第4話 龍神族の過去と歴史
俺は鴨神 龍也。
今はリーシアとクランそして、師匠と龍の少女、俺で町に向かって歩いていた。ただ、皆の空気は重い。
龍神族の過去を龍神族であるリーシアが知ることになるので、このような空気感になっている。そして、リーシアの顔色が悪い。
「リーシア大丈夫か?駄目なら聞かなくても、良いんだぞ」
「いや、大丈夫だ。どんなに辛い話でも聞く覚悟はある」
そして、歩き続け近隣の町にたどり着いた。
「私疲れて、お腹がも空いてしまいました」
「そうか、じゃあ俺は先に宿の予約とって来るから先に行って御飯でも食べててくれ。財布は渡しておくからな。ただし、使い過ぎるなよ」
「分かってるわよ」
そして、動き出した彼女達を見送り宿に行って予約を取ろうとすると、2人部屋が2つしか、空いていなかった。
「え!?嘘だろ?まじかー、どうしようかな。まあでも、じゃあ空いてる2部屋お願いします」
「分かりました」
そして、予約を取った後、個室がある料理店を選んだとも知らない俺は、ずっと町をうろつき探していた。
「本当もう。あいつら何処の店に入っただよ。」すると、
「おーい。こっちですよー。」
「あ!やっと見つけた。ずっと町中を探し回ったんだぞ」
「それは、すみません。しかし、話は複雑で長くなりそうだったので」
「まあ、見つかったからいいとして、ここを選ぶとは…」
「え?」
「え?じゃねえわ!。ここ、まあまあ高い店だぞ!」
「知りませんでした。すみません。」
「まあ、それも良いよ」
そして、店の中に入りたまには贅沢しても良いかと、おまかせコースを5人分を頼む。すると、龍の少女が「そろそろ本題に入りたいのだが」と言ってきた。
リーシアは同意するように頷いた。
「まず、龍神族とは何かを知っているか?」
「龍神族は鬼神族と並ぶ最強の二大獣人という扱いになっています。そして、龍の突然変異と言われています」
「それだけか?」
「それだけとは?」
「なるほど。まず、前半は正解だ。しかし、後半は少し違う。確かに、龍の突然変異と言われていて間違っていない。だが、変異の仕方が多分お前が思っているのと違う。龍神族は龍と人間が交わり出来た獣人だ」
「え!?そんな嘘よ。だって伝承にはそんなこと龍神族の里に残る文献には書かれていないもの」
「それは、書かなかっただけだ。それを書けば龍神族は龍から突然変異したという伝説が無くなるし、誇りも無くなる。だから、書かなかったのだと思う」と龍の少女が言った。
「しかし、それは口頭だけでも伝承されていておかしくないはずなのに、どうしてそれも伝説としてでも残してくれなかったの?」
「これは私の予想だけど、自分では気付いても口に出さなかったんだと思う。恐らく、龍と交わった人間は気付いていたが、未来の子供に傷が残らないようにという配慮もあったのだと思う。ただこれは、憶測だから真実は分からない。」
「ただ辛い話にはならなかったわね」
「いや、まだある。多分これから辛い話になると思う。」
「え!?」
「続けるぞ。でだ、伝承には残ってないが龍神族は次第に大きくなり派閥も出来はじめた。だが、派閥や意見の違いから戦争や殺し合いも日常的に起きていた。そして、戦争を止めるため里長を決めることにした。これが、お前のご先祖にあたる人だ」
俺はそこの話を聞き「え!?」と声を上げてしまった。
「えーと、つまりリーシアはお嬢様家系ってこと?里長の子供?次代里長?」と頭が混乱し言葉がまとまらないうちに聞いてしまった。すると、リーシアが「隠していて済まなかった。まさか、こんな形で里長の子供とバレようとは予想外だった。」
「何故俺達に話してくれなかった?」と龍と少女との話を一旦切って質問を聞くことにした。
「それは、里長の娘だからと気を遣って欲しく無かったからだ。里長の娘だと分かると、皆態度を変えてしまう。それが辛いから言わなかった。」
俺はなるほどと思い頷いた。
龍の少女は話が終わったと分かると「続けるぞ」と言ってきた。
「でだ、お前の先祖に当たる人が勝ち里長の座についた。しかし、あるとき問題が起きた。跡目争いだ。そして、兄妹達は殺し合いを始めてしまった。すると、また、誰が良いと派閥が出来て、里全体の争いにまで発展してしまった。そこで、里長は決めた兄妹達だけで殺し合いをさせて、里長を決めようとそして、それが今も続いている」
「だけど、私はそんなことやった事が無いし、一人っ子だけど。記憶にも無いしさ、今はもうやってないんじゃ無いの?」
「いや、やってはいる。ただ記憶を消すんだ。殺し合いをしたあと、罪悪感とトラウマで逃げ出さないように魔術で記憶をまっさらにする。思い出すにはそれなりの衝撃的な情報つまり、脳を刺激するような事があれば思い出すと思う。恐らく、魔術を母親に聞けばその類いの話が出てくる」
「そんな…嘘よ私兄妹を殺すはずが無いじゃない!グスッ」
俺はただ泣き出すリーシアを慰める事しか出来なかった。しかし、龍の少女が付け加えた。
「私の魔術を使い兄妹と話してみるか?私は長く生きていて、魔力量も多いし神に近い存在だから分かるが、お前の兄妹はお前の守護霊になっている。なら、今兄妹がどう思ってるか、聞くべきだと思う」と龍の少女が言うと、リーシアは「「聞きたい。これからどう償いをして、どうしてあげれば良いかを知りたい!」
「覚悟を決めたようだな」
そして、リーシアの人生は良い方向に向かいつつあり、覚悟を決めたリーシアはまた強くなるが、それはまた先のお話。
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