マルク君、頑張る



 マルクはいつもカオの後を追いかけてカオにべったりとくっついていた。しかし、冒険者登録をした頃から少し変わっていった。


 と言うのも、いつもカオの足や背中にへばりついているマルクを見た同じ年頃の陽葵に言われてしまったのだ。


「大人になりなさいよ。マルちゃんももう10歳なんだから、私と一緒でもう大人なのよ?」


 同じ年頃と言う事で小さい時から比べられるふたりだった。しかも父であるカオはマルクの成長を気に病んでいるところもあり、マルクとしては早く一人前にならなくては、と思っていた。


 そこでマルクは頑張った。本当は父さんにくっついていたい、そう思う気持ちに蓋をして父であるカオから離れる時間を作っていた。


 しかし、ある日のこと、やまと屋のリビングには教会から子供達が遊びに来ていた。

 大きい(と言っても7〜8歳)子らはやまと屋に仕事を教わりに、その子らに着いてきた小さい(3〜5歳くらい)の子らはリビングで待っていた。


 それを見たカオはアイテムボックス中にあったマッツのハッピーセットを取り出した。オモチャが付いているランチセットに子供らは早速夢中になった。


 子供達に囲まれているカオ。その中のひとり、2〜3歳の子がカオへと手を伸ばして近づいていった。

それを見たマルクは、電光石火の速さでカオの膝へと滑り込んだ。

 ちょこん。


『ふぅぅ、父さん(の膝)は守ったぞ』


 カオはカオで目尻を下げてニヤついている。最近マルクがメッキリ膝に上がって来なくなった事を寂しく思っていたのだ。


 ニヤニヤニヤ。マルクを抱え込んで嬉しがるカオ。



「親離れ子離れ出来ない親子だね」


リンさんがため息をつきながらふたりを見ていた。




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マルク:異世界でカオが養子にした子供

リンさん:カオのゲーム仲間のひとり、やまと屋に住んでいる

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