File.71 昔の事

「君は…」


「俺は、足立だよ…覚えてるか?」


「あぁ…覚えているも何も君とは同じ部活だったじゃないか…君がこっちの方面に住んでいたとは思わなかったけど…」


「覚えてくれていたか…あのとき君のことをかばってやれなくて、すまなかった…」


「そう…別に俺は、君たちのことを恨んでるわけじゃないし、いいよ…」


「そうなのか…」


「でもさ…俺と練習をしてくれなかったのはなんでなの?俺と練習するのはつまらなかった?嫌だった?」


「違う!!決して、君のことが嫌いだったりとか練習を一緒にしていたらつまらなくなるとかそういう意味じゃない!!俺以外の奴らのことはわからないけど、俺はそう言える!!」


「…」


「俺が君と練習を一緒にすることが出来なかった理由…それは、部長に止められてたんだよ…」


「そこでどうして部長が出てくるんだ?部長はあまり関係がないように思えるんだが…」


「部長はあまり君のことをよく思っていなかったようなんだ…君が冤罪で捕まってしまった時も、唯一喜んでたからね…間違いないよ…」


「…今もその部長は、野球部に居るのか?」


「えぇ…マネージャーに手を出してるって噂もありますね…今後はどう出るかわからないですが…」


「へぇ…そう言えば何で俺のことを君って呼ぶんですか?さっきみたいに呼び捨てで呼べばいいのに…」


「俺は、同期とは言え許せないことをしたんだ…お前を表立って批判するようなことはしなかった…でも、他の奴らが批判しているのを止めることは出来なかったよ…すまない」


「そうですか…俺は正直貴方達のことを許すつもりは有りません…でも、貴方は許します…こうして偶だとしても直接謝ってくれましたから…」


「…直接謝りに行くって言ってたやつが居たんですけど…来てなかった?」


「もしかしたら、俺の家の方に行ったのかもね…でも俺はあの事件にあったときから、他の所に行かせてもらってるんだ…まぁ君には関係ないか…」


「そうだったのか…唐突に呼び止めて悪かった…すまない」


「謝罪は結構です…ただ、直接謝罪に来てくれた人は貴方で初めてです…少し嬉しかった…」


「風のうわさで聞いた話だが…両親とかに謝罪を受けてないのか?こういうのって聞かないほうが良いとは思ったんだけどさ…」


「両親からは未だに謝罪の電話すら来てませんね…というか、俺が色々と変更を加えたので元々の方にはかかってきていたりするかも知れませんが…正直あの両親のことです…謝罪と言っても形だけでしょうし、本心では俺も事を見下しているんですよ」


「なんか複雑だな…」


「そうですね…」


俺はこの時、まさか母親が殺人をしているとは思いもしなかった…これは数日後に魁兄に向けての警察からの電話で発覚した…


警察いわく、被害者は俺の事を痴漢と呼んだあの女で、動機はまだ詳しくは聞くことが出来ていないものの、判明しているものは慰謝料の返金を求めたが、応じなかったために用意していた物で殺害した…ということらしい…


借りにも母親がそんな事をしたら…俺はまた、変にニュースで取り上げられてしまうのだろうか…心配だな…でも、何よりもあんな事をした母親の事を心配に思ってしまう…


「なぁ…親子ってどうなんだろうな…」


「…親子はどうと言われてもな…大切なものとかかな?俺には残念だけどそれくらいしか思いつかなかったわ…」


「大切なものか…俺の家族は大切なものに当てはまるのかな?」


この問を答えてくれる人はいるのだろうか…この俺の心にある疑問を解決してくれる人は居ないのだろうか…


俺は帰ってから、ずっと考え続けた…そして魁兄が帰ってきたので俺は質問をする…


「魁兄にとっての大切なものってなに?」


「急にどうした…まぁ答えないってことはないから安心しろ…それで大切なものだったよな…第一は翔太だよ…恋人でも居たら変わってたかも知れないが、あいにくと俺にはそういう話は来ないんだ…」


「魁兄はカッコいいのに…」


「いや…実際には数人は俺に好意を寄せていた人が居たのかも知れない…でも俺が拒絶したんだよ…弁護士になってからというものの、給料は他のサラリーマンに比べてもダントツで多い…俺のクラスメートたちよりも全然給料は多かったんだよ…でもね?俺のことを見てるんじゃなくて、金を見てるんじゃないかってその当時はずっと思っててね…」


「魁兄はもったいないな…もしかしたら金じゃなくて、本当に見てくれていた人も居たんじゃない?」


「あぁ…もしかしたら居たのかも知れないな…話がズレちゃったけど、次だな…次は先輩かな…やっぱり、先輩のことは大切にしたいと思っているよ…それと娘さんもね?」


「他には居ないの?」


「強いて言うなら両親くらいかな…まぁそんなところだよ…」


「へぇ…また新しい一面を知ることが出来て嬉しかったよ…」


「それなら良かった…それじゃあご飯にしようか!!」


魁兄の顔は時々暗かったが、最終的には明るい表情になっていたので多分大丈夫だろう…






今日も見てくれてありがとうございます!!


皆さんからのコメント随時お待ちしております!!なるべくコメントを返そうと思っていますので、感想なんかを書いていただけると幸いです!!


小説のフォローや☆での評価をしていただけると嬉しいです!!本日の内に、新規小説のあらすじなんかを載せて出そうと思っているので、よろしくお願いします!!



最新作を最後に載せていこうと思います!!

セーブ&ロード~スキルの力で何度でもやり直す!!~

https://kakuyomu.jp/works/16817330660921570134/episodes/16817330660923435626


今日から合宿になります…更新頻度に影響が出る可能性もありますが、よろしくお願いします…


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