第四話 僕はアンドロイドの君に心を教えたい
アイは、アンドロイドだった。
そう知って、絶望を覚えながらも、家に帰った
「ただいま……」
「おかえり。
「兄さん。実は……」
『私が、アンドロイドだということは決して口に出さないでください』
アイは、そう言っていた。でも、僕じゃ隠せそうにもない。
「実は、クラスメイトが、アンドロイドなんだ……」
「!? そ、その子はどんな、風貌をしている!?」
その反応は、思っていたものと違った。でも、やっぱり驚いている。
「えっと、とても綺麗で白い髪をしているよ」
「白い髪……そうか。ありがとう。ご飯にしようか。」
「う、うん」
僕と兄さんは、血が繋がっていない。
兄さんが言うようには、僕は拾われたらしい。
僕には、十二歳までの記憶がない。そんな僕を兄さんは拾ってくれた。
今では、本当の兄のように慕っている。頭もいいから勉強も教えてもらえる。
「兄さんは、アンドロイドに詳しいでしょ? アンドロイドに心を教えるにはどうしたらいいの?」
「心? 心、そうか。藍はその子に心を教えたいんだね?」
「うん。でも、どうやったらいいのかわからないんだ。だから教えて?」
「いいだろう。でも、やりすぎには注意だよ?」
「うん。」
「アンドロイドに何か教えるには、よく見せるんだ。視覚的認識だよ。」
「シカクテキニンシキ?」
「うん。子供に言葉を教える時には、よく聞かせてあげるだろ?
それと同じで、アンドロイドに何か教えるときはよく見せるんだよ。」
「よく見せる……」
「あぁ。心だったら喜怒哀楽をしっかり見せてあげることだね。」
「わかった!」
「そうか。よかったよ。早く食べてねな。」
「うん! いただきます!」
翌日——
「じゃあ行ってきます!」
「あぁ。いってらっしゃい。……早急に手を打たないと……」
「おはよう。藍さん。」
早速アイに心を教えてみようと思う。
「あぁ。おはよう! アイ!」
まずは、笑顔からだ!
昨日に遡る——
「マスター。クラスの人間にアンドロイドだとバレてしまいました。」
「! そうかい。それは、なぜ?」
「瞬きをしていなかったのと、汗をかいていなかったからだそうです。」
「そうかい。それは気づかなかった。その子はとても優れた観察眼を持っているんだね。」
「おそらく。どうしますか?」
「どうするも何も。殺すなどはでいないよ。」
「そうですか。」
「その子の名前は?」
「一ノ
「一ノ瀬。この街にはいない名前だね。どこからきたんだろうか。」
「一ノ瀬藍には、一人兄がいたはずです。」
「そうかい。見知らぬ子達だね。この街の子達に関しては調べた筈なんだけど」
「私も、捜索しておきます。」
「頼むよ。君も今日は疲れただろう。ゆっくり充電しておいで。」
「了解しました。マスター。」
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