第6話 誘拐事件
黒焦げの死体が一体誰なのか? さらに、この火事がいかにして起こったのか?
この二つを並行して捜査が行われた。
まず、近所に聞き込みを行ったところで、一人の主婦が気になる目撃をしたようで、捜査員が気になっていた。
「その日は、いつも遅い主人が思ったよりも早く帰ってきたので、食事を済ませてから、九時すぎには、私はお風呂から上がることができたんです、うちお風呂場から、あの倉庫は結構近いんですよ。湯船から上がって何の気なしに表を見ると、空がオレンジ色に染まっていて、風でゆらゆら揺れているように見えるじゃないですか。すぐには火事だとは思わなかったんですが、明らかに火の色としか思えなかったので、私は風呂場から、主人に火事かも知れないと叫びました。すると、主人が急いで表に出ると、すでに倉庫の中は真っ赤に染まっていて、そのうちに、あの会社の課長さんが飛び出してきたんです。火事を通報しているようでした。課長さんが来たのは表の方からで、私が見える方向は裏側だったので、課長さんの様子は見えませんでしたが、男が一人、逃げ出していくのが見えました。足を引きづっているようで、けがをしたのかも知れないです。最初は放火魔かも知れないとも思ったんですが、その慌て方は、少し違うんじゃないかとも思ったんです。倉庫の中にいて、火が出たので、ビックリして逃げ出したという雰囲気でした。その男が逃げていくところを最後の方だけ主人も見たと言っています。だから私は幻を見たわけではないと思いました:
と、その奥さんは話していた。
その話を訊いて、捜査を行っている刑事は、
「中で発見された死体が二体、そして逃げ出した人が一人いたということは、少なくとも関わっている人が三人はいたということになりますね」
というと、
「そういうことになるようですね。でも、奥さんが話していたのも、少しおかしな気がするんですよ」
「というと?」
「この倉庫は、中からカギがかかっていたんです。つまりは密室だったということなので、誰かが逃げ出したということであれば、それはこの中からではないということになりますね」
「カギがかかっていた? ということは、焼死した二人は、最初から中にいたということになりますね」
「そういうことになりそうだ。じゃあ、奥さんが見た逃げていく人というのは、どういう人なんだろう?」
というと、もう一人の捜査員が先ほど、鑑識が持ってきたという検視報告書を見ながら、顔をしかめているようだ。
「どうも不思議なんですが、黒焦げになっている二人は、どちらも男性ということです。そして不思議なことは、二人の死亡推定時刻にかなりの開きがあるということのようなんです。一人の身体の大きな人は死後三日くらい経っているのではないかと思われ。もう一人の小柄な人は、火事の起こる少し前に死んでいるということなんですよ」
というではないか。
「小柄な男が大柄な男を殺しておいて。誰かがその証拠を隠滅しようとしたのか、それともその小柄な男に罪を着せる形で、火を放ったのか、何か火を放ったのは、やはり死体の身元を分からなくするためか、死亡推定時刻をなるべく曖昧にしようという意図があったんでしょうかね?」
という。
「もしそうだとすれば、三日前に殺されたかも知れないその男性を殺した犯人は、ここで焼死した男ではないかも知れないですね。なぜかというと、ここで火事になったことで、死亡推定時刻を曖昧にするのであれば、その人にアリバイは確固たるものがなかったということでしょうね。さっきの話のように、罪を着せられたと考えても、無理のないような気がしてきましたね」
と、もう一人の捜査官が言った。
「そもそも、二人は他殺なんだろうね?」
と、少し年を取った方の捜査員が聞くと、
「ええ、それは間違いないということです。身体の大きな方の人は、胸をナイフで刺されていて、そして小柄な方の人は、毒を盛られたようです」
「小柄な男は毒を飲んでいたということは、自殺かも知れないのではないのかい?」
と訊いてみると、
