File.72 後悔(足立視点)

俺はあいつのことを正直、よく思っていなかった…最初こそ俺や、他のメンバーよりも下手で皆からも『何で入ってきたんだ?』って思われるくらい下手だった…


俺があいつのことをよく思ってなかった原因…それは、あいつのだった…いや本当はなのかもしれないが俺には才能のように見えた…


あれは、炎天下の中のことだった…俺らは監督の指示に従って練習をしていた…俺等二年は一年の頃、球拾いなんかをずっとさせられていた…正直そこはどうでも良かった…野球をしていく中で必要なことなんだろうと割り切ってやっていたからだ…


俺等二年は一年の時に比べ、結構練習に参加することが出来ていた…一年の頃から監督や先輩たちと一緒に練習をしてきていたからだ…そして、あいつは二年生に上がるタイミングで部活に入ってきた…


あいつは、俺等が一年の頃やらされていた、球拾いをさせられていた…しかし、昔の俺らよりもずっと長い時間やらされていた…


あいつは体が、野球をやっている人間とは思えないほど細い…野球選手の中にも比較的細い人はいるが、あそこまで細いとは思わなかった…それに加えて顔はイケメンで正直女が好きそうな見た目だった…


そんなあいつのことをよく思ってなかった人達が居た…それは、監督と3年の先輩たちだ…俺がそれを理解したのは、明らかにあいつだけおかしい量の練習をさせられていた時のことだ…


俺等は練習をすることが出来ていたが、あいつだけは一向に練習をさせてもらえてなかった…そんな中、今年度の大会のチームを決める為に監督が俺等の実力を見極めていた時のことだった…


この時期になってようやくあいつも練習に参加することが出来たが、大会に出ることは不可能だろうと思っていた…


けれどあいつは、俺らよりも上手かったのだ…もしかすると俺等が見ていない時に努力していたのか…それともこれほど上手いのか…


俺には正確なことは分からなかったが、結果的にはあいつは俺らよりも遥かに強かった…俺らは一年生の時からこの部活に入っていたが、あいつは二年生の時から入ったのに…そんな嫉妬のような気持ちを持ちながらも、俺含めあいつと一緒に練習をしていた…


そんな時、監督と先輩たちに俺等は呼び出された…監督と先輩たちは俺らに向けてこういった…


「あいつのことをどう思う?俺が一年しっかりと練習をさせて鍛えていたお前達と、正直一緒にしたくない…お前らの内、数人は行くことができるがほかはあまり経験を積むことは出来ない…そんな貴重な枠をあいつに取らせて良いのか…俺はそこに疑問がある…」


「監督…でも勝たなきゃいけないならあいつを使ったほうが良いと思います!!俺等は最悪来年がありますから!!今年度勝つことができれば来年以降は更に強い子が来てくれますよ!!」


「ふむ…でもな…勝ちに行きたいのはそうなんだが…お前らは本当に良いのか?」


「はい…本当は…大会という舞台に立ちたいですけど…」


「分かった…とりあえずあいつを使うが、何かあればあいつじゃなくて他のやつを使おう…」


先輩たちはあまり納得していなかったようだが、一応監督が居るためか表情を直した…俺等はあいつのことを信じていた…そしてあいつは大会に出ることが出来、そのまま他の高校の奴らを倒していた…練習中にペアを組む機会があったが、その時はずっとあいつだけハブられていた…俺含め、皆監督や先輩たちにあいつの悪口をずっと言われていたからかもしれない…


でも事件が起こった…あいつが痴漢を起こしたという事件だ…それは監督から直接俺等に伝えられた…『痴漢なんてしたやつはこの部活にはいらない!!』という監督の発言に部員の殆どが同意して、あいつは部活をやめることになった…


しかし問題が起きたのはここからだった…あいつが起こした痴漢は冤罪だったのだ…あいつはあの事件が起きて以降、誰の連絡にも答えなかった…それどころか馬鹿にされているようなメールも全て無視していた…当然俺からも連絡をいれたが既読にすらならなかった…


「どうして既読にならないんだ…」


「あぁ…バカにするようなメールをたくさん送っちまったからな…どうすれば…」


「一先ずあいつに会いに行かないか?直接あって謝罪したほうが良いと思うんだ…」


「それだ!!あいつの家って分かるか?」


「一応…」


「それじゃあ案内してくれ!!」


俺は仲の良い部活のメンバーと一緒に謝りに行ったが、そこに居たのは半狂乱で暴れているあいつの母親らしき人と、ずっとブツブツ何かを言っているあいつの父親らしき人が居ただけだった…








今日も見てくれてありがとうございます!!


皆さんからのコメント随時お待ちしております!!なるべくコメントを返そうと思っていますので、感想なんかを書いていただけると幸いです!!


小説のフォローや☆での評価をしていただけると嬉しいです!!本日の内に、新規小説のあらすじなんかを載せて出そうと思っているので、よろしくお願いします!!



最新作を最後に載せていこうと思います!!

セーブ&ロード~スキルの力で何度でもやり直す!!~

https://kakuyomu.jp/works/16817330660921570134/episodes/16817330660923435626


今日から合宿になります…更新頻度に影響が出る可能性もありますが、よろしくお願いします…


あいつってめっちゃ言ってますが、そこは『菊池君』にでも変えてくれて構いません!!どんな風に呼んでくれても大丈夫です!!

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