第7話お葬式と百合の花
ただ、明るい駅に駆け込めたときは安堵感しかなかった
駅員さんはギョッとした顔をしていたけど
、、、そんなに酷いのか
電車の緑色の席の端で一駅の間、流れる景色
LEDの照明がひどく白々しく思えた
・・・・・・・・
葬式の村のように小さな
その中でも、ひと際大きいお
エラのお葬式の会場だ
義務ではない。それでも学校中の生徒のほとんどは来ているんじゃないか
そう思わせてくれる人だかりだった
エラの母親が受付だった
香典はいらないと言われた
流れ作業で帳簿に名前を書いていると
伏し目のままで
「あびるさん、あとでいらっしゃい」
受付をほかの人に任せ
トイレの方向へ
・・・・・・・・
自動販売機と簡易のソファーがある
エラの母に促され座る
エラ母の買ってくれたペットボトルで痕を冷やす
「顔、右の目の近く、打ったんでしょ?冷やしておくと治りがよくなるんですって」
「ありがとうございます」
「エラとの最後のお別れなのに。あびるさんも本意じゃないでしょ?」
「、、、。」
そういうとらえ方もある、、か。
細身の和服
170近い身長で
西洋的なホリの深さ
相まってか、目の下にクマが浮き出ている
エラと似て白い肌には傷ひとつない
「打ち身にはね、コンシーラーとかファンデとか、、最近だとシールタイプも」
「もういいです、ありがとうございました」
「、、、赤には緑がいいのよ」
「、、、そうですか」
トイレの鏡を見て確かに目立つけど
塗り終わればどうでもよくなった
百合の花が係の人から手渡され
静かに献花台に置く
長い長い行列の果てに
花畑の中で笑っている写真を見た
前にいる人たちは泣いていたように見える
棺に入ったエラと再会した
化粧チークで血色がよくなっている以外は
いつも通り眠っているようだった
エラの母親からの言葉は
みなさん、本日はエラのために集まっていただきありがとうございます
こんなに集まってくれるのは学校でも良い友に恵まれていたのでしょう
おうちでも家族みんなの陽だまりのようでした
エラは百合の花が好きでした
きっとお空の上から見ていてくれるでしょう
こんなことを言っていた気がする
悲しみが過去の記憶を綺麗にしてくれる
そういう人もいる。
そうじゃないと生きていけない人がいる
きっと、私はその人たちに寄り添うことはできない
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