「いいえ、それはありません、なぜなら焼け跡から発見された黒焦げ死体の身体には、鎖で縛られたあとがあるんです。縛られたうえで毒が効いてきて苦しんで死んだのか、それとも毒殺された後に鎖で縛られたのか、焼け落ちてしまった中では、何とも言えないというのが見解ですね」
と若い捜査員は言った。
「じゃあ、三日前には死んでいたという男はどうなんだい? 何かに縛られていたということはないのかい?」
「いいえ、それはありませんでした」
「ということはいくつかの考え方ができそうだけど、まず考えられることとしては、二人が関係のある人間だったとすれば、まず最初に三日前に、ここに入ってすぐにナイフで殺された。そして、もう一人の小柄な男もここに一緒に入ってきて、三日間は生きていたけど、縛られていた。そのうえで、毒を盛られて、その後、プレハブに火をかけたということが考えられるね」
「じゃあ、横山警部補は二人が顔見知りだという考えなんですか?」
「普通に考えるとそういうことになるような気がする。これがもし知り合いでも何でもなければ、犯人が殺すのは誰でもよかったというような猟奇殺人ということになる。猟奇殺人を行うようなやつが、密室でしかも最後に火を掛けるような殺人を行うだろうか? 私はどうも、計画された連続殺人なんじゃないかって思うんだけど、どうなんだろう?」
「まったく逆の考えとして、これは奇抜な考えですが。二人はまったく知り合いではなかったとして、三日前に殺された人間が、偶然このプレハブの中に死体を格納しておいた。それを知らずに別の犯人が、小柄な男を殺して放置しようと思ったところに、もう一体死体があった。死体を動かそうとすると、隣の家の風呂場が赤々と電気がついている。死体を動かすところを見られたら終わりだと思ったとして、それだったら、自分が殺した相手もろとも焼失させてしまおうと考えたとすれば、ちょっと乱暴ですかね?」
「でも、身体を燃やしたとしても、骨までは燃え尽きることはないんだよ。骨が出てくれば、二人が焼死体で発見されたというのは、すぐに分かることではないのかな?」
「そのあたりは何とも言えないですが、自分が関係のない死体迄引き受けなければいけないというのは、犯人にとっては大きな計算違いだったでしょうからね」
「ただ、それはあくまでも、犯人が別にいると考えた場合のことで、連続殺人だと考えた方がよほど自然な感じがするんだけどね」
「それは、やはり被害者の身元が分からない限り何とも言えないですよね。あの倉庫が狙われたというのも何かがありそうな気がするので、明日、あの会社の関係者で行方不明になった人がいないかを聞いてみましょう」
ということになり、その日は、もう深夜になっていたこともあって、とりあえず、九時ごろに、松川コーポレーションに行ってみっることにした。
だが、翌日の九時二なって昨日の二人の捜査員がK支店に赴いた時、喧騒とした雰囲気がすぐに分かった。
それは、昨日の事件に対して皆がピリピリしているからではなく、もっと切羽詰まったような感じだった。もし昨日の事件に対しての緊張感であれば、こんなに必要以上に慌ただしくはないだろう。
緊張感で張り詰めた空気というよりも、完全に皆が浮足立っている様子だったからだ。
さすがに横山警部補もその様子がただならぬ雰囲気なので、自分も戸惑いを隠せなかった。
「どうしたんですか?」
と若い刑事が聞くと、
「ああ、刑事さん、実は今月から本部から来ている二人のアルバイトがまだ出社していないんですよ」
というではないか。
「それでそんなに慌ててるんですか?」
「ええ、まあ、昨日のようなこともありましたし、その二人というのは、実は現社長のご子息に当たられるんですよ。まだ大学生なんですが、将来は会社を背負って立つことに間違いはないので、大切な研修だったんですが、まだ来ていないというのはおかしいですからね」
「今までにも遅れたことは?」
「ありませんでした。ちゃんと始業十五分前にはやってきていて、挨拶や掃除をしていた真面目な学生でしたからね。昨日の火事のこともあるので、こちらも緊張していたら、嫌な予感が当たったような気がして、怖い気がします」
「家には連絡を入れてみましたか?」
と言われて、
