし」


「ただキスって…………えぇ」


 そんなことある?

 男同士だとしなくない?


「友達同士でもしますよ? 凄い仲良い人で酔っ払ってたりしたら、見ないこともないですよ?」


「……昨今のキス事情は乱れてるなぁ」


「【最近の若者は……】みたいに言わないでください? 秋月さんの方が年上ですから、キョウ様はどちらかと言えば言われる側ですからね?」


 「俺乱れてないからね、言われないよね」


 「ほんとにですかー?」



 適切な義務を行っているだけだからね。



 「ほんと、だよ?」


 「その割には私で、いろいろなことを……」


 「研究熱心と言ってほしいな?お国のために?」


 「物は言いようですかね?」


 そうともいうよね。

 でもまぁ自分がある程度、花咲凛さん溺れている自覚はある


 「まぁいいや、秋月さんのけんは明日の俺が考えるはず、ねよ!」


 「はいはい、大人は逃げることが出来る、でしたっけ?」


 「違うよ?戦略的撤退よ。優先順位をつけてるだけ。今すぐ対処すべき問題ではない、ってこと」


 いずれは解決しなきゃいけないことかもだけど、たぶんこの一月では解決できないから。

 まずはこの許嫁投票を乗り切らなきゃしょうがない。


 「んじゃおやすみ!」


 「おやすみなさい、キョウ様。今日もお疲れ様でした。」



 花咲凛さんが、電気を消して、自身の部屋へ。

 それにしても……


 「天蓋付きベッドに一人はちょっと厳しいかなぁ」


 見栄を張らずに言えば、落ち着かない。

 昨日こそ爆睡したが、改めて思うと広い。


 というか男一人で、天蓋付きベッドに寝てるの控えめに言ってきつくない?

 アラブの王族か何かか?



 「一概に、違う、ってのも言えない時制だからなぁ」


 なんたって男性の若者が少なすぎる。

 それも生殖がかなりできる、ってのは。


 「……簡易ベッドでも買おうかな」


 いや無駄だな。

 俺は雑念を振り払い、横になった。



 天蓋付きベッドの寝心地はかなり良かった。


 

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