魔法の詠唱
(※アンデッド騒ぎが鎮火して生活がまったりした頃の話)
この世界では魔法を使う時には『詠唱』が必要らしい。
だが俺たち稀人は違う。
稀人、つまり地球人だが、俺らは詠唱をしなくとも魔法が発動する。
そもそも地球には魔法そのものが無かった。
パソコンの前に座り、目の前に映しだされたゲームの使用したい魔法をセットしたショートカットキーをクリックするだけだったのだ。
人によってはクリックした瞬間、パソコン画面に向かって叫んでいる(詠唱)者もいた。
もちろん俺も叫ぶ派だ。
「ふぁいあああ すとおーーーーむ!」
画面の中のプレイキャラが声を発する事はない。
そして、叫び(詠唱)間違えても魔法は発動する。
だって、パソコンのキーを押しているだけだから。
この世界に転移してきた俺たち稀人(ゲームプレイヤー)は自分で戦う事に馴染むまでに時間がかかった。
何しろパソコンもショートカットキーもないのだ。
神さまの粋なはからいなのか、この世界での稀人(魔職)は無詠唱でも心の中で詠唱すれば魔法は発動する事が出来た。
だが俺は、勢いをつけるためもに詠唱を必須としていた。
今日も草原へ薬草採取に来た俺カオは、自分の護衛用の召喚獣を出す。
「カモン!モンスター!ライカン」
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………。
ライカンスロープ達は悩む。
「今、呼ばれた…よな?」
「え、いや、正しい呪文は『サモンモンスター』だぞ?出ていいのか?サモン(召喚)されてないぞ?」
「カモン……召喚じゃないが『来い!』って事だろ?とりあえず、出てみるか?」
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「何だよー、なかなか出てこないから召喚失敗したかと思ったぞ」
自分の言い間違いに気がつかないカオと思いやりのある召喚獣達であった。
完
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