「いいえ、二人は本社からの研修ですので、ホテルに泊まっているんです。まだ始業時間から少ししか経っていませんので、本来ならもう少し待った方がいいのかも知れませんが、今庶務の人に、ホテルに連絡を取ってもらっています。ああ、ホテルと連絡が取れたようですね」
と言って、庶務の人の話を訊いてみることにした。
「今、ホテルにと言わせてみたんですけど、どうも二人とも昨夜から帰ってきていないようです。もう一週間以上もホテルからの通勤になっているので、ホテルの方も分かっているのか、一晩くらい帰ってこなかったとしても、大学生とはいえ、大の大人ですからね。遊んでくることもあるだろうということで、気にはしていなかったそうなんですが、会社から連絡を入れると、ホテルの方も気になっているようです」
「ところで、その二人というのは、どういう人たちなんですか?」
「実は社長の異母兄弟に当たるんですが、一人は二十歳で、一人は十八歳になります。体格としては、二十歳の方の青年は、サッカーをやっているので、身長は高いんです。そしてもう一人は華奢な感じの男の子です」
ということだった。
それを聞いた警察の人は、顔を見合わせて驚いていた。まだ他の人には話してはいなかったが、二体の焼死体が見つかったことは新聞にも載ったので分かっていたが、身体が大きな方と小さな方がそれぞれいるというのは、ただの偶然であろうか?
ただ、横山警部補はその二人が殺されたということはないような気がしていた。少なくとも一人、身体の大きな方の黒焦げ死体は、死後三日は経っているというではないか。今朝仕事に来ないというだけでこれだけ騒ぎになっているのだから、三日もいなかったなどは考えられなかった。
実際に、二人は毎日、皆勤で勤務していたという。少なくとも身体の大きな方は、被害者ではないということであろう。
だが、もう一人は違う。弟の方の身体が小さいというが、分かっているので、弟はひょっとすると、焼死体の一人かも知れない。
それにしても、二人で姿をくらましているというのはどういうことであろうか? どこかに一緒にいるのか、それとも本当に殺されてしまっているというのか、ただ、それなら身体の大きな男が死後三日も経っているというのはどういうことか?
ひょっとすると犯人は、焼死してしまい、真っ黒こげになってしまうと、死亡推定を大幅にごまかせるとでも思ったのだろうか?
ただ、警察の方の考え方としては、それもありえるだろうという意見もあった。
「警察の科学捜査を舐めてもらっちゃあ、困るな」
と言っている捜査員もいるくらいだった。
だが、二人が出社してこないという問題とは別に、いや、関係のないわけではない事件が、そのすぐ後に起こったのだった。
警察の相手をしているのは、支店長であったが、そこへさっきの人が慌てて入ってきた。
そして、支店長に何やら耳打ちをしたのだった。
「えっ、なんだって? それで木下課長はどうしたんだ?」
と、ただごとではなさそうな表情で、社長は明らかに取り乱して、耳打ちした庶務の社員に怒鳴りつけるようにそう言い切った。
「ええ、木下課長は、大丈夫なようです」
という話を訊いて、さすがに聞き捨てならない話だと思った横山警部補は、支店長を訊きただした。
「支店長、今の話はどういうことですか?」
――黙っていられては困る――
と言いたげだった、
何しろ殺人事件なのだから、どんな些細なことでも話してもらわなければ困るという剣幕である、
「実は……」
と、一瞬考えてからすぐに開き直ったかのように、
「実は、今この研修期間の監視として、本日より社長が来られることになっていたんですが、その社長が誘拐されたということなんです。迎えに行ったのはうちの木下課長だったんですが、何やら、木下課長に催涙ガスのようなものを浴びせて。前が見えないようにしたうえで、覆面をした二人組の男に、車ごと拉致されたということでした」
というではないか。
「えっ、それじゃあ、昨日は使っていない倉庫で火事があったうえに、今日は社長が何者かに誘拐されたということですか?」
「そういうことになります」
二人の息子も行方不明で、しかも、社長は確実に誘拐された。
これは一体どういうことになるのだろうか?
