~最悪の出来事~
―――放課後。
いつもは章裕からの呼び出し用に使ってるLINEに、俊からメッセージを送り、いつもの空き教室に全員が集まった。
普段は取り巻きと一緒にいる章裕だが、今日は珍しく一人だった。
―――丁度いい。
そう思っていると、章裕が話を切り出した。
「珍しいな。お前の用から呼び出すなんて。お友達も一緒だけど、何の用だ?」
「王様…相談したいことがあるのですが、良いですか?」
「何だよ」
「あの…。しばらくの間、専属従者の仕事を休ませてもらえないでしょうか………?」
「………」
「…勝手なことを言ってすみません。でも、今は体調が悪くって作業に支障が出かねないので…。…お願いします」
「俺たちからも、お願いします。どうか、少しだけでいいんです。俊を休ませてもらえませんか?」
「お願いします」
「………」
無言のままの章裕に、三人は頭を下げてもう一度「お願いします」と告げる。
どう答えようかと、章裕は腕を組み、親指をあごに当てて考え込むが、また何かを思いつき、にやりと口元を歪めた。
「いいぜ。ただし条件がある」
「…条件、ですか?」
「ああ。…これ、知られたくないんだろ?」
「…っ」
「ふっ。じゃあ、決まりだな。架山、今から出す条件を受けるんだったら、そのお願いを聞いてやっても良いぜ」
「………分かりました。何をすればいいんですか?」
章裕はポケットからスマホを取り出し、例の写真を匂わせて言った。
俊はそれに気付き、身体をこわばらせるが、此処で拒否したら、元も子もないと感じて、受け入れることにした。
その条件とは…。
「架山。こいつらをその気にさせてみろよ」
「え…?」
「え?じゃねーよ。わかってるんだろ?最後までイカセられたら、その願いを聞いてやるって言ってるんだよ」
「っ!!」
その意味が分かり、俊は顔を青ざめた。
敦也と甲斐は章裕の言ってる意味が分からず、困惑していると、俊が震えた声で「分かりました」と答え、ゆっくりとふたりに振り向いた。
「最初は…そうだな、広瀬にしてやれよ。何だったら、手伝ってやろうか?」
章裕は甲斐の後ろに回り込み、無理矢理椅子に座らせ、両腕を後ろで縛ると、「ほら、早くしろよ」と、俊を捲し立てた。
「王様、何を…?…俊?」
「………」
無言のまま、甲斐の前に立つ俊。
そして…。
「ごめん、甲斐………」
俊はゆっくりと甲斐に近づくと、肩に手を置き、甲斐の唇に自身のそれを重ねた。
そしてそのまま右手を下へと降ろしていき、ズボンのファスナーに手をかけた。
「「…っ!?」」
甲斐は驚き、身をよじろうとするが、後ろ手に縛られていて抵抗出来ない。
敦也もまた、ビックリして止めに入ろうとするが、「手を出したら願い事はナシだ」と章裕に止められ、拳を握りながら目を逸らし、我慢していた。
その間にも、俊は行動し続けていた。
甲斐の舌を絡め取り、右手でスボンのファスナーを下ろし、性器を露わにさせるとそれをやんわりと掴んで、なでつけた。
「ふ…ん…」
口を塞がれ、反発できないで居る甲斐に、俊はさらに行為をエスカレートさせていく。
甲斐の両足の間に自身の脚を入れ、身体を密着させる。
暫くその体制のまま、口付けをし、やがて離れると、唾液が糸を引いて甲斐の口元に垂れた。
「俊………」
「………」
「もういい、それ以上はしないくていい。無理するな…」
「………」
しかし、俊はやめようとせず、そのまま跪くと、今度は甲斐の性器を口に含み、顔をしかめつつも、舌を這わせていく。
「馬鹿っ!もうやめろって!!」
甲斐は制止するも、俊はやめようとしない。
その様子をスマホのカメラで撮影しながらにやにやと笑う章裕。
「いいぞ架山、もっとやってやれっ!」
野次を飛ばす章裕に、俊はさらに刺激を与え続けた。
湿った音が響く。
次第に甲斐の表情に、焦りが見え始めた。
「くっ…」
「アレアレ?もしかして、感じちゃってる?!」
章裕はニヤリと笑いながら、スマホのカメラを近づけた。
甲斐は俊にひたすら「止めろ」と制すが、章裕が煽ると俊は止めようとせず、さらに刺激を与え続ける。
流石にやばくなってきた甲斐は、下唇を噛み締めながら、果ててしまう。
そして俊は、甲斐が吐き出したものを口に含みきれずに噎せていた。
「あははっ!やっぱ最高だぜ、架山!」
章裕は大いに喜び、録画したその映像を再生させて、敦也に見せ「ほら、良い感じに撮れてるだろ?」と見せびらかしていた。
敦也は何も出来なかった自分を悔やみ、拳を握りながら歯を食いしばる。
俊と甲斐は、それぞれ肩で息をしながら、俯いていた。
「ははっ、いいぜ。これでしばらくの間は自由だ。愉しませてくれてありがとな!!」
そう言って満足した章裕は、徐に空き教室から出て行った。
その後、俊が甲斐の両腕を縛っていた紐を解き、解放させると、「ごめん……」と涙声で謝り、走り去っていった。
残された甲斐と敦也は、暫く動けず、その場に佇んでいた。
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