第37話 閑話 再会を待ち望む二人*冥・依瑠サイド
中級者ダンジョン『雨林の杜』30階層。
ダンジョン内全てがジャングルのように草木が生え、空も雲もないのに雨が降る。
ダンジョンとは例外なく階層を降る。当初は雨が溜まって下階層に行けないのでは?と囁かれていたが心配は杞憂に終わる。
そんな『雨林の杜』階層主部屋に二人の女性がいた。
「いくよ――リル」
茶髪の髪がよく似合う美人『探索者』――
〈 お任せください 〉
「光の玉」から小人に羽が生えた見た目「妖精」の少女になった――リルは応える。
リルの体は液状に変わり、主人である依瑠の体の中に吸い込まれる。
片手剣片手に光り輝く依瑠は目を瞑り、修行の成果を発揮するべく、唱える。
「星に誓いを――【
光は強さを増し――収束。
星の熱量で光り輝く髪、白を基調とした騎士服。揺蕩う黒マントに星のロゴが描かれる。それはまるで姫騎士が着込むような装い。
「冥、お待たせ!!」
修行の末、ホロウに追いつくため編み出したスキル。それは星妖精リルの力を自分の力として扱えるフォルム――【
成功させたことにホッと一時しつつ前方で魔物「水妖蛇」の巨体を月夜の「重力」で押さえつけていた
「…任せた」
「重力」を解くと同時に「水妖蛇」の側から離れ、依瑠に後のことは託す。
「――スターレイン!」
先制、駆けながら輝く片手剣を一振り。
その一振りは光の流星群となり魔物を襲う。
「ギャァァァァッ!?」
流星群が直撃した痛みからのたうち回る魔物を無視して肉薄するため接近。
「っ、シャッ!」
敵が自分の近くに来たことを肌で感じた「水妖蛇」は痛みに暴れながら口に含んだ水を水圧のブレスとして吐き出し、排除しようとする。
「星壁!」
押し寄せる水圧のブレス。怯むことなく左手に集めた星の熱量――星の壁を瞬時に生成。
バシャッ!
「――やぁっ!!!」
星壁で防いだブレスから飛び散る水飛沫を浴びながら自ら作った星壁を足場に――魔物の顔付近に飛び上がり、輝く片手剣を――振るう。
「――星崩し」
その一撃は魔物…「水妖蛇」の顔を真っ二つに裂き、裂け目は胴体に到達し。
体内を浸透した星の熱量は魔物の体を内側から意図も容易く溶かしていく。
それはまるで星の熱量で崩れ落ちる様。
パシャ
少しして粒子となって消えた『雨林の杜』の階層主「水妖蛇」を横目に、華麗に討伐した依瑠は片手剣を鞘にしまう。
「――【
その一言で依瑠の体はまた一段と輝き…光が落ち着いた通常の格好に元通り。
「
背後で様子を見ていた冥にピースを向ける。
「…上出来」
称賛の言葉を贈る。
それとともに「重力」で用紙を飛ばす。
「…これは?」
ヒラヒラと宙を舞う二つ折りされた用紙を受け取り、渡してきた冥に視線を移す。
「見ればわかる」
「……」
二つ折りにされた用紙を開き目を通す。
次第に顔は明るく、やがて口元は緩む。
「ビックニュースじゃん!」
近寄ってくる冥に満面の笑みで告げ。
「二日後が、楽しみ」
肩を寄せ合う二人は「再会」を待ち望む。
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