社長は昨日、皆で夕食を摂り、九時過ぎくらいになってお開きになると、支店長と落ち合って、行きつけのスナックに行った。途中から木下課長も合流したのだが、お店が閉店寸前くらいまでいたのだった。
その後真夜中であったが、火事の話を訊いて、支店長と社長は一度火事の現場にやってきた。すでに火事は鎮火していて、真夜中だったこともあって、事情聴取は朝から行うことになっていたので、横山警部補がやってきたのは、支店長に事情を聴くことも予定としてあった。
だが、昨夜は支店長がいるのは知っていたが、一緒に社長もいたことは知らなかった。社長は普段から本社にいる人なので、事件に関してはほとんど関係がない。だから、余計なことを聞くこともなかったのだが、
「こんなことになるのであれば、ひところくらい話をしておけばよかった」
と、横山警部補は悔やんだのだった。
「ところで、お二人は昨日、こちらに一緒に来られたんですよね?」
「ええ、夜中の一時過ぎくらいだったでしょうか、電話がかかってきて、火事になっているということを私と社長に交互に連絡が入りました。私はその少し前に送っていった社長の宿泊しているホテルに赴いて、社長を伴って現場に来たんです。本当は社長にはご足労を掛けるつもりはなかったんですが、ガソリンが撒かれているようだと聞いて、社長も黙ってはおられなかったんでしょうね」
と支店長が言った。
「ところで社長と、社長のご子息が泊まられている宿は同じところなんですか?」
と訊かれて、
「いいえ、違います。社長が宿泊されるところはいつも決まっているんですよ。でも、そのホテルでは、二名の社員を一か月以上も連泊させるというわけにはいかないということだったので、少しランクは落ちますが、一流と呼ばれるホテルを一か月間の研修中に使うようにしたんです」
「そこは近いんですか?」
「いいえ、近いというわけではないですよ。ご子息が宿泊しているところは会社から近くにありますからね。交通の便はいいところです。社長が宿泊されているところは、仕事での宿泊というより、社長クラスのホテルに泊まるということで、夜景がきれいな一流ホテルをいつもご利用になります。しかも、軟白かしかしませんからね。かたや研修なので、主旨が違っていると言ってもいいでしょう」
と支店長は言った。
「ところで木下課長というのは?」
と訊かれて、
「彼はうちの副支店長のような立場です。私が出張の時などは、彼が支店長代理を引き受けてくれるので、助かっています。私としては彼に全幅の信頼を置いているんですよ」
「なるほど、そういうことなんですね? 結構支店長の代理ともなるとお忙しいんでしょうね」
「ええ、昨日も仕事を十時過ぎくらいまで仕事をして事務所を出たそうです。それですぐに落ち合ったんですが、彼はあまりお酒を呑みないタイプの真面目な人なんですよ。彼は実は途中入社でしてね。前の会社では結構大手だったんですが、本部勤務で人事をしていたそうです」
「人事というのは、神経を使う仕事なんでしょうね?」
「ええ、そうですね。人の異動だったり、昇進などは、人事部が考えますからね。一歩間違うと会社内で恨みを買わないとも限らないところで、ある意味割が合わないような仕事ではないかと思います。以前、ここに赴任してきた時、最初の頃は、人事が辛かったと愚痴をこぼしていたくらいでしたからね。今でこそ落ち着いてきているので愚痴をいうことはなくなりましたが、あれだけ落ち着いている人がノイローゼ気味になるというんだから、人事なんてやるもんじゃないって感じましたね」
と支店長はそう言った。
支店長という仕事も本部と支店の社員との間に板挟みにあって、結構辛い仕事に思えるが、果たしてどうなのだろうか?
