私は小説家になれると思ってた

日々

朝6時に携帯2台から鳴るアラームを一つずつ止めて「もう少しだけ…」と瞼を閉じ、また10分後に鳴るアラームを止めて、「今度こそ…」と、ゆっくり体を起こす

「はぁ…起きるか…」

締め切った部屋の窓を少しだけ開けて、洗面台で顔を洗い流し、起きろ…起きろ…と唱えながらリビングに戻ってテレビを付ける

毎日同じアナウンサーが綺麗に着飾り、最新のニュースと天気予報を伝えていて、私はそれを見ながら起きたばかりのむくれた顔を人様に見せられる顔になるよう変身させていく。

下地とファンデーションを塗り込み、眉毛を描いて、アイシャドウを塗って、ビューラーして、マスカラ塗って、チーク足して。

リップはどうせマスクをするから塗らない。

そんな習慣が3年近く続いたせいで、マスクをしなくなった今でも塗り忘れる。

ヘアアイロンを温めてる間に冷凍した食パンをオーブントースターでチンして、服を着替える。

そうこうしてたらパンが焼き上がってそれを机に置いた後、髪の毛を整えて。

いつも大体、ウサギとリスがああだこうだしてる1分ぐらいのアニメと星占いを見ながら黙々とパンを食べ進め慌てて流しに皿を戻して、いそいそと歯を磨いて、大好きなぬいぐるみたちに行ってきますの投げキッスをして家を出る。

調子がいいと歩いて駅まで向かうけど、モタモタして遅くなると、持ち得る全ての力を使って全速力で走る。

また、今日が始まる。

電車を乗り継いで、1時間掛けて職場に向かう。

「おはようございます」

席に着くなりＰＣの電源を入れて、仕事のスイッチをオンする

朝8時

ここからまた1日。

今日の予定を確認して、ため息をひとつ、ふたつ、みっつ。

変わらない毎日。