第九夜 回転扉
これは北関東にある、とあるホテルに宿泊したときのお話である。
そのホテルは古く立派なホテルであり、入り口は回転扉があった。趣があっていいなぁ、というのが第一印象だった。
そして、次の日チェックアウトの時間にロビーで友人を待っていると、回転扉で二人の女の子がくるくると回って遊んでいるのが見えた。そのとき周囲には大人の姿はなく、危ないから注意すべきかな、と思ったときにその出来事は起こった。
女の子のうち一人がつるん、と転んだかと思うと後ろ向きに倒れ、そのまま回転してきた扉に首が挟まった。
まずい、と私が勢いよく立ち上がると、ぽろり、と女の子の挟まった首が切断されて転がり、ころころ、と転がって止まるとこちらを見た。女の子の顔は判別できなかったが、ぱちりと目が合ったのがわかり、やばいやばい、どうしようどうしよう、助けたいけど首取れちゃったしとりあえず一一九番じゃなくて一一〇番か。
と思ってスマホから緊急電話をかけようとして一瞬視線を外して再び少女の方を見ると、忽然と、その姿は消えていたのだった。
私が呆然としていると、降りてきた友人達が『どうかしたの?』と尋ねてきた。
変に怖がらせても仕方がないなと思った私はあー、なんでもないよ? と答えて、とはいえその回転扉から出ると事故に遭いそうだなと思ったので、チェックアウト後少し遠回りして別の扉からそのホテルを後にしたのだった。
あとで調べたが、そのホテルに幽霊が出るという噂はあまり見られなかった。悪戯な霊の仕業だと思われる。
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