横山警部補も警察組織というものに、結構な理不尽さと矛盾を感じているので、一般企業の人事の辛さも分かる気がしていた。
しかも支店長クラスともなれば、似たような感覚であろう。そういう意味では木下課長の存在は支店長にとって、結構ありがたいものなのではないかと思えた。
また、木下課長としても、支店長の存在があるからこそ、トップではない自分が自由に動ける気がして、やりがいがあるのではないだろうか。横山警部補はそんな風に考えていたのだ。
「そういう意味では、木下さんは、支店長さんがいてくれるから結構仕事がしやすいのかも知れませんね」
と、少しお世辞を交えて行ったが、支店長をそれを真面目に受け取ったようで、
「ええ、そういっていただけると、私も嬉しいです。木下課長も前の会社では結構苦労をしたという話ですからね」
と支店長は言った。
「それは木下さんが自分から言ったんですか?」
「ええ、一緒に食事に行った時ですね。お酒を呑んでいるわけではなかったのに、その時の木下課長は結構饒舌でした、よほど喘の会社では、誰にも何も言えない立場にあったということなんだって、気の毒に感じたので、言いたいことはすべて言わせましたよ」
と言って、支店長は笑っていた。
「木下さんは、すべてを話し手くれましたか?」
「ええ、話してくれたんだと思います。何しろ、すべてを話終わってから我に返った木下君は、自分が何を言ったのか覚えていないくらいだったからですね。よほど、不満がたまっていたんでしょうね」
「支店長さんは、そんな不満を聞いて、どうも思わなかったですか? 人の抱えている不満を聞くというのは、よほど親しい仲であっても辛いものなんじゃないですかね?」
「思わなかったですね、それに親しい仲の方が、辛いということもありますよ。まだお互いに腹を割って話したことのない相手の言葉は、言い方は悪いですが、多淫ごとのように聞けますからね」
と支店長は言った。
「そのお気持ちは分かります。ちなみに、この支店では、そういう人の不満を聞いてあげたりするような人、誰かいましたか?」
「今のところは、私には思いつきませんね。木下課長が入ってきてくれて、その役を彼が引き受けてくれているものだと私は思っていました。実際に若い人の中には、木下課長を慕って、悩みを打ち明ける人もいるようです。木下さんのいいところは仕事以外のことでも相談に乗ってくれるらしいので、そのあたりにも、優しさを感じている若い連中もいるようです」
と支店長がいうと、
「どういう悩みですか?」
と横山警部補が聞くと、
「恋愛の悩みだったり、時にはお金の悩みまで聞いてあげていたこともあるそうです。もっとも、的確な助言ができる内容ではないですけどね」
と支店長がいった。
「そうでしょうね。恋愛にしても、相手があることですし、お金の場合は、自分が出してあげるわけにもいきませんからね、すべては助言でしかない。あるいみ聞いているだけで辛くなりそうに思うんですけどね」
そんな話をしているところへ、事務所の電話がけたたましく鳴った。朝の時間帯なので、得意先からの電話も多く、さっきから事件と平行していつものように営業が営まれていたが、そんな中で、一人の事務員が取った電話の様子が少しおかしかった。
「はい、松川コーポレーション、K支店ですが」
と言って、普通であれば、相手が電話口で自分の名前を言って、それを聞いた事務員が、
「いつもお世話になっております」
というのが、マニュアル化された電話応答なのだろうが、少し勝手が違った。
その事務員は自分の会社名を言ってから、相手が何かを言っているその時、カッと目を見開き、何か虚空を見つめていたのだ。その様子が何かにとりつかれたかのように見えるところは、最初まったく気にもしていなかった横山警部補を、そっちに意識をもっていかせるだけの力を持っていたのだ。
――どうしたんだ?
と思っていると、事務員は、何か追い詰められたような表情になり、
「何をおっしゃっているんですか? 分かるようにご説明ください」
と言って、顔色は真っ青になり、どうしていいのか分からず、目で支店長を見つめていた。
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